予測マシンの世紀: AIが駆動する新たな経済

  • 早川書房
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本棚登録 : 173
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098375

作品紹介・あらすじ

人工知能(AI)により予測のコストが格段に下がり、経済のルールが根本から書き換わりつつある。この激変期を勝ち抜くための競争戦略は? ケヴィン・ケリー(『WIRED』創刊編集長)らが絶賛、AI研究の最前線・トロント大学の経済学者による超話題作

感想・レビュー・書評

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  • AI=予測マシンとし、いま起こってるAIの急速な発展・普及を的確に表現している。「予測コストを下げる」のがまさにAIの役割であり、その基となる膨大なデジタルデータを収集するのがIoTだ。AI+IoTが予測と決断を迅速化し質を向上させると考えればGAFAやアリババ、バイドゥの数々の取組みの戦略が見えてくる。本書内の技術動向と豊富な事例はいずれも興味深いが、特に医療画像診断のスタートアップが「結論」ではなく「予測」を提供し「判断」は人間に委ねるという境界整理は面白い。技術的限界ではなく法規制や役割分担と考えると、これから様々な産業でAIが普及し同等な境界整理が行われることだろう。

  • AI(人工知能)の持つ根本的な役割は「予測」を安上がりに実行することであるとして、それが今後の社会に与える影響を解説した一冊。

    AIは、膨大な量のデータを様々に組合わせて瞬時に分析し、より精度の高い予測を実現することで、ビジネス上の不確実性を減少させ、様々なトレードオフを解決するため、企業の組織構造やビジネスの境界に変化をもたらすが、AIはデータが少ない領域や例外的な処理は不得意であり、さらには予測以外のタスク(判断や行動)についても、その大半は汎用的なスキルを持った人間が担うので、人間は機械によって駆逐されるのではなく、それぞれの得意分野によって分業することが可能である。

    また、AIには規模の経済が働くため、GAFAやアリババ等の一部企業による富の独占を招く恐れがある一方、規制によって規模が縮小すれば性能が低下するので、AIの生産性やイノベーションと、競争や富の公平な分配との間にトレードオフがあるという。カナダ・トロント大学でAI研究の第一線を担う著者の主張は、経済的な視点からAIの本質的な意味を明確化しており、とても興味深い。

  • 未来を知ることが出来たら、どれだけ人生にプラスだろうか。
    それは未来を知ることで、他人との勝負に断然有利になるからだ。
    未来が分かれば、経済的な富を得ることもたやすいだろう。
    何せ、次に何が流行るのか?何の需要があるのか?が分かるからだ。
    つまり「正確に予測する」ということは、人類の念願なのだ。
    この本で更に面白いのは、予測が進化し過ぎると、業態まで変化をさせるということだ。
    今までAMAZONなどの通販では「ショッピング・ゼン・シッピング」だった。
    それがAIの進歩によって「シッピング・ゼン・ショッピング」に変わるという。
    俄かには信じがたいが、AMAZONは真剣にそんな世界を目指している。
    後者が実現すると、何が変わるだろうか?
    物流の仕組みもビジネスの仕組みも変わって行くだろうということだ。
    今AIを通じて、それらがかなり精度高く実現されようとしている。
    果たして「予測」とは、少数の人だけが独占するのだろうか?
    それは本当に恐ろしい世界だ。
    AMAZONもGoogleもFacebookも、自分たちがそうなることを目指していると言ってもいい。
    もちろん中国勢も黙っていない。
    アリババ、テンセントのAI開発競争も凄まじい勢いだ。
    勝者総取りと言われる中で、果たしてAIの予測は民主化されないだろうか?
    少数が独占するよりも、人類の発展のために寄与させた方がいいのではないか?そんな議論もある。
    しかし民主化された予測は、便利な面も確かにあるが「すべてが予測通りになってしまう」ともなるのではないだろうか?
    まさにどちらが主で、どちらが従かは分からなくなるようなものだ。
    むしろ「AIの予測(答え)」は「AIから人間への命令」のようにならないだろうか?
    AIは複雑すぎて、その答えが「どうやって?」導き出せたかは説明が出来ない。
    人間にとっては、腹落ちしないまま、答えだけ「これが正しいはずだから実行せよ」と通達される。
    これでは、なかなか上手くはいかないだろう。
    AIを上手く使って出させた答えに対して、人間が判断をしていくという意見もある。
    AI+人間のハイブリットが、確かに正しい答えを導き出すためには、今の段階では有効そうだ。
    しかし、その状態はいつまで続くだろうか?
    AIが勝者総取りされ、我々は服従する側となってしまうのか。
    果たして民主化されても、やはりAIそのものが力を持ちすぎることで、いずれにしても我々は服従する側となってしまうのか。
    どちらとなっても、AIは更に複雑化し、進化していくことには違いがない。
    人間は益々AIの予測に依存していくのだ。
    本来は「人間が持つ経験」が「野生の勘」につながり、それが未来予測となっていたはずなのに、「正しい判断を行う」ための経験が圧倒的に不足していくのだ。
    未来世界において、AIに依存した人類がAIを正しく使いこなす側になるのは、相当に難しいことのように感じる。
    全てがデジタル化されていく未来。
    そんな社会で我々はどうやって生きていくのか?
    AIでは絶対に侵せない人間の領域とは何なのか?
    本当に真剣に考えてしまう。
    (2020/5/16)

