- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152098832
作品紹介・あらすじ
ある女性が失踪した。その後、彼女に関する衝撃的な映像を収めたテープが新聞社に送られてくる。その映像はインターネットを席捲し、噂や憶測、陰謀論が湧き上がる。ゼイディー・スミス、エイドリアン・トミネ絶賛。現代社会を映し出す傑作グラフィックノベル
感想・レビュー・書評
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シカゴに暮らす普通の女性サブリナが行方不明となり、その家族や恋人や友人の人生の歯車が狂う様が描かれたグラフィックノベル(漫画)です。
一般的なコミックよりも重厚で複雑な内容のものはグラフィックノベルという分類になるようです。
無駄に思えるようなコマが多数あるのですが、寧ろそれが現実味を帯びた一コマとなっていることに気付かされました。
人間が落ち込んだ時のどうしようもない不安や閉塞感、それが続いた時に過る根拠のない希望や妄想が表現されています。
詳細は省きますが扱われている問題は何一つ解決せず、読了後には登場人物の今後を心配することになりました。
しかし、世の中や人生で心からすっきり解決できる問題など無いかもしれませんね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一人の女性が行方不明になった、その後を描いたグラフィックノベル。
女性の恋人の友人が中心に据えられているのが上手い。
あまり表情の変化のない絵が、今作にはぴったり。
直接的な悪意だけではなく、陰謀論なども織り込まれ、今日的な作品だった。
光はどこかにあるのかな…と、真っ暗な気持ちになったが、それも時に必要なことなんだろう…。 -
ずっと気になってて、思いきって図書館で借りてみた。
コミックなんだけど、次に何が起こるのだろうとドキドキしながら読んだ。
心理的にくるかも。誰も信じられなくなるかも。
今の時代を表してるのかな。
コミックだけど深く難しい内容でした。 -
これは色んな意味でヤラれる。後の時代に最もこの時代がビビッドに刻み込まれた作品として振り返られるのでは無いか。
陰鬱な物語が時間の経過によって、少しずつ良くなっていくような希望を持つようにも読めるし、結局のところ真実を見つけることはできないと民衆を嘲笑っているようにも読めるし、それこそがサブリナにとってはハッピーエンドのようにも読めたり。シンプルなフレームと線で幾重にも読みを誘発する恐ろしい作品。 -
この絵柄でグロテスクな現実(グロテスクな描写もなく、ただグロテスクな情報がそこかしこに現れる)を描くその不気味さがよかった。なんというか、そのグロテスクな情報を摂取して、なおのほほんと暮らす自分たちを糾弾してるような感じ。
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クロワッサン・ブックガイドから。日本の漫画に馴染み過ぎているからかもしらんけど、どうしても漫画の方が…って思えちゃう。あと、本書の内容も、どうしても絵じゃなきゃ!っていう必然が、いまひとつ分からんかった。メッセージがどうでもいいと言っている訳ではなく。
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失踪事件、遺された人々、陰謀論、
現代人は意味を求める病に囚われている。
この作品を読むとそんなことを思ってしまう。
物語で何かが起こるハズだ、何か因果応報があるに違いない、真相はなんだと。
そこをドルナソは衝いている。傑作グラフィックノベル。ドルナソはいいぞ。 -
日本ではあまり馴染みのないグラフィックノベル。カラーの絵コンテ+文章というような様態。分かりやすいストーリーでもなく、腑に落ちるエンディングが用意されてもいない。しかし、現在のアメリカに漫然と漂っている狂気を孕んだような不穏な空気感を感じた。読了後、不思議と印象に残る作品だった。BGMとしてnine inch nailsの名盤fragileがハマった。