クリエイティブ・スイッチ 企画力を解き放つ天才の習慣

  • 早川書房 (2018年12月5日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784152098214

作品紹介・あらすじ

ヒット商品を生み出す秘訣はなにか? 小説や音楽、アプリ、アイスクリームなど、どんな分野でも、天才的なクリエイターには共通した行動様式が見られるという。データ分析のプロが数々の事例と科学的な知見をもとに、一流の企画力が身につく方法を伝授する!

感想・レビュー・書評

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  • 予備知識ゼロで図書館で借りて読んだら、とてもよい本だった。手元に置きたくて、即Amazonでポチった。

    よくある「アイデア本」のようなタイトルだが、そうではない。

    とくに、「企画力を解き放つ天才の習慣」という副題がダメダメ。
    そもそも、これは企画力強化の本というより、さまざまな創造の「極意」を教える本である。

    また、「天才の習慣」というけれど、むしろ「天才的なひらめき」などないということが、何章も費やして論証されている本なのだ。

  • 創造とは何か、クリエイティブとは何かを事例を通して説明している良書。

    クリエイティブとか、改革とか言っている上司に読んでほしい。

    クリエイティブとは周りに作られた事象であり、誰もが作れる
    ただ、戦略、タイミングが必要で、造られたモノ。創造曲線、大量消費など、アイデアを具現化するのに必要な事を事例を通して論理的に解説している。

    残酷ではあるが、タイミングも含めて戦略的にアイデアを具現化できるようにしよう

  • [出典]
    「解像度を上げる」 馬田隆明 P.301

  • ひらめきとは、一瞬のものだが、
    それを導き、かつ活かすのは、一朝一夕でできるものではない。魔法なんてない。人脈大事、環境大事、普段の積み重ね大事。切磋琢磨大事。そういう話かな?

    著者のふんだんな取材に基づいた、実例がいっぱいあがっていたけれど、かなり読み飛ばしてしまっているけれど、ピクルスのアイスのくだりはちょっとした衝撃でした。

    あの「危険な情事」が、試写での反応で、ラストを変更した、というエピソードも興味深かったです。

    インプット大事。アウトプット大事。
    トライ&エラー大事。

    成功の習慣化、は、某バレー漫画で
    心に残った言葉だけど、
    この本を読んで、思い出しました。
    そのままの単語は出なかったけれど。多分。

  •  新サービス開発のお勉強。ずっと信じてきた一万時間の法則の誤りを指摘。なるほど。また、森岡さんの「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を思い出された。

     訳者あとがきより、要約。

     著者のいう「創造曲線」とは、ある作品や商品に対する好き嫌いや人気度の時間的な推移をグラフで表したときにできる釣鐘型の曲線のことです。本書によると、人はあるものに対してなじみが増せば増すほど好きになっていきますが、ある時点を過ぎるとどんどん飽きて嫌気が差していきます。つまり、作品や商品をヒットさせるには、人々によって適度になじみ深く、しかも適度に目新しいものをつくらなければならないということになります。

     創造曲線の法則は、
    ①大量消費
    ②模倣
    ③クリエイティブ・コミュニティ(創作仲間)
    ④反復
    の四つの要素で成り立っていて、ヒットメーカーは共通してこの四つの法則に従っていると著者は主張します。
     ひとつ目の「大量消費」は、作家なら本、ミュージシャンなら音楽、というように、自分がつくろうとしている作品や商品の分野について大量の情報を蓄積していく段階です。…二つ目の「模倣」は、ほかのクリエイターの作品やヒット商品のパターンを分析し、とりいれる段階。三つ目の「クリエイティブ・コミュニティ」は作品や商品づくりに欠かせない仲間や人脈を築く段階。そして四つ目の「反復」は、いろいろなアイデアを出し、テストやフィードバックを通じて繰り返し磨きをかけていく段階。


     以下、本文より。

     成功したほうのグループは「自信満々で忍耐力があり、幼いころから両親の励ましを受けていた」という。…高いIQが大成功につながるわけではなかった。

     一万時間の法則には主にふたつの欠点がある。ひとつ目に、重要なのは費やした時間ではなく時間の使い方だという点を指摘し忘れている。…
     ふたつ目の一万時間の法則の欠点として、エリクソンの研究では、目的意識をもった練習だとしても一万時間積めばエキスパートになれるという事実が発見されたわけではない。一万時間の目的意識をもった練習というのは、彼が調査したエキスパートたちの平均値だった。ずっと少ない時間でエキスパートになれた人もいれば、もっと時間のかかった人もいた。

     要するに、ひとつのスキルを習得するには目的意識をもった長時間の練習が必要で、具体的な時間は習得しようとしているスキルによって異なるということだ。

     脳の生理機能が状況や経験に対して適応するという現象は、「脳の可塑性」と呼ばれる。

     「ドーパミンはなにかを摂取する喜びをつかさどるというより、なにかを手に入れようという動機づけをつかさどるのです」とデューツェルは説明する。彼によれば、脳内におけるドーパミンの本当の役割は、もっと詳しく知るためになにかに接近するタイミングを決定づけることなのだという。

     つまり、マーク・ザッカーバーグとフェイスブック・チームは、知らず知らずのうちに創造曲線の法則に従い、なじみ深さと目新しさ、そのふたつの絶妙なバランスをとったわけだ。もし目新しすぎれば、人々が怖がって近づかなかったかもしれないし、ありきたりすぎればまったく興味をもたれなかっただろう。
     …「難しいのは機能を追加することじゃない。どんな機能を付けないか、なんだ」