  • 端的な具体例を多く並べつつ、章毎にキーポイントをまとめてくれているので、とても分かり易かった。
    AI/予測マシンを活用する時に意識すべき具体的な要検討項目や、キャンパスツール、トレードオフについて書かれている本。

  • 経済学者が書くAIの本。ソフトウェアエンジニアの書く本は少し読んだことがあるが、それとは違った今のAIの本質を示してくれる。

  • AIを主にビジネスの観点から論じたもの。
    AIが得意なのは「予測」だという。その予測で誰がどのように意思決定するのかが重要。その上で、仕事をどのように再編するのか、ビジネスはどう変化するのか、社会へはどのような影響があるのか。改めて整理することができる。
    医療画像の診断はAIの方が上だと言われるが、リスクをどう判断し、どのように治療をし、どう患者に向き合うのかは人が判断せねばならない。そのような判断ができる人はAIの世界でも価値があるのだろう。
    原書の問題なのか、翻訳の問題なのか。少し読みづらかったのが残念。

  • 本書は経済学の観点からAI社会を考察する。とはいえ現在のAI技術の本質はきちんと押さえている。近年飛躍した機械学習の本質は予測器の作成にある。本書では高精度な予測器が極めて安価に提供された世界、例えば通販サイトのおすすめ機能が99%であなたが欲しいものを予測する世界を考える。するともはや注文を待つのではなく商品をいきなり送り付け、万が一気に入らなければ返品してもらう方が正解になる。本書ではなにが予測可能か考慮しつつ予測コストが下がった世界で何が起きるのか考察しており、示唆に富んでいる。
    (教員 推薦)
    (特集:「先生と先輩がすすめる本」)

    ↓利用状況はこちらから↓
    http://mlib.nit.ac.jp/webopac/BB00548874

  • 人間には様々なバイアスが潜んでいて、統計的にもの事を予測することがとても苦手てある。
    そこで、AIを予測するマシンと定義して、需要の予測や費用対効果の予測などを行えるこれからのビジネスに欠かせないものとして、人間とマシンの分業を提唱してます。
    また、ワークフローを「予測」、「入力」、「判断」、「訓練」、「行動」、「結果」、「フィードバック」七つに分解することで、AIの能力を最大限に引き出すことができるとして、「AIキャンバス」という思考ツールを紹介してます。
    終章では、生産性と分配、独占への懸念、プライバシー問題などが国家の課題として締めくくっている。
    主題はとても勉強になりますが、全体に冗長で散漫な印象、読み通すのがあまり楽しくなかった。

  • 普通のことを書いてある。普通の良書系。

  • 東2法経図・6F開架:336.17A/A19y//K

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