三つ編み

制作 : 髙崎 順子 
  • 早川書房
4.06
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本棚登録 : 1167
レビュー : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098559

作品紹介・あらすじ

注目の書店員賞、第10回新井賞受賞作!

三大陸の三人の女性。かけ離れた境遇に生きる彼女たちに共通するのは、女性が押しつけられる困難と差別に立ち向かっていること。ある者は娘の教育のため、ある者は仲間の生活のため、ある者は自身の夢のために理不尽と闘う。絶大な共感と感動を集めた話題作!

感想・レビュー・書評

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    異なる3つの国の3人の女性の生きざまが、最後により合わさっていく…まるで三つ編みのように…短いながらその凝縮された物語に引き込まれた。
    著者のレティシア・コロンバニさんは、映画監督をされているだけあって、文字を追うだけで映像が浮かんでくる…インド、シチリア島、カナダそれぞれを包む大気まで想像してしまう。

    インドの話は、先日ラジオで「インドのトイレ事情」を聴いたばかりだった。
    モディ首相は、全土にトイレを設置する「クリーン・インディア」キャンペーンをぶち上げた(そもそも、インドのトイレ事情ってそんななの?ってびっくりだったが)
    実際にトイレが設置された村もあるそうだが、利用する人が極端に少ないという。その理由は、ダリッド(不可触民)の仕事を奪うから。
    この物語のインドの主人公スミタが、まさにその仕事に代々従事させられているダリッドだ。
    ラジオの情報だけではピンとこなかったが、そういうことなのかと腑に落ちた。
    ラジオでは、女性は夜明け前に連れだってどこかに用を足しに行く…もちろん襲われる危険があるからで、用を足すのは1日それ1回きりだという。1日1回って、病気になってしまうのではと思うが、取材した女性は「皆そうだし、体が慣れている」と言ったらしい。

    3つの国の話が交互に語られるが、インドの物語が圧倒的に印象が強い。
    日本のジェンダーギャップ指数もかなり低いが、それとは比べる基準が違うのだということを思い知らされた。
    2020.8.30

  • 3つの大陸の3人の女性が今の状況に甘んじ屈するのでなく、強い意志を持って人生を切り開き、変えようとした物語

    畳み掛けるようなリズミカルな短い文章が、強い意志を表しているようで読んでいて心地よかった

    3人とも生まれつき置かれた身分や不運や試練に見舞われながらも、それを乗り越えようと奮闘する
    娘に自分と同じ思いはさせないと誓うスミタ
    娘のため、自分を必要としている息子たちのため、消えたりしない、諦めないと戦いに戻る決心をするサラ
    家族や工場の従業員のために生き残りをかけて、変化を選択するジュリア

    なかでもインドのスミタの置かれた状況には、言葉が出なかった
    カースト制の外、不可触民(ダリット)であるスミタは、人と言葉を交わすことはおろか姿をさらすことも許されない人間以下の身分とされる
    この世の中にこんな身分に置かれた人がいるとは全く知らなかった 衝撃だった

    初めは、インドのスミタ、イタリアのジュリア、カナダのサラの人生が交互に並行して進行していく
    何の関係もないかのように見えたのに、後半になって3人の人生がしっかり交差し、三つ編みのように固く編まれていった
    見事な構成に唸った
    それも女性の命とされる髪の毛を通してー
    なるほど、それでタイトルが「三つ編み」なのかと腑に落ちる

    著者が「 男性に闘いを挑むつもりはありません。闘う相手はまず社会」と語っているように、スミタの夫のナガラジャンやジュリアに国外へと目を向けさせた恋人のカマル、サラの家庭を支えた家政夫のマジック・ロンなど、主人公の女性たちを応援するパートナーやサポーターとして男性を登場させているのも好感が持てた
    男vs女では、何も前進はないと思うから

    そして、3人のこれからの人生を暗示しているかのような希望の光が見えるラストに拍手を贈りたくなった

  • インド、イタリア、カナダ。三つの地で、差別、理不尽な選択、病に必死に抗いながら生きる三人の女性の物語。

    素敵な作品だった。
    三人の選ぶ道を応援せずにはいられなかった。

    特にインドのスミタの人生には言葉を喪う。
    カースト制に縛られ多くの女性があきらめという選択をし息苦しさにもがく中、スミタの、娘への想い、自由な呼吸を求める姿には圧倒された。

