忘られのリメメント

  • 早川書房 (2018年8月21日発売)
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感想 : 9
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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784152097699

作品紹介・あらすじ

擬憶素子MEMを使い、他者の記憶を追体験する「リメメント」が普及した近未来。MEMに記憶を入れる「憶え手」として人気を集める宵野深菜は、殺人鬼・朝来野唯の模倣犯が関係する事件の調査を依頼された。以降、深菜の周辺で不可解な出来事が頻発し……。

感想・レビュー・書評

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  • MEMの設定は面白いなと思います。唯と深菜の関係性も面白いけど、結果唯のとった方法が特に目新しいものでもなかったので、ちょっと物足りない感じ。

  • 他者の記憶を体験できる技術、それが産業化しエンタメにも使われている世界。
    題材に魅かれ手に取り、最後まですんなり読めた。

    一方で、題材が興味深い分物足りなさも感じた。
    感情や感覚までが複製され、それが“忘れられない記憶”となった時のアイデンティティの行方といった、この技術が存在する世界ならではの人間の葛藤などさらに深く描写して欲しかった。

    ソクラテスの言葉の引用や相対性理論・量子論における時間概念の説明がどこか表面的で、他人の言葉を借りてきたような陳腐さを感じたのも、物語に没入できず残念に感じた。
    サスペンスの展開もご都合主義的に進む感覚があり、無感動に終わってしまった。

    ここまであくまで個人的な感想ではあるが、題材に興味を持った方は読んで損ではないと思う。
    スピーディな展開で読みやすいので、SF初心者なんかは取っつきやすいのではないだろうか。

  • 久しぶりにSFを読みたくなって…。

    他人の体験を供する媒体。

    そんな技術がいつかできるかも。

  • SFマガジン2017年4、6、8、10、12月号、2018年2、4月号に連載されたものに加筆修正して、2018年8月早川書房から刊行。記憶を他者に伝える技術は、意識転写さえも可能なのか。緻密な世界設定の中で、二転三転する事件展開に翻弄されてしまいました。楽しめました。

  • 面白い。筆者が本格SFを書いたこと自体が良いこと。
    あえて苦言するならば、後半畳み掛けるように展開が急になる中で、小松左京のような大きなビジョンを提示すると見せて、あくまでも理知的に(ミステリー的に)決着することをどう考えるかか。100%私の身勝手なのですが、前者を期待したかった。

  • 擬憶素子、通称「MEM(メム)」を額に張るだけで、
    他者の記憶を擬憶体験(リメメント)
    できるようになった近未来。
    MEMに記憶を書きこむ"憶え手"(メメンター)
    である歌手の宵野深菜はMEMの製造特許を独占する
    リギウス・リメンバランス社に呼び出され
    脱法MEMの調査を依頼されるが…

    割ととっつきやすいSF。
    他人の記憶を体験できる擬憶素子、という
    設定が面白かったです。
    YouTuberの進化版ですかね…
    様々な能力と才能を持つがゆえに
    人間味にかける深菜に感情移入はできませんが
    かっこいいです。
    数年前に死んだとされる連続殺人犯、
    朝来野唯の模倣犯を探す依頼を受けるのですが
    深菜自身にもアサクノの人格が含まれていて…
    SF+サイコサスペンス。

  • SFだけどそう遠くない未来にもなりそうな世界観を満喫。記憶の追体験を生む憶え手、まさに未来のモノ創り。面白かったです。

  • SFというよりは近未来?
    実際に記憶の切り売りが出来たなら、裁判で役に立つんだろうな。

    PSYCHO-PASSの気配がある。

  • 他人の記憶を売買できる近未来。疑似記憶(リメメント)
    by 日経新聞 2018/09/06 夕刊より

    ということで読んでみた。いわゆる芸能人の記憶を一般人が体験出来るっていう、真っ当な使い道もあれば、制限しているという設定だったけど、アルコールやドラッグの体験も出来るよね、という倫理的な問題があったり、本作のキモである殺人の追体験が出来たりとか、一見夢のような技術だけど、問題だらけよなーと思った。
    でも、複数人の記憶をまとめて再現することで、サッカーのような複数人で行うスポーツの何かが出来るというところには、可能性を感じる。

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著者プロフィール

電撃ゲーム小説大賞(現・電撃小説大賞)銀賞、第1回日本SF新人賞、第5回スニーカー大賞特別賞を受賞。代表作は『ランブルフィッシュ』シリーズ、『アスラクライン』シリーズ。

「2023年 『ソード・オブ・スタリオン 種馬と呼ばれた最強騎士、隣国の王女を寝取れと命じられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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