ファミリーランド

著者 :
  • 早川書房
3.50
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本棚登録 : 516
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098740

作品紹介・あらすじ

30年後、50年後――あるいは100年後に「家族」のかたちはどう変わるのか。『ぼぎわんが、来る』『予言の島』などホラーとミステリの両ジャンルで、高い評価と熱い支持を受ける澤村伊智。稀代のストーリーテラーが、SF的想像力と未来の物語に挑む連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • ホラー作家が描く未来の「家族」のかたちが描かれた六編の短編

    さすがにホラー作家が描くだけあってゾクッとする話も多いです


    例えば近い未来・・・

    『コンピューターお義母さん』
    ネットデバイスとアプリを駆使し、家屋と家電についたセンサーから家のことを把握することができるようになる(かも)
    そうすると離れて暮らす義母からタブレットを通して、毎日、毎時、毎分ごとに小言を言われ続けるかもしれません


    『マリッジ・サバイバー』
    出会いを求めるために今より便利なマッチングサイトを利用するかもしれない(かも)
    未来のマッチングサイトはアフターケアも万全
    万全どころか恐ろしすぎる…
    何事もなく利用規約をきちんと確認することが大事です


    『今夜宇宙船の見える丘に』
    未来は介護の形も変わるだろう
    寝たきり、譫妄、認知症などの高齢者をより効率的に介護しやすい形に改造する処置もおこなわれる(かも)
    フェーズ1は、人工肛門をとりつける
    フェーズ2は、両足を膝上で切断する
    フェーズ3は、両手を肘上から切除する
    フェーズ4は、脳の機能を抑制する
    市販のキットを使えば誰でも処置ができる


    その他、生まれてくる子供の知能を劇的に高める薬を服薬したり、自宅介護用小型飛行ロボットが活躍したり、葬儀の形が変わったりなどもある(かも)

    これらが未来の人間が望む理想の社会なのだろうか
    だとすれば恐ろしい…

    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠
      合理を追求した結果の介護の形、マジで怖いです…
      土瓶師匠
      合理を追求した結果の介護の形、マジで怖いです…
      2023/09/05
    • 1Q84O1さん
      ゆーき本さん
      大丈夫!
      みんな知能を高める薬を服薬して子どもを作るから
      むしろ薬を服薬しない方が悪とされる未来です
      それも怖い…
      ゆーき本さん
      大丈夫!
      みんな知能を高める薬を服薬して子どもを作るから
      むしろ薬を服薬しない方が悪とされる未来です
      それも怖い…
      2023/09/05
    • 1Q84O1さん
      ほん3さん、こんにちは!
      どれもほんと実現しちゃいそうでゾクッとしてしまいました…
      怖い…
      ほん3さん、こんにちは!
      どれもほんと実現しちゃいそうでゾクッとしてしまいました…
      怖い…
      2023/09/06
  • SF作品が苦手なので身構えたけれど、読みやすく楽しめた。
    これはちょっとテクノロジーが発達すれば充分考えられる近未来であるところが入り込みやすく、理解しやすかったのも大きなポイントかな。

    変わるものもあれば変わらないものもある。そこに安心感を覚えながらも時折怖さを感じさせるところがなんとも巧い。


    どの話も楽しめたけれど、インパクトあったのはやっぱり「コンピューターお義母さん」、心にしっとり残ったのは「愛を語るより左記のとおり執り行なおう」

    章タイトルもなるほどね。
    ホラーの印象が強い澤村さん、こういったジャンルも描けてしまうのが素晴らしい。

    • あいさん
      こんばんは、再び(^-^)/

      前にくるたんに紹介してもらった作家さんだね。
      SFも好きだし楽しめるかな。
      でも、予言の島の方が私...
      こんばんは、再び(^-^)/

      前にくるたんに紹介してもらった作家さんだね。
      SFも好きだし楽しめるかな。
      でも、予言の島の方が私にあっているかしら?
      2019/08/21
    • くるたんさん
      こんばんは2♪

      SF好き⁇だったらおススメ♡
      あ。でもブラックなSF。介護の話はちょっときつかったかな。
      でも私はブラックを含めて全体的に...
      こんばんは2♪

      SF好き⁇だったらおススメ♡
      あ。でもブラックなSF。介護の話はちょっときつかったかな。
      でも私はブラックを含めて全体的に楽しんじゃった。
      評価わかれるかも。と、なると、予言の島の方が雰囲気としてもオススメかなぁ(*≧∀≦*)
      2019/08/21
  • 近未来の家族を描いた6編の物語。

    「翼の折れた金魚」
    子供をどう産んだか、どのような見た目か、そこに重点を置く「正当性」がテーマになっている。
    コキュニアという薬を投与されて生んだ計画出産児は、正しい子供である。
    そうではない子供はデキコ、デキオと呼ばれて蔑視の対象となる。
    教師である僕も、その子供達の区分を当然と考え、デキコの親はなんの計画性もない馬鹿な親だ、と思っている。
    しかし、そうだろうか?
    出自に正しいも正しくないもあるのか。
    そして正しく産んだ後、正しく育てられるとは限らない。
    結末は、諦観が見え隠れするが、この結末が問いかける諦めは、SF・作り話なんて言えるだろうか?

