ザリガニの鳴くところ

  • 早川書房
4.44
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本棚登録 : 1209
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099198

作品紹介・あらすじ

ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか? 不気味な殺人事件の顚末と少女の成長が絡み合う長篇

感想・レビュー・書評

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  • 作者のディーリア・オーエンズは、ジョージア州出身の動物学者で、この作品は69歳で執筆した初めての小説だそうです。
    非常にオーソドックスな恋愛小説であり、ミステリーです。
    最後のどんでん返しまで本当に飽きさせない、とてもよくできたストーリーだと思いました。
    ベストセラーになっているのも頷けました。


    以下途中までのストーリーです。

    主人公の少女カイアは、1969年、6歳の時に母が家を出て行ってから、しばらく暴力的な父親と二人で暮らしますが、父もいなくなり、学校に通ったのはわずか1日だけ。
    その後、ひとりで貝を獲って売りにいったり、燻製を作って売りに行き、ひとりで生活しています。

    そこに年上の少年テイトが現れ、カイアに読み書きを教えてくれます。
    カイアとテイトは恋仲になりますが、テイトは大学で生物学の研究をするために地を去り、カイアとの約束を破り帰ってこなくなります。

    打ちひしがれたカイアは、村の裕福な家の青年チェイスと付き合い始めますが、チェイスはカイアに結婚をちらつかせるものの、裕福な家の娘と婚約を発表してしまいます。

    もうひとつのストーリーは、1969年チェイスが不審死事件の被害者となって発見されます。
    その容疑者として、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれて、ひっそりとひとりで貝殻の標本を作りながら暮らしていたカイアが疑われます。

    そこへ、大学の研究を終えたテイトが帰ってきてカイアに何度も謝ろうとしますが、カイアはテイトを決して赦そうとしません。

    カイアはずっと湿地の家で6歳のときからひとりで自然の中で育った少女だったので町の人たちとは馴染めないという負い目がありました。

    カイアとテイトは幸せになれるのかと、はらはらしました。
    カイアが生き残ったたった一人の兄のジョデイと再会するシーンには目頭が熱くなりました。

    • くるたんさん
      まことさん♪こちらでもこんにちは♪

      ジョディとの再会、私も涙しました。
      ジョディといい、母親といい…みんないろいろな仕方ない気持ちを胸に押...
      まことさん♪こちらでもこんにちは♪

      ジョディとの再会、私も涙しました。
      ジョディといい、母親といい…みんないろいろな仕方ない気持ちを胸に押さえこんでいたんですよね。

      ジャンピン夫妻がいてくれて良かった…つくづく思いました( ´ ` )
      2020/06/03
    • まことさん
      くるたんさん♪

      そうですね。
      カイアは自然の中で一人で育ったけれど、ジャンピン夫妻をはじめとして、助けてくれるこころのある大人が周り...
      くるたんさん♪

      そうですね。
      カイアは自然の中で一人で育ったけれど、ジャンピン夫妻をはじめとして、助けてくれるこころのある大人が周りにいて、幸せでしたね。
      テイトやテイトのお父さんも忘れられません。
      2020/06/03
  • 心に残したい。

    最高。

    湿地で起きた不審死事件。
    疑惑の目を向けられたのは幼い時に家族に置き去りにされたカイア。

    まるで湿地に埋もれた感情、埋めざるを得なかった彼女の感情のかけらを一つずつ丁寧に掘り返していくような時間。
    涙し心震え、水彩画のように彼女の心も色づくことを願う そんな様々な感情がこみ上げる時間だった。

