迷いを断つためのストア哲学 人生が変わるストア哲学

  • 早川書房 (2019年4月3日発売)
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  • 本 ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098528

作品紹介・あらすじ

人はいかに生きるべきか? 古代ギリシャ・ローマ時代にこの問いを考えぬいた人生哲学の元祖、ストア哲学。「コントロールできるものとできないものを区別せよ」「富や名声に価値はない」……現代人をストレスから救う、どんな自己啓発書にもまさる哲人の教え

感想・レビュー・書評

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  • 世の中には、自分がコントロールできること・できないことがあり、その見極めが重要。確かに他人の評価や成績は、私にはどうにもできない。気にしても仕方ないし、周りがどうであれ、自分ができることをやっていく。それを積み重ねる日々だ。

    時間がない人は、訳者あとがきだけでも読んでほしい。哲学がより身近になった。哲学は今後生きていく上で必要

  • マクロ的には『時間とテクノロジー』で言うところの「確率の物語」や「べき乗の物語」と言われて腑に落ちたんだけど,ミクロ的にはうまくいっていない自分がいてこの気持ちをどうしようかと思って手にとったのがこの本。「確率の物語」や「べき乗の物語」には公式がない。「因果の物語」のように成功方程式がない。それでいて成功者がさもありなんと見下している…そう思ってしまっていた自分がいる。
    この本はストア派の哲学を人生に活用できるようにマッシモ・ピリウーチさんが教えてくれる,という形を取っている。ストア派の哲学を知るというよりは、人生にストア派の哲学(特にエピクテトス)を活かす私の方法,というような趣になっている。
    さて,前段の僕の悩みに対しては「わたしたちの力の及ぶものは最大限に生かし、そうでないものは、なりゆきにまかせるのがいい」<エピクテトス『語録』>(p39)というのがこの本の答え。先程の『時間とテクノロジー』でいうところの「確率の物語」であれば,まさに確率の問題なわけで,当然自分の力だけでは解決できないこともある。とはいえ,それは確率を待つだけではなく,少しでも確率を上げる工夫をしたい。だから「状況の許す限り努力したうえで、解決できないこともある」(p198)。努力しても解決できないことがある。そういう事があるとわかるだけで心が少し落ち着く。もちろん,それで期待する結果を得られるかはわからない。でも「自分が最善を尽くしているのを知ることで、満足を得られる」(p48)ことを心得たい。
    著者の話の展開がじわりとこない部分もあるけれど,それは「ロールモデルといえども完璧な人間ではない」ということと同じ。ストア哲学に詳しくない人でうまくいかないと思っているのであれば,読んでみる価値があると思う

  • ストア哲学の入門と実践をエピクテトス(語録、提要)を主に取り上げ筆者の人生と絡めて紹介している。
    欲求は、何を求めるのか自分ではコントロール出来ないもの、人の行動などを求めるのは意味がなく、自分のできることを行う。
    行動、実際の世界でどのように振る舞うか。徳(勇気、公正、慈悲、節制、知恵、超越性)に従い、熟慮したのちに行動する。徳と無関係なものには触れる必要はない。
    受容、コントロール出来無いものを受け入れる、死は毎日近づいてくる。どんなものにも永遠はなくその瞬間を十分に過ごす。

  • 悪に走るものは悪を肯定しているのではなく,それが悪ということを判断できない,無知な状態.
    それは非難では買う哀れみを向けるべき.

    ベトナム戦争 ハノイ・ヒルトン ストックデール

    コントロールできるものとできないものを見定める.前者は落ち着いて受け止め,後者には後悔がない意思決定と行動をとる.

    孤独と1人でいることの違い,後者は事実,前者は後者に評価を加えたもの

    実用の友情・快楽の友情・善の友情

    知恵・勇気・公正さ・節制
    自分の他人化
    判断を交えずに話す

    しかし,ストア哲学はミニマリズム精神とも親和性が高く,自分の求めるストレスフリーなライフスタイルには必須だなあと思う

  • 私はもうすぐで節目となる年を迎える。それもあってか最近、「もう人生の●分の1くらいは終わってしまったのだな」と感じ、死ぬのが怖いという気持ちになりがちだった。

    時間潰しに立ち寄った本屋でこの本が目に止まった。哲学については素人で、有名な哲学者の名前なら知っている程度だったが、パラパラとめくったページにあった
    「わたしがストア哲学を信奉するようになった最後の理由は、死が必然であり、それにいかに備えるかについて、ストア哲学がもっとも直接的に、説得力をもって論じているからだ。」
    の一文が気になり、買ってみることにした。

