津波の霊たちーー3・11 死と生の物語

  • 早川書房
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本棚登録 : 168
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097422

作品紹介・あらすじ

在日20年の英国人記者は被災地で何を見たのか? 震災直後から東北に通い続けた著者は、大川小学校事件の遺族たちと運命的な邂逅を果たす。取材はいつしか相次ぐ「幽霊」の目撃情報と重なり合い――。『黒い迷宮』の著者が悲しくも不思議な津波の余波に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 前半は嗚咽をこらえきれず、後半は終始震えが止まらなかった。

    どんな言葉をもってしても足りないに違いないが、それでも誰かが記録しなければならない。取材・調査の真摯さ、それを受け止める精神的なタフさ、そして”外国人”の目であることで客観性とも言える距離が保たれたことも幸いしている。
    決して類として見ず個としての生命の尊さに向き合いながら、ここまで構成する力量と人柄には敬服以外にない。

    ものすごいものを読んでしまった。

  • タイトルから想像された心霊現象への興味本位で本書を読み始めて深く反省している。

    心霊現象の部分もあるが、多くは大川小学校の児童たちの遭難から裁判までの経過に充てられていた。

    英国人の目を通して語られる日本の矛盾(日本人が感じていない)にハッとさせられるところも多々あり。
    安倍晋三の評価は痛快にすら思える。

  • 3.11関連はこれが初めてだけど,読むのが苦しかった.外国人が書いている点も興味深い.
    よく取材されてるし,事実も東北人の性格や国民性もよく分析されてる.日本人は全てを受け入れ,我慢することが美徳だと思ってる.でももう聞き飽きた.そろそろ欧米みたいに声を上げて変えていこう!という指摘.
    自然災害の多かった日本で,「全ては無に着する」「ありのままを受け入れていくしかない」という仏教が根付いたのはやはり当然のように思える.
    それに慣れすぎてしまったから,自然災害に限らず自分から変えようとしない.そこには政治も含まれる.
    政府への低い期待感がプラスに働き,回復力と自立精神に拍車をかけるようになったというのは面白い指摘.何という皮肉.

    あと,私は東北出身だけど,東北のことが「理解しづらい方言,どんよりとした雰囲気・・現代日本人にとっても異国情緒溢れる場所」とか書かれてて苦笑.

  • 何となく新聞報道などで知っていたアウトラインでなく,もっと踏み込んだ真実がここにある.日本人の体質とも言える事なかれ主義が外国人である著者によってはっきり言葉にされていくところが小気味よかった.大川小学校の関係者に丁寧に取材した記録はとても貴重なものだと思う.また,霊の存在に踏み込んだ後半の物語には色々と考えさせられた.

  • タイトルには「霊」とあるので、ちょうど1年前に刊行された、震災後の心霊体験を集めたノンフィクション『魂でもいいから、そばにいて』奥野修司(新潮社)を思い起こしたが、取材の中心は心霊現象ではなく、たくさんの子供が亡くなった大川小学校のできごととなっている。子供を亡くした遺族に綿密な取材を行い、子供を失った親の悲しみや怒りを丁寧に描いている。後半、家族の死を結局はどう受け入れるかだ、と語る住職に対して著者が、日本人の物分りのよさに苛立ちを表す場面は心に刻むべきだと感じた。大きいスケールで見ると、生も死も自然の流れで抗うことはできないのだが、日常はそんなスケールではない。いきなり物分りのよい、仏僧になる必要はないし、なることもできないはずだ。

  • 東日本大震災の大川小学校のこと、霊的体験のことを、外国人記者の目で伝える本著。
    読後感は、ただただ怖い。
    地震国である日本で生きること、日本らしさの中で生きることが、ただただ怖い。
    そして東日本大震災という実際にあった災害のことで、まだその時のことも記憶に濃く残っているので、怖さ倍増。
    東北に行けなくなるほどのトラウマになりそう・・・。

  • 長く綿密な取材に基づくルポルタージュ。
    東日本大震災で学校管理下にもかかわらず多くの児童の命が失われた大川小学校で「何が起きたのか」に迫る。
    誰が何を語られたのか、基本的に実名で、リアルに描かれる。

  • 遺族同士の微妙な気持ちのすれ違いは
    日本のメディアではなかなか取り上げにくい
    観点だから
    外国人記者が外国人フィルタを通すことで
    より背景がわかることがある。
    新聞ではわからない
    個人の気持ちを踏まえてみる
    大川小の事件はなかなか辛かった。
    霊の話は期待したほどはなかった。
    安倍批評の切れ味にそうなんだよ…と
    スッキリする。だけど誰もいないって言う。

  • 東日本大震災についてのルポルタージュである。著者が大きく取り上げるテーマは主にふたつ。

    まず、宮城県石巻市の大川小学校の事故。著者は、この事故について6年にわたって緻密な取材を行ない、死亡した子どもの家族たちから数々の証言を得た。本書では、事故の背景や経緯、教育委員会と保護者の対立、遺族の苦しみや葛藤、地方裁判所での判決が出るまでの過程が細かく描かれる。

    もうひとつのテーマが、東日本大震災後に頻発した心霊現象についてだ。著者によると、地震のあとにたくさんの被災者が幽霊を見たと訴え、除霊が行なわれた事例も数多くあったという。金田諦應住職への取材をもとに、”津波の霊たち”の謎に迫っていく。「幽霊」「心霊現象」という言葉も必ずしも文字どおりの意味で扱われているわけではないく、トラウマの吐露であり、「物語を語ること」であるという本文内の指摘はじつに示唆的である。

    外国人のフィルタを通して東日本大震災を見ることにより、まったく新しい景色がそこに浮かび上がってくる。

  • すごい労作だと思う。しかも著者が日本人だとばかり思っていたけどイギリスの記者だったとは。
    大川小学校の裁判に至るまでの経緯、そして市を相手に勝訴したこと、遺族の感情に寄り添って記されている。
    これを読んでいてもやはり最大の疑問は多くの遺族たちと同じ、たった一度、姿を見せて説明会でたったひとりの生還した遠藤先生は虚偽の説明をしたのか。
    腕を骨折していなかったのにしていたと、靴も履いていたのに履いていなかったと…
    後で助けられた民家の人の証言は念頭になかったのか…。
    教育委員会から相当な圧力があったにしても、
    ”山に避難しよう”言ったただひとりの先生だったのであれば、信念に従って欲しかった。

    それとにわかには信じ難いけど、ひとりの女性に入れ替わり立ち代り霊たちが取り付いてその声色で心情を吐露するって話し。まるでオカルト。
    なぜその女性だったのか、どうにか何回か分けて話しを聞き
    徳の高い僧侶によって徐霊できたみたいだけど。
    興味深い話しだった。

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