    自然、人にどれだけ彼女の孤独は支えられ包み込まれたのだろう。

    愛をひたすら求めた彼女の姿を永遠に心に刻み残したい。
    残さざるを得ない。

    ミステリかつ一人の少女の成長譚は最後の最後まで心震えずにはいられない。

    • まことさん
      くるたんさん♪こんにちは。

      この作品は、他の方のレビューもあって、知っていましたが、くるたんさんのとても素敵なレビューを拝見してとって...
      くるたんさん♪こんにちは。

      この作品は、他の方のレビューもあって、知っていましたが、くるたんさんのとても素敵なレビューを拝見してとっても読みたくなった本です。
      ご紹介ありがとうございました!
      ミステリーだけど全然怖くなかったし、ストーリーも凄くよくできていて、最後の最後まで飽きさせない、至福の読書体験でした。
      最後に大きなどんでん返しがあったけれど、この結末でよかったと本当に思いました(*^^*)
      この作品は星6をつけたいかんじでした!
      本当にありがとうございました!!
      2020/06/03
    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪

      ありがとうございます♪

      ミステリーでもあるんだけれど、貧困や暴力、差別などあの時代の社会問題を盛り込んだ作品で...
      まことさん♪こんにちは♪

      ありがとうございます♪

      ミステリーでもあるんだけれど、貧困や暴力、差別などあの時代の社会問題を盛り込んだ作品でしたよね。

      そして何より湿地の自然描写が美しかったのが良かったです。
      最後の最後は…驚きもあり…。
      詩がまた心に響きました( ´ ` )
      2020/06/03
  • 二つの小説がひとつに縒りあわされている格好になっている。一つは一九六九年に沼地で起きた一人の男の死の謎を追うミステリ仕立ての小説。もう一つは、その十七年前の一九五二年に始まる稀有な生き方を強いられた一人の女性の人生を追った物語である。

    アメリカ東海岸、ノース・カロライナ州の海岸沿いには湿地帯が広がっている。水路が入り組むその辺りは開発が進んでおらず、もともとは逃亡奴隷や人生をしくじって流れ着いた貧乏白人たちが、粗末な小屋を建てて生活する土地となっていた。彼らはホワイト・トラッシュと呼ばれ、唯一の市街地であるバークリー・コーヴの住民から差別を受けていた。ただ、湿地は多様な生物が棲む豊かな土地でもあり、魚介類が豊富で、その気になれば自活できる環境にあった。

    主人公のカイアは両親と兄姉とともに潟湖とオークの森に隔てられた海沿いの土地に建つ小さな小屋に住んでいた。貧しい暮らしではあったが、優しい母や兄のジョディに守られて六歳までは健やかに育った。一九五二年八月のある朝、母が家を出て行った。父親は酒を飲んでは暴力をふるう男で、残された兄や姉は次々と家を出て行き、二度と帰ってこなかった。いちばん年の近い兄のジョディも、出て行ってしまうとカイアは一人になった。

    父に定職はなく、戦争で足を負傷したため障害年金で生活していた。もともとは広大な綿畑を持つ富裕な一家に生まれたが、大恐慌が起き、ゾウムシに綿がやられ、借金を負い、家を失った。学校をやめて働き出したが、何をやっても長続きしない。妻の実家は製靴工場を経営しており、そこで働き夜学に通うも、酒に溺れて退校処分となる。心機一転まき直しのため、湿地に建つ小屋へ家族で引っ越し、出直すはずだったが結局は酒浸りというのがこれまでの経緯。救いようのない男だ。

    ぷいと家を出ると何日も帰ってこない父は頼りにならず、カイアは記憶に頼り、トウモロコシ粥を作り、菜園のカブの葉をゆでて飢えをしのぐ。少しずつ家事もできるようになると、父もカイアを見直し、素面の父とボートに乗って魚を釣る平穏な日々も持てるようになった。そんなある日、母からの便りを読んだ父は手紙を焼き捨て、怒って家を出て行ってしまう。一人ぼっちになったカイアの孤独な生活が始まる。

    帯に「2019年アメリカで一番売れた本」とある。ベスト・セラーというのは、ふだん本を読まない人がこぞって読むからベスト・セラーになるのだ、という。だから、設定はいささか極端なものになりがちだ。年端もいかない少女が、人里離れた湿地の小屋に一人きりで生きていくのだ。学齢が来ても、親のいない少女は学校に行かない。家に迎えに来た女性に連れて行かれた学校で「湿地の少女」とからかわれ、二度と行かなくなる。少女の友だちは小屋近くにある海辺に集まるカモメだけだ。