    三人の女性が選びとった人生がこういう形で結ばれるとは…。
    タイトルが心に響く。

    もしかしたら世界はこういう巡り巡った繋がりが溢れているのかもしれない…それが誰かの希望に少しでも繋がればいい、そう強く感じた作品。

  • 3人の女性。インドのスミタ、イタリアのジュリア。カナダのサラ。3人はそれぞれ自分の人生と戦う、女性であることで理不尽な人生と戦う。
    スミタ…カースト制度に基づき排泄物を集める作業をする。自分と同じ道を進ませないよう娘を学校に通わせたが、差別の壁が立ちはだかった。
    ジュリア…毛髪加工会社を家族で営む。父が事故で倒れ、会社を任されるが、倒産寸前であった。お金のために家族は望まぬ結婚を迫る。
    サラ…シングルマザーの弁護士。仕事で活躍し上のポジションを狙うが、癌を宣告される。それを機に会社での対応が変わる。
    戦っているのは自分だけではない、自分よりもっと苦境に立ちハードに戦う女性がいることを知らされる。3人の姿に力をもらえました。特にスミタの境遇は想像を絶するもの。力や勇気を感じるだけでなく、最後は髪の毛でまとめているところ、そして、戦う相手を社会と見据えているところが素晴らしいですね。それぞれの場所で社会と戦う女性たちは輝いていました。物語は三人ですが多くの女性の力になれたらと思います。

  • これは闘う女性達の物語だ。
    国も社会的背景も職業も年齢も何もかもが異なる三人の女性は皆、理不尽な世の中と闘っている。

    カースト制度のせいで奴隷のような生活を余儀なくされるインドのスミタ。
    父の事故を機に倒産寸前の工場を突然背負わされたシチリアのジュリア。
    弁護士としてのサスセスストーリーを上り詰める目前で乳癌の告知を受けるカナダのサラ。
    何故自分だけがこんな目に…周りの柵に押し潰され、それでも怒りの炎をパワーに変え誇り高く、自分の道を真っ直ぐ進んでいく。

    全く交わることのなかった三人の人生が「髪の毛」で繋がった時、涙が止まらない。
    「髪の毛で結ばれた女たちへ、愛し、子を産み、願う女たち、何度も倒れ、また立ちあがる女たち、うちのめされても、屈しない女たち、その戦いは私も身におぼえがある、その涙とよろこびを分かちあう」

    ラストの三人の希望に満ちた笑顔を私も忘れない。
    世界中の沢山の人達に読んでもらいたいと願う作品だった。

    「最期まで戦う。けっしてあきらめない:サラ」
    「必要なのは勇気と信念だけ。自分にはある:ジュリア」
    「まったく悲しくはない。確信があるのだから:スミタ」
    「男性に闘いを挑むつもりはありませんでした。闘う相手はまず社会です:著者」

    著者の力強いメッセージが、どうか世界中に届きますように。

  • なんとも上手いお話だった。

    3か所の異なる国に生まれ、それぞれが苦境にたたされ、
    でも負けじと前進していく姿。
    それが交互に交錯されながら話は進み、
    髪というキーワードで、最後には編まれるように繋がっていく。

    凄く読みやすい文章で、誰にでも理解できわかりやすい内容。
    だけど特にインドの親子の話は、本当にこんな事が行われているのかと考えさせられる。

    彼女たちの勇気のおかげで、カナダの女性はまた生きる勇気をもらえる。
    それを作ったのはシチリアの女性の職場。

    素晴らしいタイトルだし、内容だった。

  • すごく良かった。
    この作品、確か2019年の夏に雑誌で紹介されてたんですよね。いつか読もうとブクログに登録した記憶が。

    作品に登場するのは、住んでる地域も境遇も年齢もバラバラな3人の女性。それぞれのストーリーが進んでいきます。
    読み終えるとタイトルの「三つ編み」の意味がとても心地よく、しっくり来ました。中島みゆきの「糸」もちょっと連想してしまいました。

    それにしてもインドの身分差別の酷さといったら!スミタの物語に一番感情移入してしまいました。この親子のその後は描かれていないけど、希望の持てる終わり方で良かった。

  • インド、イタリア、カナダ。それぞれ遠い三国に生きる女性、スミタ、ジュリア、サラ。彼女らの闘う姿が、三つ編みを編むような順番で語られる。まったく違う境遇。最後にはそれは太く固い結束となって、世界の女性たちに投げ渡される「綱」になる。


    女性は、その多くが「産む性」であり、生き方は男性よりも複雑で繊細。右に行き左に行き揺らぐ。
    「三つ編み」は、そのように揺らぎながらも、最後は一本筋になる、強くたおやかに編み込まれたもの、女性の象徴。

    「これは私の物語。
    なのに、私のものではない」。

    読後、光がさす作品。

  • ジェンダーによる差別は、年を経て代替わりしていく毎に少なくなっていると思います。
    差別であるという事を言葉に出せるようになったこと自体が、改善している証拠であろうと思います。
    しかし、その地域で根強く残る産まれによる差別や、性差別。国籍や職業による差別は根強く残っています。
    本書では違う国で生きる3人の女性が自らの手で人生を切り開こうとする物語です。しかしそこにあるのは希望の道ではなく、絶望的な現状にかすかに見える蜘蛛の糸のような細さの道です。
    普通であれば歩き出さないような細い道。道と誰も認識しないような困難な崖っぷちの縁のような道です。
    インドでカーストにも入っていない、不可触民と言われる最下層の生活を強いられているスミタ。何千年も続くこのシステムから娘を解放する為学校に行かせるべく奮闘しますが、差別の壁は分厚く、娘を連れて村からの脱出を図ります。
    イタリアで毛髪加工の会社の娘ジュリアは、会社の危機を乗り越える為望まない結婚を強いられ、カナダではシングルマザーの弁護士サラが、乳がんの発症により職場で閑職に追いやられ暗に退職させられそうになります。

