嘘と正典

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 122
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098863

作品紹介・あらすじ

第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉受賞後、第2長篇『ゲームの王国』で日本SF大賞および山本周五郎賞を受賞した小川哲。その受賞後第一作となる短篇集を刊行する。奇想小説、歴史小説、そしてSF小説……ジャンルすべてを包含して止揚する傑作集の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 『ゲームの王国』に魅了され、この連休で絶対読むぞ!と決めていた小川哲。

    オビに「『歴史』と『時間』についての作品集」とあり、最近、時間についての本ばっかり読んでるなぁー、引かれてんのかな、と独り言。

    ストーリーはややベタだけど、時間や定理、文化や思考といったテーマの提起の仕方が面白くて、読みながら考えている一冊だった。
    以下、抜粋して感想。



    「魔術師」
    マジシャンの父を持つ姉弟の話。
    それが、マジックであろうと、本物の魔法であろうと、彼を父として見つめる姉弟の目を忘れてはいけない。

    「時の扉」
    王と語り部という構成が面白い。
    自分にとって都合の悪い過去、痛みを伴う過去を「抹消」することが出来たなら。
    「男は最後に『解釈』を変えてしまいました」

    脳が認識する機能を改変することで、時間と空間は消滅し、有限なる永遠が訪れる。
    ふと、認知症における時間や空間認識って、どういうものなのだろうと考えた。
    忘れてしまうことの怖さを聞いたことがあるけど、自分を作り上げてきた時間の感覚が消失することの恐怖って、想像を絶してしまう。

    「嘘と正典」
    エンゲルスって、あのエンゲルス?
    と思いながら、章が変わると唐突にCIAとKGBの話に変わり、何なんだ?と思っていたらの、オチ。
    時間を遡ることが出来たら、という方法にまつわる面白さはあるけど、結末が……。
    多分、この感想を読んだだけでピースを当てはめられる人はいると思う。
    でも、何度も言うけど、テーマは面白い(笑)

    他に「ひとすじの光」、「ムジカ・ムンダーナ」、「最後の不良」。

  • 2019.12.8読了。
    面白い。
    が、難しいとも思う。
    馬主の話が一番良かった。

  • 現在、未来、過去を横断的に扱った「時間」をテーマにした短編が揃った作品集である。

    エンゲルスを消滅させる!といったうたい文句で知ったので、壮大なパラドックス物かと思って手に取ったのでそこはちょっと違っていた。

    どれも、標準以上にまとまった作品ではあるのだが、『ゲームの王国』の大作感や、『ユートロニカのこちら側』の見事な未来世界設定を読んできていると、ちょっと物足りなく感じた。

  • 「ゲームの王国」で現代史とSFという鉱脈を発見した著者の短編集。SF味が薄い物もあるが、特に最後の表題作が、共産主義の起源と冷戦下のCIAの活動をSF的にリンクさせて素晴らしい。

  • SFマガジン掲載作は、これSFじゃないじゃん、と、SFか否かが価値判断の基準だったガキのころなら放り投げてたかもしれない代物ばかり。(特に競馬の話が)
    まぁ、山尾悠子がJAにラインナップされていたのを思えば、ハヤカワ的にはさほど問題ではないのかもしれないけど。
    書き下ろしの表題作は、技量は判るんだけど、60年代ならともかく今これなの、と思ってしまう。

  • 過去にSFマガジンに収録された作品を中心にした短編集。時間SFの成分が多いが、それだけではない。馬SFや音楽SFもある。ミステリー要素も大きく、どれも深く味わえる作品となっている。気に入った作品は、音楽を通貨とする「ムジカ・ムンダーナ」と米ソのスパイと時間SFを融合した「嘘と正典」だ。「魔術師」も様々な解釈ができる不思議な物語である。どれもSF好きなら必読だ。

  • 小川哲『嘘と正典』読了。『ゲームの王国』作者による短編集。駒場の博士課程出身とだけあって表題作筆頭に歴史や文化人類学的な題材の作品を高頻度かつ高クオリティで提供してくれるので自分のような人文系SF読みにとても刺さる。ぐいぐいと引き込ませ読ませる筆致が素晴らしい。
    サラブレッドの血統を追う「ひとすじの光」の参考文献に本村凌二の名前があって思わずほっこりした

  • SFと聞いただけで「無理…」と避けてきたのですが、『なめらかな世界と、その敵』に続いて五つ星をつける作品に出会ってしまいました。こちらの方がSFを普段苦手とする者にとっては読みやすいと思います。


    テーマは時間。

    人生をかけた衝撃のトリック『魔術師』

    ソビエトが舞台のスパイもの?個人的キラーワードのレッド・ツェッペリンがでてくる『嘘と正典』
    が特に面白かったのですが、
    競馬好きとしては、まるまるダービー馬スペシャルウィークの血統を辿る『ひとすじの光』は、思わず、初出は『優駿』なのでは⁈と一覧を見てしまいましたが『SFマガジン』でした…。そりゃそうだ。

  •  

  • ユニークな短篇集。
    SFテイストが強いものから、そうでないものまで、作風の幅が広くて楽しめた。
    『魔術師』『ムジカ・ムンダーナ』が気に入っている。

  • 「魔術師」★★★★
    「ひとすじの光」★★★
    「時の扉」★★★★
    「ムジカ・ムンダーナ」★★★
    「最後の不良」★★★
    「嘘と正典」★★★

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