    父親の置いていった金が途絶えると、貝を掘って袋に詰め、ボートで顔見知りの黒人の店に行き、物々交換でガソリンや食料品を手に入れる。ジャンピンという黒人は酷い差別を受けていたが、カイアに優しく、妻のメイベルは服やその他の品々をカイアのために都合してくれたりする。もう一人、テイトという少年との出会いがカイアの人生の転機となる。テイトはジョディの友だちでカイアを知っていた。鳥の羽の交換を通じ、二人は仲良くなる。カイアはテイトに読み書きを教わることになる。

    乾いた大地が水を吸い込むように、文字を知ったことでカイアの知識欲に火がつく。もともと、貝殻や鳥の羽を集めるのが好きだったカイアは、それらを図鑑で調べ、名前や採集場所その他を記載するようになる。テイトは学校の教科書の他にも詩集やナチュラリストの書いた本をカイアに与え、カイアは自分の見知っていた物についてぐんぐん知識を吸収していく。それらはやがて、テイトの手を通じ、出版社に送られて本にされることになる。

    二人は惹かれあっていたが、カイアに死んだ妹の面影を見ていたテイトは最後の一線を越えることなく、大学に入るため湿地を去った。再び一人になったカイアは、もう立派な女になっていた。そんなカイアに目を留めたのがバークリー・コーヴの商店主の息子で、フットボールの花形選手でもあったチェイスだ。二人は急速に関係を深めるが、結婚を約束しながら、チェイスは町一番の美女と結婚してしまう。

    沼地に建つ火の見櫓から転落して死んでいたのはチェイスだった。不思議なことに足跡も指紋もないことから、保安官は殺人を疑う。チェイスが死ぬ少し前にカイアと争っているところが目撃されており、保安官はカイアを逮捕する。しかし、カイアはその夜、出版社の人間と会うため、別の町にいてアリバイがあった。後半は、カイアの弁護士と検察側の法廷劇となる。敏腕弁護士によって次々と証言の不備が暴かれていくのは痛快だが、カイアは差別されていて陪審員の出す評決は予断を許さない。

    謎の提出で幕が開いた物語は、謎解きで幕を閉じる。そういう意味では通常のミステリのようだが、そうとも言い切れない。ホタルやザリガニをはじめとする湿地の多様な自然、種の保存の為になされる生物の行為、生命を維持するための動物の本能の持つ残酷さ。湿地の中でひとり生きる女の孤独。閉ざされた集団の持つ差別性。孤独な人間の中に育つ、他者との間に一線を画す心情。様々なものが多種多様な色糸で織りなされ、描き出された一枚の大きなタペストリーを思わせる一篇である。

  • 読み終わるのがさみしい本だった。

    帯に書いてある、言葉たち。
    「泣いたのは、森で一人ぼっちの彼女が、自分と重なったからだ。
    ―同じ女性というだけで。」
    「この少女を、生きてください。」

    本当だ。読後にすぐにそう思った。いや、読書中もきっと、ずっと。
    カイアは私だった。
    カイアとの共通点なんて女性であるというただそれだけのことなのに。
    カイアは私だった。

    何がそうさせたのかがはっきりわかるほど、自分は賢くも読書家でもない。
    ただただ、私もトウモロコシ粥をかき混ぜ、カモメにエサをやり、落ちている羽根を広いあげて、足を水に浸して歩く。そんな日々がもう何年も続いたようだった。

    「出会えてしまうんだもんなあ、こんな本に。」
    本当にそうだ。
    改めて、読書っていいな。
    たった2000円で、今いる場所も時代も年齢も天気もなにもかも、関係なく心は1960年代のアメリカの湿地にある。ほかのどんな娯楽ともちょっと違う。
    私の目の前には枝を垂らしたオークの木があって、ちょっと傾いた小屋があって、古ぼけたボートがあって、ジャンピンは笑顔で出迎えてくれる。そしてこれは、私の記憶だ。
    読んだ人それぞれの風景があって、音があって色がある。それは紛れもないその人の記憶だ。
    ほかのどんな娯楽ともちょっと違うところ。漫画とも映画とも違う、自分の作り上げた世界を自分で見まわす。お話の世界が自分の世界になる。

