炎と怒り――トランプ政権の内幕

  • 早川書房
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本棚登録 : 286
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097569

作品紹介・あらすじ

スティーヴ・バノン前首席戦略官・上級顧問をはじめとする関係者への1年半にわたる取材をもとに、米現政権の内情を赤裸々に描く。大統領の無知と臆病、トランプ一族と側近たちの確執、ロシア疑惑の真相……全米130万部突破の大ベストセラーを緊急出版!

感想・レビュー・書評

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  • ◆検閲までして刊行を防ごうとした暴露本は、余りにも赤裸々。かつトランプ政権に頭脳のないことを露呈させる。ここで見えてくるのが稀代の振付師スティーヴ・バノンの毒々しい思惑だが…◆


    2018年刊。著者はガーディアン紙などに寄稿するジャーナリスト。

     言わずと知れた、米国現大統領の人物評伝である。
     刊行時、米国でも物議を醸し、刊行の事前差止を大統領が画策したことでも知られる。検閲(紛いとはいえない)までして止めようとしたのは、大統領主席戦略官スティーブン・バノンによる暴露が記事を構成しているとの観測があったからだとも言われている。

     さて、アメリカ大統領の権力はさほど絶大なものではない。これはクリントン元大統領の自伝で語られていたと思う。
     しかしそれすらTさんには関係なさげである。つまり、そういう大統領職の実像に関する認識も、またどういうように政治を動かすかという手管(専門家を利用する手もあるが)もない。あるいは何か成し遂げたいという理念も何もない。そんな中、予期せぬ結果、つまり大統領に当選することになってしまったわけである。
     言い換えれば、バノンという稀代の振付師・狂言回しがいて初めて成立した大統領とも。

     つまり、本書を読むと、トランプ氏自身に関して言えば、中身は空っぽ、延髄で反応しているだけのような印象しか受けない(著者は、トランプには読解力はないし、そもそも文字を読む集中力すら欠如しているとも辛辣に指摘)。

     が、そうだとしても、それなりに運営されているのを見ると、大統領なんてどんな奴でもいいんじゃないかと周囲・後任者に思わせてしまうマイナス効果を懸念してしまう。それこそAIでもできそうな…。

     さてこの著作については、物議を醸して出した故、「Newsweek」など彼方此方の週刊誌でも、叙述のかなりの部分が語られ、かつ、トランプ自身に関し、メディア他から受ける印象と本書の内容とにさほどの乖離がないことを考えると、細かい事実の羅列に興味がある場合、あるいはトランプを取り巻く人的相関関係に興味・関心(職業的でも)のない限り、面白い本・読んだらと勧められる本ではない。

     ただし、本書の終わりの方に、バノンがトランプの基盤を乗っ取り、次の大統領選挙に自身が出馬する可能性を指摘する部分がある。それが正しいかどうかは判然としないものの、ここでバノンが用いようとする戦略の一が、中間選挙を通じ議会内バノン支持層を増やそうというもの。
     昨今、共和党所属の上院議長の引退表明、あるいは、共和党現職議員の出馬見送り・引退報道が聞かれる。彼らは反トランプ、あるいは少なくとも親トランプではない筈だ。そう見ると、なかなか興味深い指摘と分析ではある。

    今後のバノンの動きを推測する上で、バノンが従前、どのような政治手法や選挙運動の手順を用いて行動してきたか。これを知るという観点で本書を読むならば、それなりの意味があるかもしれない。そんな読後感である。

  • ふむ

  • 国を率いる組織とは考えられないほど混とんとした内情が割と最初から最後まで続く。
    崩壊せずに今日まで保ってきていることが驚き。
    ブライトバード元会長のスティーブ・バノンが、トランプの勝利や政権内で大きな役割を担ってきた一人として描かれているように、政治の様々な面において、メディアの影響力の強さを改めて感じた。この一連の出来事はまた、メディアを通して得る情報に操作される国民・大衆か構成する社会において、民主主義を健全に保つ難しさを示していると思った。
    ちょうどあと1年後には大統領選が実施されるという時期になっている中で、トランプが大統領として日常化している現状に気付く。

  • 誰もトランプが勝つとは考えていなかった。トランプ政権の運営の裏側。ホワイトハウス内でのトランプ及びトランプ家を含めた覇権争いの全貌。

  • いまいち

  • トランプ政権の暴露本。かなり内輪の人間が情報提供しているのが恐ろしい。バノンを筆頭として自身の政治的アジェンダに基づいて戦略的にリークしているのだろうから、多少色がついているだろうが、トランプの知的レベルはさすがにひどすぎる。ここまでひどいのに、ビジネスでは成功し、なんだかんだ言って中間選挙が戦えるだけの力を維持したのだからよくわからない。まあ、トランプ支持者は本なんか読まないんでしょうね。仮に読んでも「Fake news」で片づけるんだろうし。

