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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784152098412
作品紹介・あらすじ
アメリカの失業率は実質ゼロ%? 毎朝1ポットのコーヒーを飲めば長生きするが、一日2杯のコーヒーは発がん率を高める? 様々な事例をもとに、各種データから巧妙に導き出されるトリックを明かし、騙されないための極意を伝授。ビッグデータ時代の必須教養
感想・レビュー・書評
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スティーヴン・レヴィットのベストセラー『ヤバい経済学』の目玉の章である、ニューヨークの犯罪減少の最大要因が中絶の合法化、という内容が否定され、かつ、レヴィット自身がそれを認めていたのが、大変衝撃的だった。
他の内容は大体統計の面白本でよんだことがあるよう内容だったけど、筆が鮮やかでとにかく読みやすい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
背ラベル:417-ス
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世の中にあふれる一見もっともらしい数字や調査結果。それにどう向き合えばいいのか? データの見極め方を、各種事例を交えて説く。
1章 パターン、パターン、パターン
2章 ゴミを入れれば真理が出てくる
3章 リンゴとプルーン
4章 おっと、失礼!
5章 見た目の罠
6章 常識の力
7章 交絡因子を探る
8章 負ける気がしないのは気のせいか
9章 回帰
10章 プラスマイナスゼロ
11章 テキサスの狙撃兵
12章 人生最後の先延ばし
13章 重大な省略
14章 空虚な理論に腐ったデータ
15章 心はもう決まっている
16章 理論なきデータ
17章 虎の子を投資するなら
18章 データなき理論
納得するとき、疑うとき -
データドリブンを装う理論や研究成果も、十分に疑ってかかるべきということを、様々な類型と実例で示した書籍。
ランダムサンプリングしたつもりでも自己選択バイアス(ある選択をした者に共通する傾向。A大学とB大学の卒業率を比較する時、入学時の学生の特性そのものが異なるため慎重に比較検証すべき)や生存者バイアス(帰還した戦闘機から被弾箇所の傾向をみようとしない。致命的な場所に被弾した戦闘機は帰還しない)でデータはすでに偏っているかもしれない。
交絡因子(結果に影響する別の因子の偏り)が検証結果に影響を及ぼしているかも知れない(コーヒーを飲む者の癌になる確率は高いが、これは喫煙率が高いためで、コーヒーに発ガン性があるわけではない)。
自然選択の結果、人間はあらゆる事象に法則性を見いだしてしまう癖がついていることに由来する誤りもある。
平均への回帰はシンプルに確率の問題だが、何らかの意味があると勘違いしてしまう。
大数の法則の誤った解釈で、これまでの試行結果の偏りが次の独立した試行の結果に影響すると思い込んでしまう。単なるランダムな偏りにも人は法則性を見いだしてしまう。
これに加えて、研究者は新たな理論とその統計的に有意な検証を求める強いインセンティブがあり、都合の良いデータを求めてしまったり、データをこねくり回して何らかの(実際にはランダムな偏りの一つに過ぎない)法則性を見つけてしまったり、果ては捏造したりする。
受け手として留意すべきことは、不自然なデータの取り方は疑ってかかり、常識的におかしい説は疑い、理論を見つけたデータとは異なるランダムな新データで検証されたものを求めなければならない。
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統計データのゆがみについて
最後の章にまとめがあるので引用
パターンの誘惑
間違った、あるいはバイアスのかかったデータ
怪しいグラフ・データの省略
よく考えずに計算する
交絡因子がないか
絶好調の波vs大数の法則の誤解
平均への回帰
テキサスの狙撃兵(たくさんデータを集めて都合のよい部分だけ抜き出す)
理論なきデータvsデータなき理論 -
わたしも論文を書いたときに、たくさんの論文を読んだけれど、多くは過去を振り返ったデータや、母数の少ないもの。そもそも、学生を対象にしたものばかりで、それを一般的な社会人にも当てはまるかのように説かれたものが多くて、信頼に当たらないと感じるものが多かった。学生を選んだのは調査費や労力を鑑みてのこととしか思えなかったからだ。もちろん、それが学校教育に関するものであれば、最適だが、多くはそうではない。
この尖った本を鵜呑みにするのも良くないとは思うが、バイアスは気づけばかかるものなので、一読して損はないと思う。ただ、気付けないほどひどくかかってる人もいるし、急に考えが変わる人もいるだろう。
ただ、読み進めていくと、「あなたは間違ってるんです!」って技術者に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もあの手この手を尽くして怒られている気持ちになってくるw
一言でいうと
「データやグラフを鵜呑みにしちゃいけないよ。詳細はこの本で」
以上です。