    「今夜宇宙船の見える丘に」
    時々報道される、介護殺人。
    あるいは死んだ親の年金でやっと暮らしていた人々の話。
    本作はそんな「介護」の現実を落とし込んだ物語。
    恐ろしいのは宇宙人だけではない。
    すなわち本作ではこんな処置の記述がある
    介護のために、悪くもない肛門を人工肛門にする(あちこちに排泄されないように)。
    悪くもない足を切る(徘徊しないように、持ち上げやすいように)。
    子が親に懇願し、親がそれを受け入れる。
    考えることが多すぎて、寒気が止まらない。

    愛を語るより左記のとおり執り行おう 
    葬式の話。
    「おててのしわとしわを合わせて」「しあわせ〜」には迂闊にも笑ってしまった。
    リモート葬儀もありうる今、遺体と触れないことがアリなのか?そんな疑問を呈されている。
    人は死んだら傷んでいく。
    昔ながらの葬儀、なんてめんどくさい。
    だが、綺麗な部分だけを見ていることは正しくはない。

    どれもあり得ない未来ではない。
    出産も、介護も、死ぬことも。
    人とは何か。そんな深いテーマが奥に流れる物語だった。

  • ホラーとミステリーとSFのミックス。
    澤村さんのホラーはバラエティに富んでる。
    色んなタイプのホラー作品を描かれる方。
    今回は、かなり近い近未来に実際に起きそうなホラーと言うか悲劇と言うか。
    ガッツリしたSFではないので、それを求めてしまうと駄作になるけど、近未来ホラーを楽しみたい人にはすごく読みやすくおすすめ。

    収録作品
    「コンピューターお義母さん」
    「翼の折れた金魚」
    「マリッジ・サバイバー」
    「サヨナキが飛んだ日」
    「今夜宇宙船の見える丘に」
    「愛を語るより左記のとおり執り行おう」

  • 思たよりSFだった。
    家庭は一番閉ざされた集団である事が恐怖…

  • 短編集。
    SFっぽいんだけどー個人的にはあまりすきじゃないかな。

  • 今よりも科学技術が発展した近未来の家族間の話6遍が載った短編集。

    ・コンピュータお義母さん
    家族の生活を遠く離れた地で暮らす義母に知られてしまう環境。ネットを通じて自分の行動を監視し、意見する義母を疎ましく思う嫁は、ささやかな反抗を決意する。
    しかしそこには予想外の出来事が。

    ・翼の折れた金魚
    人工的に優れた知能、容姿を備えた子どもを作ることが当たり前になった世界。そこでは昔ながらの子供はいじめ、差別の対象となっていた。親に愛されていない子ども、計画して生まれてこなかった子どもはデキコ、デキオと呼ばれ蔑まされていた。
    小学教師の男も同じ考えを持ち、自分の子どもは絶対にデキコにはしないと決めている。
    しかしいざ生まれた我が子を見てみると、、、。

    ・マリッジ.サバイバー
    夫婦はどこにいても繋がっている、ネットを介して。主人公は親の影響で幼少期ネットに触れてこなかった。やがて同じような環境で育った相手と結婚し、そこそこ楽しい生活を送っていたが、監視されることには疲れていた。そんなある日、ネットが使えない場所に出張に行き久々の自由を満喫する。全くの一人になったことで主人公の、心のタガが外れていく。

    ・サヨナキが飛んだ日
    娘を殺してしまった母親の回顧録。お世話ロボットサヨナキが娘を変えてしまった。あんなに優しかった娘も今では私を邪険に扱う。あの悪魔に洗脳されてしまった。だから私はサヨナキを壊した、あなたのためを思って。

    ・今夜宇宙船の見える丘に
    父親の介護に疲れた中年男性。仕事もなく貯金も底をつきかけている。この時代、介護しやすいように被介護者の体を改造するのは半ば当たり前になっていた。両足を切断し体重を軽くする手術を父親に受けさせる。時を同じくして、街中ではUFOの目撃情報が相次ぐ。知人を介してそれらが本物であることを知った男は父親を連れ、UFOの着陸現場へとやってくる。空に現れたUFOから無数のボールが降ってきた。中には宇宙人らしきものが入っているが、その姿はまるで、、、。

    ・愛を語るより左記のとおり執り行う
    全てをバーチャル空間で済ませるようになった時代に、昔ながらの葬式をしてくれという老人。仕事はもちろん、墓参りですら自宅にいながら出来るのに何故と困惑する家族。映像関係の仕事をしている主人公に、この件をドキュメンタリーとして撮影しないかとの声がかかる。100年以上前の葬式方法を四苦八苦しながら調べる主人公たち。なんとか形になり、いよいよ式当日を迎える。最初は宗教的なものを忌み嫌っていた住人も、興味を惹かれ参列し始める。この時代に昔の葬式をしてくれと頼んだ故人の想いとは。

  •  近未来の世界を描いた短編集。全6話。オカルト系ではなくサイコホラーに近い作品。

     科学文明の発達がもたらす、文化、風俗、常識の変化。何よりも人間の意識や観念がどう変化してしまうのか、その可能性にゾッとした。

     特に最終話『愛を語るより左記のとおり執り行おう』は深く考えさせる内容だった。

  • ホラー系のほうが面白い。SFは面白くないわけではないけども、驚きはそれほどない。

  • 遠隔操作で息子家族を操るお義母さんが
    一番怖かったなぁ
    その後の展開にも絶望しますね
    これは嫁にとっては心臓に悪いお話
    日本中のお年寄りが全員
    かまってちゃんになる悪夢
    表紙も不気味でいい感じですが
    各短編につけられたイラストも
    かなりのいや~な感じ
    それがまた印象に残るSFホラーでした

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著者プロフィール

1979年、大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛する。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞<大賞>を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で、第72回日本推理作家協会賞【短編部門】受賞。他の著作に『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがある。巧妙な語り口と物語構成が高く評価されており、新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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