意識の川をゆく: 脳神経科医が探る「心」の起源

  • 早川書房
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本棚登録 : 92
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152097842

作品紹介・あらすじ

亡くなる直前、進化論的な考え方に大いに関心を示したサックス先生は、脳神経系や意識の起源につながることがらと患者の症例、そして自らの病状をも素材にして思索を深めていた。脳科学の最新成果も貪欲にとりいれた、脳神経科医サックス最後の医学エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年に亡くなった『レナードの朝』などを著したオリヴァー・サックスの遺稿である。養老孟司による解説で「医学的、科学的であると同時に、文学的な叙述だと言っていいかもしれない」と書いているが、彼の著作の印象はおおむね同じで、ひとつの本を一本のロジックで紡ぐのではなく、個々の症例などの事実をエピソード的に紹介して各章で独立したエッセイのような形で終えるものが多い。それはそういうものとしてよいのであるが、個人的にはやや消化不良のような印象を持つ。『見てしまう人びと』でも同じような印象を持ったが、この人の特色でもあるのだろう。

    もちろん、多くの症例に接して、多くの論文に接する中で蓄積された知識をベースにしたエッセイ風の話は面白いものも多い。本書の中でもダーウィンの植物学者としての話、フロイドも交えた記憶錯誤の話、エーデルマンのTNGS理論(神経細胞群選択説)、意識と無意識の話、ハーシェルの片頭痛の話、などが収められていて、個々の話としては面白い。

    全体としてとても素晴らしいかというと、その通りというものではないかもしれないが、それなりには楽しめる本。



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    『見てしまう人びと:幻覚の脳科学』のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4152094966
    『脳は空より広いか―「私」という現象を考える』のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4794215452

  • ジェームスの名言っぽいタイトルと思って手に取ったサックスの遺著です。ダーウィンの植物愛とか,数々の症例に基づく時間的知覚の不安定さとか,フロイトの神経科学者としての側面とか,研究者としての目の付け所や,研究者の持つ漠然とした不安みたいなものがつぶさに記述されていました。一言で言っちゃうと,深い,ってことなんだろうけども,博学広才な文章のつくりは読んでて気持ちいいです

  • 最晩年ということもあり、ちょっと散漫かも。

  • 心の起源についてもっと直接的な解説がされているものと思ったが、様々な精神疾患等の症状他から見えてくる意識の問題を、随筆的に書いたものであった。
    興味深い部分もあるが、期待した内容からは物足りない。

  • この本の中盤でフロイトに関する考察がされている。フロイトと言えば人間の心は、
    イド(本能)、スーパーエゴ(道徳や善悪の概念)、エゴ(自我)の3つから構成されていて、究極的にはすべて環境によって支配されるという話だったと記憶している。
    この本の著者は、むしろフロイトについて、元々は神経学者であったが、意識や心に対する考えを深める中で、精神科医に転身していった側面に注目しているようであった。
    著者は、知覚瞬間の重なりあいという考え方で人間が時間の流れを知覚しているとしているが、自己同一性や記憶の連続性も同様の考え方で説明できるのではないかと思った。
    年齢が増すと時間の流れが速く感じるのも、知覚瞬間のコマ数が年齢とともに減速しているからではないか。
    終盤から意識の本質に迫っていくストーリーを期待したが、読み取れたのは、知覚の連続性をもたらす原理とアイデンティティへの洞察までであった。
    「暗点」の章以降で代わりにかかれていたのが、重要な発見や功績が忘れられてきた、科学史全般から得られた知見からのメッセージであった。その時代の通説や常識にとらわれず、例外や負の事例を見逃してはならない、それらを受け入れられるように心にスペースを開けておくこと、勇気を持って展開することが重要だということだろう。

  • サックス先生最期の本。各エッセイに共通して科学に対する敬愛とヒトの意識に対する尽きない興味が溢れ出ていたように思う。死の直前まで綴られた好奇心の1つ1つに感動すると共に、自分自身もこのような最期を迎えられたら幸せだろうなとふと思った。養老先生の解説も良かった。

  • 意識の川をゆく: 脳神経科医が探る「心」の起源

  • 著者はこの原稿をまとめてから直ぐに亡くなったそう。同じ著者の他の本で読んだことあるような話が多かった気がします。ただ、コレはなかった、肝動脈の塞栓術手術の話。担当医から手術前に術後の辛さについて延々と語られているけども、実際、本当に辛そう…

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