津波の霊たちーー3・11 死と生の物語

  • 早川書房
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本棚登録 : 145
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097422

作品紹介・あらすじ

在日20年の英国人記者は被災地で何を見たのか? 震災直後から東北に通い続けた著者は、大川小学校事件の遺族たちと運命的な邂逅を果たす。取材はいつしか相次ぐ「幽霊」の目撃情報と重なり合い――。『黒い迷宮』の著者が悲しくも不思議な津波の余波に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 前半は嗚咽をこらえきれず、後半は終始震えが止まらなかった。

    どんな言葉をもってしても足りないに違いないが、それでも誰かが記録しなければならない。取材・調査の真摯さ、それを受け止める精神的なタフさ、そして”外国人”の目であることで客観性とも言える距離が保たれたことも幸いしている。
    決して類として見ず個としての生命の尊さに向き合いながら、ここまで構成する力量と人柄には敬服以外にない。

    ものすごいものを読んでしまった。

  • 何となく新聞報道などで知っていたアウトラインでなく,もっと踏み込んだ真実がここにある.日本人の体質とも言える事なかれ主義が外国人である著者によってはっきり言葉にされていくところが小気味よかった.大川小学校の関係者に丁寧に取材した記録はとても貴重なものだと思う.また,霊の存在に踏み込んだ後半の物語には色々と考えさせられた.

  • タイトルには「霊」とあるので、ちょうど1年前に刊行された、震災後の心霊体験を集めたノンフィクション『魂でもいいから、そばにいて』奥野修司(新潮社)を思い起こしたが、取材の中心は心霊現象ではなく、たくさんの子供が亡くなった大川小学校のできごととなっている。子供を亡くした遺族に綿密な取材を行い、子供を失った親の悲しみや怒りを丁寧に描いている。後半、家族の死を結局はどう受け入れるかだ、と語る住職に対して著者が、日本人の物分りのよさに苛立ちを表す場面は心に刻むべきだと感じた。大きいスケールで見ると、生も死も自然の流れで抗うことはできないのだが、日常はそんなスケールではない。いきなり物分りのよい、仏僧になる必要はないし、なることもできないはずだ。

  • ロイドペリー「津波の霊たち」読んだ。すばらしかった。被災して肉親を失った人たちについて言う言葉はわたしには無い。ただわたしも生まれた瞬間から全部決まっていると考えで、でも運命に逆らえないとかいうことではなく、諦めや投げやりや怠惰でも全然ない、ただ決まってるということなんだ(つづく

    あとわたしはオカルト的なものや心霊現象(があるという主張)を一切信じない。でも津波の当日や数日前からいつもとは明らかに違うおかしな様子のこどもたち、予言的な夢を見た子たちや憑依現象の話についても、それを体験した人たちの話をそのまま受け止める。だってそういうものなんだよ(おわり
    --------
    「津波の霊たち」http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013785/ … に圧倒されてる。今年の一冊はこれ(まだ途中だけど)こういうのを読むと、日本人による日本語はつくづく「伝える」ことに向いてない言語なんじゃないかと思う。英語から翻訳された日本語なら整理されて美しく、語彙も抑制されて本質が伝わってくるんだけどな

  • ロイドペリー「津波の霊たち」読んだ。すばらしかった。被災して肉親を失った人たちについて言う言葉はわたしには無い。ただわたしも生まれた瞬間から全部決まっていると考えで、でも運命に逆らえないとかいうことではなく、諦めや投げやりや怠惰でも全然ない、ただ決まってるということなんだ(つづく

    あとわたしはオカルト的なものや心霊現象(があるという主張)を一切信じない。でも津波の当日や数日前からいつもとは明らかに違うおかしな様子のこどもたち、予言的な夢を見た子たちや憑依現象の話についても、それを体験した人たちの話をそのまま受け止める。だってそういうものなんだよ(おわり
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    「津波の霊たち」http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013785/ … に圧倒されてる。今年の一冊はこれ(まだ途中だけど)こういうのを読むと、日本人による日本語はつくづく「伝える」ことに向いてない言語なんじゃないかと思う。英語から翻訳された日本語なら整理されて美しく、語彙も抑制されて本質が伝わってくるんだけどな

  • 津波で何が起こったか。大川小学校についてと、霊について。外国人の目から書かれているので、日本人の文化や政治についても、私たちが当たり前だと思うことを「日本人は〇〇」と説明があり、当たり前ではないと思わされる。例えば、悲しいことがあってもできるだけ我慢しようとすること。裁判を起こすと、なんとなく周りから白い目で見られること。ちょうど、大川小学校の判決を市が上告するというニュースがある中でこの本を読んだので、余計に考えさせられた。読んでよかった。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=330348

  • タイトルから想像された心霊現象への興味本位で本書を読み始めて深く反省している。

    心霊現象の部分もあるが、多くは大川小学校の児童たちの遭難から裁判までの経過に充てられていた。

    英国人の目を通して語られる日本の矛盾(日本人が感じていない)にハッとさせられるところも多々あり。
    安倍晋三の評価は痛快にすら思える。

  • 東日本大震災では3月11日に学校の教師の管理下にあった子供達のうち75名が死亡しました。そのうちの74人は石巻市の大川小学校の児童達でした。すなわち大川小学校以外の学校ではあの巨大な津波に対して的確な避難がなされ、人的被害がほとんど出ていないということなのです。
    大川小学校で何があったのか、生き残った児童やその保護者、子供を亡くされた保護者への丹念な取材から”あの時”に何があったのかを追い求めていきます。
    取材を進めるうち、あの震災で様々な意味で人間関係の断絶が生じていることが浮き彫りになります。「わが子が生き残った保護者」と「わが子が亡くなった保護者」、そしてわが子が亡くなった保護者のなかでも「その遺体が発見された保護者」と「未だ遺体が発見されていない保護者」というふうに。
    わが子が犠牲になった保護者の方々は教師の避難指示に過失があったではないかと訴訟を起こします。ところがわが子が生き残った保護者の人からすれば、日々わが子が世話になっている教師や学校を訴えることになり、訴訟には消極的になってしまいます。またわが子の遺体が発見されていない保護者の方はまずはわが子の遺体の捜索が第一で「訴訟で勝ったら気が晴れるのだろうか」と訴訟にまで意識が回らないのが現実です。
    「震災の被害」と一言で片づけることができない複雑な人間関係を正確に描き出したノンフィクションで、読んでいて苦しくなる部分もありますが、マスコミが報道していない真実を丹念な取材で拾い上げている印象を受けました。

  • 読み続けることが辛かった。でも知らなければいけないと思った。

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