特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー: ノーベル文学賞受賞記念講演

制作 : Kazuo Ishiguro  土屋 政雄 
  • 早川書房
3.95
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本棚登録 : 53
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097477

作品紹介・あらすじ

デビュー前の若き日々から現在にいたるまでの問題意識、思い出の中の日本について、そして現代社会の諸問題にどう立ち向かっていくか。日系イギリス人作家カズオ・イシグロのノーベル賞受賞記念講演を書籍化。原文と土屋政雄による日本語訳を収録した対訳版!

感想・レビュー・書評

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  • マルセル・プルースト「失われた時を求めて」
    に影響される。
    語り手の思考の流れや漂流に従って話を展開する。

    個人の記憶と、国家や共同体の記憶。
    それらは同じか、違うのか。

    作家にとってのターニングポイントは、
    静かな花火としてやってくる。

    世界は正せない。
    せめて、文学という狭い世界からだけでも発信していこう。
    文学の多様性を保っていこう。

  • 丁寧な文を書く人だし、丁寧に話す人だ。こんなジェントルマンな風情の作者も若い頃はたくさん迷いがあったんだなあと。若者は意外と社会のムードとか流行とか空気とかにとらわれすぎていて、真に追い詰められないと自分の本当にやりたいことや欲していることが見えないことがある。この方にとってのそれは、自分の記憶の中の日本をそれが消えてしまう前に書き残すことであり、それが道しるべとなって作家の道を歩き出した。でも作家デビュー後も常に新しい表現対象や方法を思索しチャレンジする姿勢にはこの方の人生に対する真摯な態度が見て取れます。とてもしなやかでしっかりした人だなあという印象を持ちました。

  • ガスオ・イシグロのノーベル文学賞受賞記念講演を書籍化したもの。英語と日本語の対訳式なのは嬉しいが、99ページしかない本(つまり日本語はその半分)で1404円はさすがに高い。元を取るため英語でも読み直そうかな。
    ただし中身は短いながらも充実したもの。彼を日本人作家のように扱う風潮は批判されて当然だが、同時に彼の文学の根幹をなすものが「記憶の中の日本」というファクターであることが、本作を読むとよく分かる。創作に関わる面では、タイトルにもなっているハワード・ホークスの映画『特急二十世紀の夜』にからめ、「登場人物」にも増して「登場人物同士の関係性」が面白くないと、物語は面白くならないことに気づくくだりが特に印象的。

  • 5歳から日本を離れて帰ってこなかった人なんですね。
    ご両親は1〜2年のつもりだったみたいですが、なかなか思い通りにいかないのが人生ですのね。

  • 英語と日本語の両方が載っているのが良かった.不安定な世界に対してメッセージを送るのかと思っていたらそうでもなく,自分の生い立ち作家になる動機や作品誕生のあれこれとこれからの展望といったところが主な内容で,ストイックというか佇まいなど静かな感じがした.

  • My Twentieth Century Eveningを特急二十世紀の夜と訳すかっこよさ。

  • カズオ・イシグロが、ユーモアを交えた柔らかな言葉で語るこれまでのこと。
    書く上での幾つかの転機が詳しく語られ、ファンとしては嬉しい限り。

  • カズオイシグロ氏のノーベル賞受賞講演を翻訳、書き起こしたもの。左に英文、右に日本語訳が載っている。受賞時期にネットに毎日新聞の訳文が載っていたが、やはり本の方が読みやすく、文もこなれている感じがして購入。訳者はイシグロ氏の本を多数訳した土屋政雄さんだった。

    20代、30代、40代、の区切りをつけながら、小説を書くに至った経緯や書きながらの分岐点などが語られ、氏の歩んできた道と、文学に対する信頼や希望が語られ、改めて氏の人となりに好感を持った。

  • 現実逃避気味の今日この頃、どうしたら好き放題している最悪政治家を駆逐出来るか?そんなヒントは載っていないよね、、、

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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