図書館巡礼:「限りなき知の館」への招待

制作 : 小松 佳代子 
  • 早川書房
3.63
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本棚登録 : 205
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098498

作品紹介・あらすじ

知の集積所としての図書館は、生と死、渇望と喪失といったあらゆる人間ドラマの舞台でもある。アレクサンドリア図書館からボドリアン図書館まで、古今の偉大な図書館の魅力を語り、文献の保守・保存・獲得に心血を注いだ「愛書家」たちのエピソードを活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 愛書家。。。魅力的な言葉

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    ボルヘス、エーコが夢見た「知の集積所」 その蠱惑的なあり方と古今の変遷を鮮やかに描く

    ボルヘス、エーコが夢見た「知の集積所」としての図書館は、生と死、渇望と喪失といったあらゆる人間ドラマの舞台でもある。アレクサンドリア図書館からボドリアン図書館まで、古今の偉大な図書館の魅力を語り、文献の保守・保存・獲得に心血を注いだ「愛書家」たちのエピソードを活写する。
    http://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000014163&search=%A5%B9%A5%C1%A5%E5%A5%A2%A1%BC%A5%C8%A1%A6%A5%B1%A5%EB%A5%BA&sort=

  • 【最終レビュー】

    図書館貸出。

    《図書館+美術館の融合》

    《『知』の『集積所』…『人間ドラマ』》

    映画館鑑賞した、ニューヨーク公共図書館

    との共通項と重なる、上記を含めたキーワードの数々…があったからこそ、既読できたといってもいい。

    究極かつ多種多様な

    [独特の雰囲気・歴史観のひとかけら、ひとかけらが凝縮された『深淵たる世界観』]

    [立場、地域の隔たりのない『魅了された空間』]

    世界中の津々浦々に点在している雰囲気が、存分に伝わってきた。

    印象に残った

    『見知ったキーワード』があったり

    『映画・アート・書物にリンクするテーマ』も踏まえられていたり…

    映画館鑑賞以降、こうして少しずつ、理解していくにつれ、一気に残ったページを読み進めていた。

    一括りにはできない

    『あらゆる視点・角度で』捉えられているからこそ

    グッと、先入観なく、溶け込んでいた。

    やはり、普段、行き慣れている分

    この空間の心地よさが、やっぱりいいんだなと…

    今一度、感じ入った内容がありったけに詰まっていた内容と言えます。

    では、ラストに、特に印象に残るキーワードを抜粋しながら、レビューはこの辺りで…

    口誦・愉悦・大英博物館

    装丁・文化遺産・修道院

    ルネサンス・魂の療養所・検閲

    ファースト・フォリオ(シェークスピア)

    アレクサンドリア・赤毛のアン・風と共に去りぬ

    ガリバー旅行記・真夏の夜の夢・創造の核心

    図書館が登場する洋画作品の数々

    ジュリアス・シーザー(阿部寛さん主演で舞台化・故、蜷川幸雄さん演出)

    図書館の文明開化

    知的・文化的・社会的成長

    精神を育む…文化的中継点

    〈偶然の発見!〉

  • ふむ

  • ☆☆☆☆ 古今の愛書家や書物収集家、書籍商、司書が大勢出てきた。個人によって何万冊と集められ、時に秘蔵された写本や稀覯書は、競売に出されたり図書館に寄付されたり所蔵者の名を冠した図書館に収められたりして再び目に触れるようになった。アドモント図書館、ザンクト・ガレン修道院図書館、シェイクスピア関連のフォルジャー図書館は実際にこの目で見てみたいなぁ。ページ数は多くないが読みごたえのある本。一行あたりの情報量が多く、話のテンポも早いので、消化に時間を要した。それでもやっぱり面白かったし、世界中の図書館をもっと知りたいと思った。ボルヘス、ウンベルト・エーコ、アルベルト・マングェルなど気になる作家の本からも引用されていて読みたくなった。

    p55
    アレクサンドリアの危険な歓楽街のほど近くに、書店がにぎやかに立ち並ぶ商業地区があった。(中略)彼らの生活はいくつかの悪事のうえに成り立っていたが、そのひとつに、司書を買収して所蔵されている巻子本を持ち出させるというやり方があった。持ち出された巻子本は書き写され、業者はそうした海賊版を国内外で販売した。

    p58
    原因が何であれ、アレクサンドリア図書館の巻子本は、ほぼすべてが失われた。ギリシャの戯曲だけでも、その損失は壊滅的だった。アイスキュロスの九〇作のうち八三作が、エウリピデスの八〇作品のうち六二作、ソポクレスの一二〇作のうちの一一三とともに失われた。だが、ひそかに作られた海賊版を含む一部の書物は、ギリシャやレヴァント地方、とりわけコンスタンティノープルのコレクションに行き着いた、アレクサンドリアから今日まで伝わる文献は、かなりの割合で書籍商の製作した海賊版である。

    p59
    一四五三年に、コンスタンティノープルはオスマントルコの手に落ちた。ボスポラス海峡沿岸に学びの場を設けていたギリシャの学者たちの多くは、
    イタリアへ逃れた。と同時に、イタリアからは書物を手に入れようとする人々が沿岸に駆けつけた。