     創造曲線
    隠れブーム→スイートスポット→陳腐化の開始点→成功後の失敗→時代遅れ

     ふつう、こうしたクリエイターたちは大忙しなのだが、一日に三、四時間、つまり起きている時間の20パーセント近くを、こうした消費活動に費やしている。大量消費の経験を通じて、あるアイデアが創造曲線のどの地点に位置するかを直感的に理解するための見本を着々と蓄積していくことができるのだ。
     私はこれを「20パーセント原理」と呼んでいる。起きている時間の20パーセントを、あなた自身の分野のコンテンツを消費する活動にあてるのだ。

     ボウデンは予備知識を築くことの重要性についてこう説明する。「ひらめきに対する人々の考え方にはひとつ問題がある。ひらめきは魔法のようなプロセスだから、ひらめくために努力する必要なんてないと考えているのだ。しかし、ひらめくためには一定の知識を築く必要がある。知らない物事についてなにかをひらめくことなんてありえないのだから」

     本書を執筆する過程で、私は創造活動が多くの面でチームスポーツだということを思い知った。

     …知識のスピルオーバーとは、人々や組織が出会い、交流し、会話していくなかで、アイデアが共有されていくプロセスのことだ。芸術家が自分の発見した新しい手法を別の芸術家に漏らしたり、研究者が新たな技術を起業家に教えたりすると、知識がネットワーク内の別の人間へと移転、つまり流出する。要するに、人から人へとなにかを教えるプロセスが永続的につづくわけだ。

     クリエイティブ・コミュニティは次の四種類のメンバーで構成される。
    ①一流の教師―あなたの職業や業界のパターンやイロハを伝授してくれる人物だ。ほどなくなじみのある作品や商品を生みだす力になってくれるとともに、目的意識をもった練習を積んでスキルを磨いていくのに必要なフィードバックを与えてくれる。
    ②相補的なパートナー―だれにでも欠点はある。その欠点が致命的にならないよう、あなたの欠点を補うような特徴をもった人物を見つけなければならない。
    ③創作の女神―クリエイターの生活にはへこむ時期もしょっちゅうある。そういう時期をがんばり抜くためのモチベーションや刺激を与え、斬新なアイデアを出し、ときにはあなたの最高の力を引き出すよきライバルになってくれる人々が必要だ。
    ④卓越したプロモーター―クリエイターとして成功するには、まずは優秀なクリエイターとして認められることが必要だ。すでに名声を築いていて、その名声をあなたに分け与えてくれる人物が卓越したプロモーターだ。それはあなたのためだけでなく、プロモーター自身のためにもなる。斬新なアイデアに触れることで、創造曲線のスイートスポットにとどまりつづけることができるからだ。
     
     私が調査したどの分野でも、クリエイターは成功確率がもっとも高いものへとアイデアを絞りこむため、アイデアに磨きをかける独自の方法論をもっていた。このプロセスを表わすしゃれた略語はないのだが、どの分野のクリエイターも、先ほどのベン&ジェリーズの例で紹介した次の四つのステップを使っていた。
     コンセプト化…クリエイターがアイデアの有力な候補を挙げていく段階
     絞り込み…200種類の候補を、テストする価値のある15種類程度のアイデアまで絞り込む段階
     選定…社内か社外かを問わず、人々の意見を参考にして質的な視点を手に入れる
        データや直感を裏づけるより深い文脈を集めなくてはならない
     フィードバック…フィードバックを受けとることで、クリエイターは自分が創造曲線のスイートスポットにいるのかどうかを判断することができる。

     …顧客に愛される作品や商品をつくる最大の秘訣は?ずばり、顧客の声に耳を傾けることなのだ。
     データに基づくプロセスを用いて、アイデアに反復的な改良を重ねていくというのが、創造性を発揮するための最後の四つ目の法則だ。

  • 〇1万時間の法則の間違い p.75
    ・元論文(エリクソン)の著者が言う。目的意識をもった練習が必要。
    〇接触回数が増えれば、好きになる。

  • マルコム・グラッドウェルのように、切れ味ある主張を具体的なエピソードと学術調査や研究結果で裏付けしながら、ストーリーを展開していて、人におすすめできる内容の本。
    本の内で出てくたパターン認識や模倣を筆者が実践した結果、このクオリティの本になったのでは。

  • 『クリエイティブ・スイッチ:企画力を解き放つ天才の習慣』(アレンガネット著/早川書房) vol.486
    https://shirayu.com/blog/topstory/marketing/7681.html

  • 天才クリエイターはどのように誕生するのか。神がかりな閃きと天才的な頭脳を持つものだけがなりえるものなのか。本書はすべて否定する。創造曲線というものを意識すれば、誰でもクリエイターになれると本書は説く。もちろん本人の意識が前提になるのだが、天が与えた才能が必須ではない。私のようなごく平凡な物事にとっては福音とも言える。本書を読んで、まだまだ新しいことに挑戦しようとする意識がわいてきた。

  • 創造曲線(クリエイティブ・カーブ)
    人間は馴染みのものを求めると同時に、目新しいものを求める

    ①大量消費の法則

    ②模倣の法則

    ③クリエイティブ・コミュニティの法則

    ④反復の法則

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