    結論から言えば、読み終わった今、死ぬことへの恐怖は薄まったと感じる。ただそれは、死ぬことへの解像度が上がったとか、死後の世界に何か見通しが持てたとかではなく、「いつか自分は死ぬ、周りの人も死ぬ。それはどう頑張っても変えられない。逆に、誰かの存在がなくなり、居場所を譲ってきてくれたからこそ、いまここに自分は存在していられる。」という当たり前の事実を、この本がまっすぐに、ただし悲観的でないように教えてくれたからだと感じる。

    読み終わって新幹線の窓から風景を見た時、夕日が見えて、毎日のように見ている太陽にも寿命がある、と教わったことを思い出した。頑丈に見えるビルも、文明の結晶みたいに輝く都市も、例えば地球の薄皮1枚めくれてしまえば、簡単になくなってしまうようなものなんだなぁ、とも思った。だから悲観的になろう、という訳でなく、だからこそ、家族や友人、自分自身に対して「今が最後かもしれない、今が大切」と、ある種の緊張感を持って接するように、というのが、この本が教えてくれたことだと感じる。

    当たり前だが、現代社会によってうまく包み隠されているような感覚を思い出させてくれる良書と感じる。また死ぬのが怖くなった時、自分の人生に対しての緊張感が緩んでしまったとき、この本に戻ってきたいと思うし、同じような思いを持つ人におすすめできる本だと感じた。

  • とあるYou Tubeの動画でストア哲学の解説がなされていて、関連する本を夏に札幌に行ったときに購入していたんだが、なかなか全部読む前に図書館で借りた本とかを優先してしまていて積読になってしまっていた。
    今回たまたまほかに読む本がなかったので、残りを読むことに。

    残り2/5くらいだったが、夏に読んでた時よりも集中して読むことができて、内容も非常に頭にすんなり入った。普通に良い本だったので、なんか最初の3/5もまたちゃんと読みたくなってきた。
    最後に普段から意識するべき十か条みたいなのが掲載されていたが、なんかちゃんとメモって、大事な時の前とかに読むようにしようかなと思う。

  • ストア派、実用的でいい

  • ストア派の指南書のような一冊。著者はストア派哲学者の中でもエピクテトスが好きらしく、エピクテトスの逸話をメインに話が展開。エピクテトスが好きな方、ストア派哲学を知ってはいるが、他の哲学とどう違うのか等詳しく知りたい方などにおすすめ。「迷いを断つための」とあるが、悩みに答えてくれる訳では無いので注意。ストア派はあくまでも自分の意思で、美徳に従うのである。

  • 変えられないものを受け入れる心の平静と変えられるものを変える勇気とその二つを見分ける知恵を私に与えたまえ=平成の祈り。心の平静を得られる。

    西風はいつふくか。西風がふこうと思ったとき。

    神に対する態度は、ストア派の中でも違っていた。マルクスアウレリウスは神を信じたが、信仰というより敬虔な姿勢を持つことを重視した。神が存在しようとしまいと同じ態度をとるべき。

    ランプを盗んだものは、ランプの代わりに義を失った。財布を盗まれたら、怒る代わりに出来ることをして平静を取り戻す。

  • 以前に読んだ『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』( ロルフ・ドベリ(著)、安原実津(訳)/サンマーク出版 )にはストア派の思想を現代向けにかみ砕いたTipsが豊富に紹介されていました。
    それがきっかけでストア派の思想に触れたいと思い本書を購入。

    本書の冒頭にも述べられますが、ストア派の思想は実践性が高いものの、ある種のクセの強さがあります。そのクセを理解していなければ、ストア派の思想を十分に理解できませんし、むしろこの思想を誤解することにつながると思います。
    本書ではストア派の思想を(主にエピクテトスをベースに)優しく説いてくれるため、実際に古代ギリシャ・ローマの哲人の書にあたる前に読むのがおすすめです。

    その内容も非常にシンプルで読みやすいです。ストア哲学を特徴を「①欲求の原則」、「②行動の原則」、「③受容の原則」の3点から説明をします。
    物凄くかいつまんで説明すると①では自分の力の及ぶ対象に対して欲求し、そうではない対象は「あるがままに任せる」ことを説きます。これによりある種達観した心境を持つことができます。
    ②はストア派の重視する人間の社会性と理性という2点から、人はいかなる原則で行動するべきかを説きます。個人的にこれが最も実践が難しいように感じました。
    ③は、①で言及する「自分の力の及ばない対象」に対し、これにどう向き合い、受容するかを説きます。その最たるものは「死」ですね(セネカが「私たちは日一日と死んでいる」と述べたように、ストア派の哲学者たちは死への向き合い方を非常に重視しました)。

    終始、筆者の身の回りの出来事を引き合いに出してストア派の思想をかみ砕いて説明してくれるので、とてもわかりやすいです。
    また、実際に本書読了後にセネカやマルクス・アウレリウスの書にあたりましたが、すんなりと腹落ちできたので内容も的確だと感じました。

    これからストア派の思想に触れたい方にはとてもおすすめの一冊だと思います。

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