    インドのスミタの境遇があまりにも悲惨で、素手で村の人々の家々の汲み取り便所を毎日素手で掃除しなければいけないという決まりがあります。これは正当な報酬を得るための職業ではなく義務で、報酬と言えるものも家々の人々が気まぐれで投げ出したぼろきれ、残飯等しかありません。もし逆らおうものなら殺されても文句は言えません。
    我々が人間は平等で、差別されるべき人が存在してはいけないと思っているのは、教育によってそれを理解し同意しているからに他なりません。
    当然インドのカーストの中でも優しい人はいます。これは不可触民というものを無くすという優しさではなく、可哀そうな不浄な人に施しを与えましょうという優しさです。
    マークトゥエインのトムソーヤの冒険の中で、トムの家にいる奴隷の男性が、逃げてきた奴隷をかくまいます。トムの家では奴隷を大事に扱っていたので、トムも当然無体な事はしないのですが、逃げてきた奴隷を逃がすという話になった時に、トムは「奴隷なのに逃げるなんて恐ろしい事を・・・」というような意味のことを言います。これを読んだとき僕は衝撃を受けました。トムは差別的な所が少ないわんぱく少年なんですが、この時代は奴隷は財産であり、逃げたり逆らったりすることは悪なんですね。世の中の常識の中でのいい人だったり、理解が有ったりする人だったりする訳です。
    周りが「この人間は不浄だ」「この人間と我々は違う」「交わると穢れる」などと言っていれば、何も知らない子供たちはそれが真実と思って生きていくわけです。女性は男に従うべきなんていう考え方も同じ遠因だと思います。
    閑話休題
    そんなアウトオブカーストに生きるスミタは誰が見ても悲惨だし、僕らの立ち位置から見ると現代の事なのか疑いたくなるくらいです。
    しかしイタリアのジュリアンや、カナダのサラも女性であることによる生きにくさが有ります。そこには西欧の先進的と言われる文化の中で、女性は尊重されるべきであるという土台があります。しかし相対的な部分で彼らは、世の中の女性のほとんどが感じている生きにくさを体現していると言えます。
    カナダのサラは、エグゼクティブで有能な弁護士という立場を何としても守りたいと思うがあまり、自分の女性であることのデメリット(と彼女が感じている)を隠そうと奮闘します。これは彼女自体が男社会の中でのし上がる為に、女性でいる事自体がデメリットであると確信している所に問題が有ります。これは短絡的にもっと肩の力を抜く等といったきれいごとではなく、ただ単にこの世の中の大多数が未だに「男」の社会であるという事に他なりません。直感的にそう感じている人は多いと思います。

    それでもこの本が世界中で読まれているという事は、世の中の趨勢はマッチョな男根主義から、多様性を重視する世の中にシフトしつつあるという事の照明だと思います。
    人間が代を重ねるごとに改善していくのであれば、我々の次世代に偏見の種を撒かないというのが一番重要ではないかと感じました。

  • 帯でキョンキョンが書いているとおり、読了後勇ましい気分になった。遠く離れた3つの国に住む3人の女性の生き様は皆苦しいものなのに、映像美と共に描かれているし、その3人の人生が交差する結末が美しく、勇気をもらえたのだ。著者が映画監督でもあるというのが、深く納得するところだ。

    しかし、他の方のレビューにもあったが、インドのスミタの過酷な暮らしには言葉が出ない。恥ずかしながら、不可触民という身分にされた人々がいることを知らなかった。
    あのような苦難を強いられても、娘には違う人生をなんとかして授けたいとする母の強さに、同じく一人の娘を持つ母親として胸を打たれた。

    私は今プラン・ジャパンのマンスリー・サポーターをやっているが、例えばそういった行動でスミタのような女性をサポートすることはできるのだろうか。

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著者プロフィール

レティシア・コロンバニ(Lætitia Colombani)
1976年、フランス・ボルドー生まれの映画監督・脚本家・作家・役者。刊行前から16言語で翻訳権が売れて話題をあつめた初の著作『三つ編み』は、2017年春に刊行されベストセラーとなり、フランスで85万部を突破、32言語で翻訳され、邦訳もされた。2019年5月15日に2作目の小説"Les Victorieuses"を刊行し、こちらも翻訳が待たれる。

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