セヘルが見なかった夜明け

  • 早川書房 (2020年4月2日発売)
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本 ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784152099327

作品紹介・あらすじ

刑務所の窓に巣をかけたスズメの夫婦、通勤中にデモに出くわした掃除婦、工場の同僚に恋心を寄せる女性、紛争地帯のレストランの店主……中東に暮らす人々の日々の営みと、彼らが情勢や伝統に翻弄される様を、トルコ政府に拘束中のクルド系政治家が描く短篇集

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の「セヘルが見なかった夜明け」は、あまりにもひどい話で、まだ子どもの弟にもなんて重いものを背負わせるのだろうと思う。短い話だが、これがありのままの現実なのだと突きつけられたよう。

    全12篇収録されていて、ユーモアやあたたかさを感じられるものもある。「歴史の如き孤独」がよかった。「ああ、アスマン!」は、最後にふっと笑えて、なんだか、ほっとした。

  • トルコ、親クルド野党政治家らを拘束 - BBCニュース(2016年11月4日)
    https://www.bbc.com/japanese/37869016

    【第90回】間室道子の本棚 『セヘルが見なかった夜明け』 セラハッティン・デミルタシュ/早川書房 | 特集・記事 | 代官山 T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/daikanyama/blog/humanities/13962-1210370428.html

    セヘルが見なかった夜明け | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014488/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      第18号『Other Voices, Other Places 英語圏以外の本特集2』(2021年5月発行)
      BOOKMARK | Miz...
      第18号『Other Voices, Other Places 英語圏以外の本特集2』(2021年5月発行)
      BOOKMARK | Mizuhito Kanehara
      https://kanehara.jp/bookmark
      2021/06/10
  • 政治家が刑務所から出した本、と聞いて、この本の内容は予想外だった。
    女性によりそい、弱者によりそい、ユーモアもあり、しかし残酷さを直視している。
    こういう本を読んで損はないと思う。

  • 内容がショックすぎて一週間あたまから離れなかった。セヘル…。

  • トルコという国はヨーロッパ地方(イスタンブール含む)とアジア地方とあって、アジアの人(アナトリア)らしい。クルド人で政治家で服役中。こりゃーとんでもねー本借りちまったぜと思ったけんども、ちいとも難しくない短編10個。書かれてるのことは物騒。好きな女子ストーカーしてたら、その兄さんに射殺される。舟で逃げる時丸ごと沈没。こういった状況なのにふんわりメルヘンテイスト。レイプされた娘が家族に射殺されるのも「歩くべきだった将来の夢を失った」ということに。命に対しての意識を国民に考えて欲しいというメッセージなのかな。

  • 作家がクルド系、大統領選にエルドアンに対抗して立候補した政治家、政治犯として獄中で執筆したという多すぎるほどの情報を知らずに読んだが、初めの短編、刑務所でスズメと会話する物語でぐぐっと心を掴まれた。ユーモア、語り口のうまさ、妻雀に寄り添う視点。「惨殺や暴行の犠牲になったすべての女性たちに捧ぐ」という献辞の通り、「セヘル」の許しがたい悲劇を始め女性の痛み、弱きものへのまなざし。クルド系としての政治活動にも注目したいが、小説家としての手腕は見事。これ以外の作品も翻訳して欲しい。

  • 囚人が刑務所内で執筆した短編集といえばOヘンリーが浮かぶが、こちらは現在も勾留中のトルコの政治家にして作家。そのためか最初は重くて暗い現実が突きつけられる物語が続く。特に表題作は衝撃的。頁を繰る手も重くなったが後半は明るい終わり方や希望を持てる作品もありホッとする。主人公の男女の書き分けも巧み。トルコだけでなくシリア、そして出自のクルドまで広く目配りがされた作品が並ぶ。心に残ったのは表題作の「セヘル」の他「掃除婦ナっち」「黒い瞳によろしく」「にんぎょひめ」「アレッポ挽歌」「ああ、アスマン!」「歴史の如き孤独」。本国では出版されてないかと思ったら出版されていて20万部以上売れたらしい。本作以降2冊出版されており、是非これらも翻訳されることを望む。原題は『セヘル』。翻訳がなぜこのタイトルなのかと思ったら英語版のタイトルは『夜明け』だった。原書の表紙が兄弟の手による絵だということなのでどこかで生かして欲しかった。

  • 厳しい…。
    でも、現実を留めておこうとすると
    こういう物語になるのか。

    短編集なので
    すべてが厳しい話ばかりではないのが
    ちょっと救われたかも。

  • 信じられないような土俗的風習や侵害、事件などが今も現実にあるという事実は衝撃的。「歴史の如き孤独」良かった。

  • 中東の文化はよくわからなくても響く物語です。

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