荒野にて

  • 早川書房 (2019年3月6日発売)
3.19
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  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098443

作品紹介・あらすじ

孤独な15歳の少年は、殺処分が決まった老競走馬をひそかに連れ出し、遠くに住む伯母のもとへ荒野を行く旅に出る。胸を打つ物語。アンドリュー・ヘイ(「さざなみ」)監督映画原作。4月12日(金)公開! ヒューマントラストシネマ渋谷他、全国順次ロードショー

感想・レビュー・書評

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  • 「馬との友情物語」的なものかと思っていたが違っていた。つらい話なんだけど、読んでいていやな気持ちにならず、不思議な爽やかさがあるのはなぜだろう。主人公の少年が自己憐憫に浸らず、妙に力んだりもしないからだろうか。映画化されているそうで、観てみたいが、ハリウッド的にアレンジされていたらいやだなあ。

    • kuma0504さん
      観ました。むしろ反ハリウッド的でした。私的にはもやもやが残りましたが、しかし、これが人生なのだと言われれば、そうなのだと思う、という感想を持...
      観ました。むしろ反ハリウッド的でした。私的にはもやもやが残りましたが、しかし、これが人生なのだと言われれば、そうなのだと思う、という感想を持ちました。
      2019/06/01
    • たまもひさん
      コメントありがとうございます。
      コメントを読んで、なおさら観たくなりましたが、出遅れてしまっているので、上映館があまりないみたいです。DV...
      コメントありがとうございます。
      コメントを読んで、なおさら観たくなりましたが、出遅れてしまっているので、上映館があまりないみたいです。DVDを待つかな。
      2019/06/01
  • この少年は人の痛みのわかる感受性の豊かな人間になるんだなあと思う。ラスト、本当に良かったねと肩を抱きたい。

  • トレーラーの運転手として転々とする父親と暮らすチャーリー、15歳。父親の新たな仕事のためにオレゴンに引っ越してきた。以前いたところではフットボールの選手として表彰されたこともあるチャーリー。新学期と共に地元のフットボールチームに入るため日々ランニングは欠かさない。その途中で競馬場があることを知り、調教師の手伝いをすることにする。狡猾な老調教師デルだったが、そこで競走馬のリーン・オン・ピートに愛情を注ぐようになる。やがて、父親がトラブルに巻き込まれ重傷を負って病院に入院し意識が戻らないまま、亡くなってしまう。そしてリーンもけがをしているようで安楽死になりそうだとわかる。チャーリーは唯一自分に優しく接してくれた伯母を探しにリーを連れてワイオミングへ向かう。

    伯母の住所も知らず、デルの車を盗み(もちろんリーンもデルの馬だ)無免許運転でひたすら走る。車が壊れればリーンと二人(?)で歩いて行く。途中に起きる様々な障害。野宿や万引き、けんかやケガ。そして最愛のリーンを交通事故で失う。何回も保護され、そのたびに逃げ出し、ボロボロになりながらも伯母を探し出す。
    いやはや、壮絶なロードストーリーだった。

  • 映画が素晴らしかったのでこちらも。

    凛とした強さと脆さをあわせ持ったチャーリーが魅力的。心根がまっすぐで、人前でも時に思わず涙を流してしまうところも愛おしい。

    幾度となく酷い仕打ちに見舞われながら、それでもときおり差し出されるささやかな優しさ、温かさに救われる。読み終えた後、冒頭の「エデンの東」の一節を振り返った。

    過去のことを忘れることはできないだろうけれど、彼のこれからの人生に光が射しますように。

  • 伯母に会いたい一心で、自分の道を切り開いたチャーリーはすごい。15歳の小さな体の中に一体どれほどの生命力が込められているのだろう。見習わなきゃ。父を慕い、伯母を慕い、逞ましく生きた少年。自分でお金を稼ぐことを覚えたり、良くないことでも生きていくために必要な事を本能で身につけている。だが、それでも世間はチャーリーに厳しい。それでも諦めなかったのは、過去の思い出や会いたいと思う強い意志があったからこそだと思う。すごい。若いって素晴らしい。

  • この人はバンドもやってていわゆる二足のワラジなんだが、それが駄目に作用してない素晴らしい作家だなあ。や、これ一冊しか読んでないけどね。15歳の全然擦れてない少年のひたすらしんどい旅、ただそれだけなんだけど、どん底の腹ペコの中、この子は少しも誰かのせいとか、自分だけがなんでこんな目に、とか「くさらない」で、唯一の親族伯母さんの住む土地にひたすら向かって進んでゆく。地味な話なのに、読むのがしんどいほどに現実の厳しい描写が痛々しく、このリアルな感覚を表現できる、すごい書き手なんだなあー。

  • 15歳のチャーリーに母はおらず、優しい父も仕事や女でめったに家にいない。住居を転々としているため、頼れる人もいない。チャーリーはなんとか食べる分のお金を確保しようと近くの競馬場でアルバイトをする。チャーリーは、そのバイト先で出会った競走馬ピートに惹かれていく。ところが父の急死に加えてピートが走れないため処分されそうになり、昔会ったことのある伯母のところへピートと一緒に荒野を歩いて探しにいく…という内容。
    チャーリーは、伯母のところへ行く道中様々な人に出会うが、優しい人もいて、そのような人たちにとても魅力を感じた。「幸運を!」って言いながら誰かを助けていきたいなぁ…

  • こんなにも祈るような気持ちでページをめくった本があっただろうか。
    映画化されたようですが、劇場では観れなかったので、レンタルで観ます。

  •  こんな悲しい物語は、できれば読みたくない。ラストに用意されている薄い光明では、沈んだ心は十分に晴れない。
     主人公が出会う悲しみに満ちたエピソードには常にやりきれなさがつきまとう。エピソードの向こう側に階級社会の影が強く見えるからだ。やりきれない出来事の連続の中にも、温かみを感じる人々が主人公に手を差し伸べる。固定された階級社会の中で生きていく時、救いになるのは社会制度ではなく、市井の人々の暖かさだけなのか。
     映画『万引き家族』を観た時と同じような感覚だ。

  • チャーリーはフットボール選手になりたい15歳の少年。
    父親と二人暮らしで親子の仲は悪くないが、家を長い間空けることの多い父が生活費をあまり残しておいてくれないのが悩み。なのでチャーリーはいつもハラペコだ。
    自分でお金を稼ぐために競馬場で調教師の手伝いを始め、リーン・オン・ピートという馬に出会う。ピートは穏やかで速い良い馬だが脚を傷めていて、調教師には治療費を出す気がない。
    やがてチャーリーの父は女がらみのトラブルで瀕死の重傷を負い死んでしまう。
    チャーリーは殺処分の決まったピートを連れて競馬場を抜け出し、唯一の親戚である叔母の家に向かって出発する。
    旅の途中で精神的にも肉体的にも傷だらけになり、途中で事故死してしまったピートへの罪悪感にもうちひしがれ,
    それでも生きるために食料品を盗みながら旅を続ける。
    警察につかまり保護施設に送られるが、そこでもトラブルに巻き込まれ脱走。再び叔母の家を目指す。

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