  • 途中までしか読まなかったけど、それでいいか。
    兎に角、この本によるとトランプは知性も品格もなく、そもそもヒラリーに勝つ気もなかった。それは周りも誰1人として負けることを疑ってなかった。が、アメリカ国民や世界にとって悲劇的なことに勝ってしまった。
    そこからのドタバタ劇。
    能ある鷹なんだろうとみんなどこかで思っているのだけど、本当に能がないという事を周りの人達はよく知っている。だから離れていく。残った人や新しく入った人はキャリアとしてホワイトハウスを加えたいだけ。
    いやぁ、面白いけど、コレが原因で世界恐慌や戦争とか起こったらシャレにならん…そして、良心のマティスでさえ。

  • トランプは、外交内政、ほとんど何も知らない。本も読まないし、そもそも書類に目を通しさえしない。情報は部屋の3台のテレビから得ている「テレビ人間」。説明に行っても話しを聞かないのでフレーズ1つ覚えさせるのがやっと。言いたいことを言い、聞きたいことを聞くだけであり、会話が成立しない。
    政治的な敵味方の判断というものはなく、すべて個人的な好き嫌い。メディアは大統領を尊敬しあがめるものと思っているので、批判はすべて嘘ということになる。

    政権に近づく人は多いが、ほとんどがやがてトランプの怒りを買ってでていくことに。
    オルトライトでポピュリストのバノン、NYリベラルで財界とつながるクシュナー(イバンカの夫)、南部的な保守で福音主義のブリーパズ首席補佐官の3人がトランプにいろいろ吹き込もうと画策。そして互いに足を引っ張り合う。そのためにリーク合戦。リークはこの3人に加えトランプ本人からも夕食後の友人への電話で。おかげでこの本のように情報が筒抜け。

    ロシア疑惑(情報のためにロシアに接近したのも、当選するつもりがなかったからだとか)を捜査するコミーFBI長官の解任が悪手で、司法副長官に特別検察官(モラー)任命という反撃を食らう。このあたりの相場観は日本人にはわかりにくい。しかも家族の金銭関係は調べるななどと失言してしまったので、これからそこが捜査されトランプ本人にまで達するのは確実だとか。

    パリ協定離脱などのいろんな政策判断の局面では、ジャーバンカ(クシュナー、イバンカ)とバノンが対立し政策決定がそのまま内部抗争になっている構図。
    これは結局バノンが敗れて政権を去ることに。過激な国家主義者ではなく穏健なほうが勝ってくれたのは朗報なんだろうが、バノンは次の大統領選挙を画策しているとか。

    漫画にもならないようなこっけいなストーリー。政権入りした誰もが、大統領の職責を果たす能力がないと最後には思うようになる。修正25条による排除も予想されている。
    しかしめちゃくちゃを言ってても、周りが、大統領の重みを前提として解釈し伝えるから何とかなってしまっている。日本のマスコミも「大統領の狙いは」とか推測して報道するのであたかも何か戦略があるかのように見えてしまうなど。

    王室であるサウジ皇太子MBSと意気投合する話が出てくるが、トランプの性質を理解して、トップ会談でうまく取り入れば外国にとっては好機で、カナダ中国北朝鮮などうまくやっている節がある。

    この本を信じるならとても2期目はありそうもないが、中間選挙では多くの候補がトランプ派になったという。これはどうみればいいのか。

    しかし、アウトサイダーがポピュリストとして支持を得て権力を得ていくプロセスはそれが偶然だったとしても参考になるだろう。乱暴な言動でリベラルメディアに攻撃(嘲笑)されることによって注目度を増してきたこと。分断をあおることによって支持者を固めていったこと。逆に左派からこういうリーダーが出てくるシナリオはないかと想像をめぐらせた。

  • 想定外で面白い‼️
    案の定、トランプ氏は想像していた通りの大統領、周りの方々は大変デスね。

  • 本書は、トランプ大統領の就任から約1年半という期間における、ホワイトハウスにおける筆者の取材に基づいて執筆されている。
     最初、大統領当選が確定的になり、予想もしない結論に「幽霊を見たような顔」あるいは「恐怖にかられた表情」になるトランプが描かれる。「大統領選挙で接戦を演じた敗北」を選挙後に自分の商売に利用して利益を得ようと考えていた男が大統領になってしまったのだ。この本に描かれるその後のホワイトハウスでの日常も無茶苦茶である。これで国家が保てるのかと不安を通り越して戦慄を覚える。他国のこととはいえ、アメリカに依存せざるを得ない日本にとっては、深刻な気持ちにさせられる一冊であった。

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著者プロフィール

フリーのジャーナリスト・ライター。USAトゥデイ紙やガーディアン紙に寄稿。 『炎と怒り トランプ政権の内幕』でトランプ政権の内幕を暴き、大きな反響と社会現象を引き起こした。ほか、メディア王ルパート・マードックの評伝や、邦訳もされた『回転資金(バーンレート)』などの著作がある。2002年および2004年には全米雑誌賞を受賞。

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