    出会えてしまう、こんな本に、ふとした瞬間、唐突に。
    あ~、読書って、いいなあ。

  • 両親や兄姉達から見放され、たった一人湿地での生活を余儀なくされた僅か6歳の少女・カイア。
    飢えや寒さと闘い、孤独に苛まれながらも、世間から隠れて一人湿地で生きていく。
    そんな彼女もやがて数少ない理解者の協力により独自の世界観を創りあげていく。
    湿地の自然や鳥・昆虫等といった生き物との共存、類い稀なカイアの深い知識と豊かな感性が素晴らしい。
    いつまでも湿地の自然と共に慎ましく生きる暮らしが続くと思っていた。
    けれど成人したカイアは孤独に耐えきれなくなり、ついハンサムな一本の"藁"にすがったことにより人生が狂っていく。
    寄り添う相手を求めることはそんなに罪深いことなのか。
    本来の自分を偽った罰なのか。
    自然に育てられ守られたカイアはやがて、一人"ザリガニの鳴くところ"へと還っていく。
    それはカイアの望んだ生き方だったのだと思う。

    殺人事件の犯人を追うミステリをベースに、人種差別・偏見等といった社会的問題、湿地に生息する生き物を扱った生物学、と様々な要素が詰まっていて読み応えがありとても面白かった。
    500頁というボリュームも全く苦にならない。
    特に生物学の話が興味深かった。

  • 星4と5の間くらい。

    話題になっている一冊。動物学者である著者が、1950年〜1970年頃、アメリカ南部の湿地帯を舞台に書いた長編小説。なんと処女作。

    1969年、沼地で発見された街の裕福な青年、チェイス。容疑者として疑われたとは、ひとりひっそりと暮らす“湿地の少女”カイア。カイアの成長譚をベースに、ミステリーの要素が重なり、さらに人種差別、自然破壊、貧困などの問題が絡まっている。振り返れば、盛りだくさんな内容だったが、すんなりと話の世界に入り込めた。

    兄ジョディを思わせる優しい青年テイト、横暴な父ジェイクを思わせるろくでなしのチェイスの対比など、いろんな二項対立があった。チェイスさいてー。

    そしてカイアは美しく、賢くて強い。彼女を守る自然の強大さも見事でした。
    どうして○罪となったのか…考えずにはいられませんでした。

  • 湿地に不審死事件が起きた。死体は村の青年チェイス。

    「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれているカイアは、家族に捨てられた6歳の時から独りぼっちで生きてきた。家族が戻ってくるのを待ち続ける幼いカイアが痛々しい。
    カイトは湿地の自然から糧を得て、自然の生き物を家族として先生として生き抜いてきた。
    カイアの自然を観る眼差しは鋭く優しい。
    14歳に成長したカイアは少年テイトに読み書きを学ぶ。教科書にしたのは、アルド・レオポルドの『野生のうたが聞こえる』
    カイアとテイトは惹かれあい、性に目覚めていく姿が愛しい。成長していく揺れる心と体の変化が丁寧に描かれている。
    けれど大学進学のために去っていくテイト。
    その後、近づいてくるチェイス。

    チェイスの不審死事件にカイアは関係あるのか…。

    ここに描かれる湿地の自然描写は圧倒的な魅力に満ちている。その中で成長していくカイアに寄り添っていく、哀しみと美しさで胸がいっぱいになった。

  • 昨今の”Black Lives Matter”に代表される米国における黒人差別は、海を隔てた日本でも知る人は多い。でも、彼の国の差別はそれだけではない。

    この小説の主人公は、ノースカロライナの湿地帯に住む、すなわち住所もないような場所に住む白人貧困層に類別される家の少女。ギャンブルやアルコールへの依存から抜け出せない父親のもと、母親に続いて兄弟たちも家を捨て、挙句の果てに当の父親までもが家を捨てる。そして、たった一人で暮らす少女に残されたわずかな出会いから起きる事件が、この物語の中心になる。

