- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152098313
作品紹介・あらすじ
結婚をして息子をえたパトリックだが、子どもへの強すぎる愛を持つ妻やニューエイジ団体にはまる母に翻弄されるばかり。メルローズ家は過去の呪縛から逃れられないのか? 家族の新しい世代だけが変化への希望だった。英国最高峰の文学賞ブッカー賞最終候補作
感想・レビュー・書評
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ここまで読んできた4巻分の中で、一番、どう味わえばいいのかわからない話だった。前評判で期待しすぎてしまったのかも。
自分を救い出してくれなかった母親に対する複雑な感情。実のところ、それがどういうものなのかは具体的に書かれておらず、読者自身が想像しているものを携えてこの巻を読み始める。だから、どう読むのかが本当に人次第なんだなと読み終えて気づいた。最終巻まで読んで、もう一度この巻を捉え直してみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このシリーズの中では、今までで一番良かったですが・・・ですが・・・おもしろいかと言われると・・・うーん・・・(-_-)
ドラマ化もされた新刊なのに、図書館でもぜーんぜん予約が入っておらず、大変に残念なので、いいところだけ書きます!
パトリックが正気を保っている割合がぐっと多くなったせいで、皮肉とか嫌味に磨きがかかって、セリフの部分がけっこう笑えます。
私も、誰かに反論するとき、こんな風にピリっと悪意をにじませつつ、笑えるように言い返せたらなぁ、と思ってしまった。言うことがいちいちおかしくて、このシリーズの中では一番笑えました。
特に「サブプロット」のところとかおかしかったな。
パトリックの嫌味攻撃のことを「鎖をはずされた狩猟犬グレイハウンド並みの勢い」と表現されていたところがあって、その例えがおもしろくて、思わずクスっとなったけれど、実際そのシーンで論じられている問題には笑えなかった。
3冊もかけて両親への苦渋に満ちた複雑な思いを吐露し続けた割には、最終的に母親の無茶な願いに理性をもって全面的に応える形で対応していて(その結果のグレイハウンドのシーンになるわけだけど)、そのあたりはさすが個人主義の国の人だなぁ、と国民性の違いを感じて、ちょっと感心したりもした。
(おまけの追記)そういえば、鶏についての記憶をパトリックが回想するシーン、激しいデジャブ感があったので、なぜ?と考えてみたら、映画「バベル」にそっくりのシーンがあったのを思い出した。この本のイギリスでの初版は2005年、バベルは2006年の映画だから、時期的に見ても、偶然というよりはバベルがパクったのかしら・・・・。確かに、ある種の人がすごく好きそうなシーンです。
エドワード・セント・オービンの作品