    コンスタンティノープルから持ち出された書物や文献は、海路や陸路で、交易路や巡礼路を通って、ヴァチカンの教皇庁図書館かやアンブロジアーナ図書館、ラウレンツィアーナ図書館をはじめ、東西の修道院や公共図書館、あるいは個人のコレクションに加わることになった。ビザンツ帝国の崩壊は、ローマやミラノ、フィレンツェを古典研究の中心地に押し上げた。また、ヴェネチアがギリシャ語写本の主要な取引市場となる要因にもなった。その影響は、より遠方の新興の図書館、さらには後世の図書館、たとえばボドリアン図書館、ケーニヒスベルグ、ヴォルフェンビュッテルのような図書館にまでも及んだ。コンスタンティノープルから流出した書物や文献は最終的に、世界を豊かにしたのだった。

    p67
    「リンディスファーン福音書」の名で知られる七世紀の写本は、中世から伝わる素晴らしい彩飾写本のなかでも指折りの傑作だ。ルカによる福音書の冒頭のページには、鉛丹(訳注 赤色顔料の一種)で一万六〇〇もの点が打たれている。

    p68
    ボッビオ修道院は、ウンベルト・エーコの小説で映画化もされた『薔薇の名前』に登場する修道院のモデルとされる

    p94
    宗教改革のまっただなかにあった一五五〇年、六〇〇点以上の写本を含む図書館のすべての蔵書が、ヴェラムや羊皮紙として製本業者や商人に売却された。

    p107
    バロック様式で建てられたドイツのヴィブリンゲン修道院図書館では、トロンプ・ルイユ効果は絶大で、訪問者は建築要素のどれが本物でとれが錯覚なのかを見分けるのに苦労するほどだ。

    ザンクト・ガレンの図書館では、天井はロココ様式のスタッコ装飾によって区切られており、ヴァネンマッハーはそこに最初の四回の公会議-カルケドン、コンスタンティノポリス、エフェソス、ニカイア-を描きあげた。立体に見える錯視効果は、大広間の端から眺めたときに最大になる。

    p112
    印刷術がイギリスにもたらされたのは、ウィリアム・キャクストンがウェストミンスターに印刷所を設立した一四七六年のことだった。

    p213
    ウィリアム・ユワート・グラッドストンが言うように、ほかの文化的所産と同じく、書物は「民族の絆あるいは鋲」であり、ある文化を破壊しようとすれば、その書物を破壊するに勝る方法はない。

    p248
    ドメニカ・ディ・カルタ(訳注 イタリア文化省が主導するイベントで、多くの図書館が一般に開放される)

    p271
    フォルジャー図書館に一歩足を踏み入れると、きわめて現代的な美から近代初期の美へとまたたくまに劇的に転換することに、来館者たちは目を見張る。ヘンリーとエミリーは、「挿絵入りのファースト・フォリオ」を具現化しようと、この内装を考案したのだった。

    p293
    図書館はこの作品の中心で、プロットの要だ。この図書館を描くために、エーコは図書館や修道院の図面、鏡の回廊、
    迷宮を-ギリシャ風のものかり根茎のように網状につながったもの、型どおりのものや想像上のものまで-何百も研究し、絵に描いた。ランスにある大聖堂の迷宮は特に参考になったもののひとつだ。今日では図面と絵画でしかわからないが、この迷宮は八角形で、それぞれこ角にも尖塔に似た形の小さな八角形があった(中略)。ほかにも、ダラム大聖堂、イェール大学のスターリング記念図書館、ボッビオ修道院、ピエモンテ州の山岳地帯にあるスーザ渓谷に建つ堅牢な
    聖ミカエル修道院、理想の修道院と図書館を描いたザンクト・ガレン修道院の九世紀の図面などは、とくに大きな発想の源となった。

    p311
    古代ローマには多くの公共図書館があった。トラヤヌス帝が建設したいくつかの図書館のなかには、五世紀まで存続していた、ウルピウス図書館という大規模なものもあった。アウグストゥス帝も素晴らしい公共図書館を建設した。ローマ初期の公共図書館は皮肉なことに、ギリシャ方式をそっくり模倣し、略奪したギリシャ写本など、おもに戦利品をもとに建設されていた。
    公共図書館の伝統はルネサンス期のヨーロッパで復活した。一六世紀にニュルンベルク市の有力者たちが市立図書館を建て、一五五〇年代には手書きや印刷の書籍が四〇〇〇冊程度収蔵されていた。続く数世紀のあいだ、ヨーロッパ各国は誰もが利用できるようにとの志から、国立や市立などいろいろなレベルで図書館を設立していった。

  • 評判がよさそうだったので購入。

    図書館史的な内容と思ったけど、図書館のエピソードや愛書家、書物収集家を見ていくような図書。なので図書館史的な面はあるとしても、小説を読んでいるような感覚だった。

  • 図書館の歴史について……と思って買ったのだが、蓋を開けてみると、生田耕作が訳した愛書家シリーズを彷彿とさせる内容だった。いや、歴史や社会的な役割について触れていないわけではなく、著者もそちらを指向していると思われるのだが、出来上がった本書は何故か現代の『愛書狂』に変貌していたように感じられる。 

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