逃れる者と留まる者 ナポリの物語 3

  • 早川書房 (2019年3月20日発売)
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感想 : 7
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本 ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784152098467

作品紹介・あらすじ

婚家を出たリラは、工場で働きながらコンピューターを学ぶ。一方エレナは、学生時代からの恋人と結婚して子供を儲けるが、しだいに夫との溝を感じるようになる。そんな折、彼女は初恋の相手と再会し……米HBOドラマ化の世界的話題作、急展開の第三巻登場!

感想・レビュー・書評

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  • エレナはナポリを離れ結婚生活を始めるが、思い描いていた結婚生活を送ることができずにいた。そこで何十年も思い続けているニーノとの再会を果たす。国内の情勢の変化に伴い混沌とした環境で苦しむリラを支え、自らの著作活動も進まず、夫への愛情も見失い、子育てにも苦しむエレナはニーノと愛人関係に落ちてしまう。家族との訣別を決心しニーノと旅行に出かけるシーンで今回は幕を閉じるが、エレナとリラの人生はどのような顛末を迎えるのか。最終巻も楽しみにしたい。
    かつて暮らした街から逃れてもなおリラの幻想からは逃れられず、どれだけリラから離れようとしても節目節目でエレナの前に立ちはだかるリラ、死んでくれとまで願うほど憎む一方でリラを求めてしまうエレナ自身の葛藤がよく描かれている。
    これだけ主人公の心理描写がされている物語も珍しく自分自身もこのように振り返ることで自身が無意識に感じていた感情などについての理解が深まるかもしれない。

  • 2024.12.15市立図書館
    イタリア・ナポリの下町を舞台に、第二次大戦末期生まれの少女エレナとリラを中心にその成長と友情を描いていく物語。
    幼年期から晩年までを描く四部作の3冊目は1970年代、大人になったふたりにそれぞれの転機が訪れる。
    冬休みにゆっくり読めますように⋯

    けっきょく、春休み(2月)になってようやく読み始められた。本を出して結婚を控えたエレナと一児の母となって肉の加工工場で働くリラの再会からはじまり、フィレンツェで二時の母となったエレナが妻子あるニーノとも再会するこの巻は70年代の労働争議やフェミニズムのなかでおもいもよらない展開が続いていき、リラを信じていいのか、エレナの決断を応援していいのかどうか、わからなくなっていった。
    それにしても、頭がいくら回っても"ファシスト"が幅を利かせる地元や利害が絡まりあった人間関係から抜け出せない人々の苦悩や空回りするあがきやあきらめが、今見ている大河ドラマ「べらぼう」の吉原の世界、そして人権や平等を謳いつつ男女や学歴、経済、地域間の格差が固定化しつつ広がっているいまの日本や世界とも重なって感じられる。また、リラやエレナ、ジリオーラ、妹のエリーザ、ニーノらさまざまなケースを読めば読むほど、男にとって、女にとって、そして家族や地域にとって結婚とはなんだろうということも考えさせられた。昔はひどかった、と笑ってすませることはできない。

    (同時に読み終えた「月ぬ走いや、馬ぬ走い」もまた歴史的に複雑にからみあって容易に抜け出せない沖縄の苦海を実感して同じような気持ちになった)

  • 浮気が多いな お国柄?



  • 女性が経験する肉体的な凡ゆるものは、ある意味リセットされる試練だと考えることがよくある。それらが滔々と綴られていて流石だ。家庭から逸脱する熱量には興醒めで目を覚ませと水をぶっかける衝動にかられた。

  • 序盤、主人公の物語が続きどうも退屈で挫折しかけたが、リラが登場すると勢いよく話が進み、夢中で読んだ。
    面白いが、心理描写が多いことと名前が覚えにくく、読み終わるとぐったりと疲れるのは前の2冊と同じ。
    続きを早く読みたいけれど、この疲労感を思うと少し怯んでしまう。

  • →「読み出したら止まらない~『ナポリの物語3』
    https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/a5be24e93a1e66bcf31f6145c79393aa

  • またもやラストで次巻を焦がれる思いではちきれそうになり、心がメキメキと音を立てます。

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