    白人貧困層という、ほとんど報道もされない人たちにフォーカスを当てたところに、この小説の意義がある。差別と言っても、白人対黒人という比較的わかりやすいものだけでは決してない。ワタシ自身、企業の駐在員として米国に長く暮らし、アジア人に対する差別は体験したけれど、白人貧困層の存在を直接体験する機会はなかった。(駐在員が暮らすような場所には彼らはいないのだ) でも、そこには確かに差別が存在する。その差別の存在を知っているか否か、もっと言うと、その差別を目の当たりにする機会があるかないかで、この小説の持つ深みの感じ方は大きく異なってくるに違いない。

    また、本書の主人公が少女であることから、女性であるがために受ける差別や仕打ちにフォーカスを当てる向きもあるかもしれない。その見方を否定はしないが、それではあまりに視界が狭すぎ、この小説を過小評価してはいまいか、と思わざるを得ない。

  • 1952年のアメリカで6歳だった少女のことを思う。
    家族に捨てられ、湿地にたった一人暮らす少女の毎日を、文字が読めず裸足で暮らす少女の孤独を、麻袋いっぱいの貝を掘ってお金を得る生活を思う。
    差別や偏見の中で手を差し伸べてくれる人がいること。だけどその手をうかうかと握れない現実に打ちのめされる。
    自分とは何一つ重ならない想像するしかないその人生の壮絶さ。けれど彼女の人生は彼女自身が自らの手で開き続けていた。差別も貧困も裏切りも、何も彼女のことを貶めることはできなかったのだ。孤高の人生の、その気高さに心が打ち震える。

    これは湿地に住む一人の少女の物語である。
    でも何十年、何百年もの間、私たちが直面してきた「現実」そのものでもある。
    読みながら何度も怒りに震えもしたけれど、でも私はこの物語を読んで泣いたりはしない。涙は何も変えることはできないから。何かを変えるのは自分のこの手だけだと、教えられたから。

    社会小説であり、生物学小説であり、恋愛小説であり、ミステリでもあるこの小説は、だれがどのように読んでも満足するに違いない。自然の描写はとくに素晴らしくて、さまざまな情景が目に浮かんでくる。湿地の風やもさもさしたトウモロコシの粥やボートに当たる波の飛沫さえも感じられる。
    翻訳小説が苦手な人にもぜひ読んでもらいたい。

  • ミステリー・ミーツ・ネイチャーといった感じ。

    物語の始まりは大戦後間もないノースカロライナ州湾岸の町バークリー・コーヴで起きた青年チェイス・アンドルーの死亡事故。
    ただの転落事故かと思いきや、事故現場には他人はおろか被害者本人の指紋、足跡が全く残っていないという不自然な状況で、事件性の臭いが漂う。
    疑いを向けられたのは、かねてから青年との付き合いを噂されていた”湿地の少女”。

    不遇な家庭環境強いられた”湿地の少女”カイア。
    世間からの拒絶、次々と去っていく家族、辛く孤独な生い立ちでありながら、数少ないながらも心配を寄せる人々の支えを受けながら逞しく湿地の生活を生き抜いていく。
    それでも信頼していたテイトからの若気の気の迷いに深く傷つき、癒しを求めるがあまりチェイスの口車に乗せられてしまう。

    湿地を彩る豊かな自然、生態系の魅力を余すことなく描きつつ、一人の少女の苦難を乗り越えながら自立するまでの胸震える半生ドラマと冒頭の事件の行き先不穏な展開の交互語りが交わる先は。。
    終盤は法廷ミステリの要素すら現れ、良い意味で一冊でどんだけ詰め込むんだと。

    こてこてのミステリ好きには物足りないかもしれないが、生命の力に惹かれる人、人間ドラマが好きな人には満足の一冊となること請け合い。

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