コロナの時代の僕ら

  • 早川書房
4.12
  • (68)
  • (67)
  • (30)
  • (3)
  • (4)
本棚登録 : 901
レビュー : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099457

作品紹介・あらすじ

2020年2月から3月のイタリア、ローマ。200万部のベストセラーと物理学博士号をもつ小説家、パオロ・ジョルダーノにもたらされた空白は、1冊の傑作を生みだした。生まれもった科学的な姿勢と、全世界的な抑圧の中の静かな情熱が綾をなす、私たちがこれから生きなくてはならない、コロナウイルス時代の文学。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • レビューを拝見して読みたくなった本です。ありがとうございます。

    この本を読んで、コロナとの戦いはまだ始まったばかりで、この先いつ終わるのかとため息がでましたが、戦い方に関しては、これからまた、どなたか、優れた著作を書いてくださる方は現れると思います。
    ですが、この本が緊急出版された意義は大きいと思います。

    この本の著者はトリノ大学で物理学を学んだのち、2008年に小説『素数のための孤独』で文壇デビュー、25歳でイタリアの最高峰の文学賞であるストレーガ賞受賞。

    この本は2020年の2月29日から3月4日までの日々の記録をエッセイとしてまとめたものだそうです。

    感染症の仕組みを「ビリヤードの球の衝突」といった身近でわかりやすい比喩を用いて解説しています。
    感染症のスピードは「アールノート」という記号で示され、その数字が1より大きければ流行の始まりを意味するそうです。
    新型コロナの場合「アールノート」は2.5ぐらいではないかということです。ただし「アールノート」は変化しうるそうです。
    彼は新型コロナが人間に伝染したそもそものきっかけには、環境破壊や温暖化といった現代人の生活スタイルが生んだ問題があるはずだと訴え、わたしたちが今のような生活を続けている限りは、流行が終息したとしても、必ず新しい感染症の流行が何度も訪れるはずだろうと予測しています。

    今、始まったばかりの「コロナの時代」をわたしたちがこれからどう生きていきたいのかを、まずは自分ひとりで、そしてできればいつかみんなで一緒に考えてみよう、というジェルダーノのメッツセージでもあるそうです。

    家にこもって過ごす時間の増えた隔離の日々を思索のための貴重な機会ととらえ、あとで忘れてしまわぬよう、この苦しい時間が無駄にならぬよう、「元どおりに戻ってほしくないもの」リストを今のうちに作っておこうと呼びかけています。

    なお、著者はこの本の印税収入の一部を医療研究および感染者の治療に従事する人々に寄付するそうです。

  • 考えらせられる。

    イタリア人の著者が、新型コロナウイルス感染症に関して書いたエッセイ。

    著者は、
    ー 感染症の流行は、集団のメンバーとしての自覚を持てと僕たちに促す
    という。

    そして、
    ー 感染症流行時に助け合いの精神がない者には、何よりもまず想像力が欠けているのだ。
    と、ばっさり。

    なぜなら、
    ー ひとりひとりの行動の積み重ねが全体に与えうる効果は、ばらばらな効果の単なる合計とは別物
    だから。

    「自分は大丈夫だから」とか言う人の無責任さったらないよね、ということ。もしかしたら、知らず知らずのうちにコロナウイルスのスーパースプレッダーになってるかもしれないのに。
    水沢アリーが言うとおり、「もう自分はコロナなんだ」という行動がそろそろ求められている。

    今は人として生きることを試されている時なんだ、と改めて思い知らされた。

    そして、
    ー この大きな苦しみが無意味に過ぎ去ることを許してはいけない。
    肝に銘じよう。

    評価が3点なのは短いから。
    もう少し読んでいたかった。

  • 簡潔で読みやすい。そして、臨場感がある。数理疫学的基盤に基づき、人間心理の弱さと偏りを暴く。その弱さを直視・意識し、過ちを繰り返さず、新たな時代を作るために著者は「書き記す」という戦いを起こした。古典になり得る、貴重な文章である。

  • 無料公開してくれた著者と早川書房に感謝と敬意を。
    書籍、必ず買います。
    今読んで良かった。本当に良かった。
    ウイルスと感染については非常にわかりやすく、人々の態度と心理には身につまされつつ得ることがとても多かった。
    そして、こういった事態は今回限りの特例ではない、ということ。
    今から今後の生き方を考えていかなければならない。
    繰り返し読んでいきたいと思う。

  • イタリア人の作者による、
    2月25日から3月半ばまでにイタリアの新聞に寄稿したもの。

    感染症とは何か。
    ウィルスとは何か。

    そして、コロナ蔓延下での自粛で思うことなど、
    イタリア人によるイタリア国内の話だけれど
    それは日本の今の状況と心理的にも社会的にも
    あまり変わらない物なのではないか。

    感染症の拡がりは、自然をも制御できるという
    人間のおごりの気持ちから起こり、
    にも関わらずよく調べもせずにネットで拡散されたものが
    容易く拡がり混乱と不安を招く。


    感染というのはどういうことなのか
    数学的理性的に説明しながら
    精神的な分析も同時に行う。

    一つ一つは短いエッセイながら
    良い本だなぁと思った。

    特に、最後の著者あとがき
    「コロナウィルスが過ぎた後も、僕が忘れたくないこと」
    は問題や災害が起こって通り過ぎた後、
    すぐに忘れてしまう我々に警鐘を鳴らしていて
    これだけでも読む価値ありだと思う。

    今、何もできずに家にいる間に、
    あとのことを考えておこう。
    「まさかの事態」に二度と不意を突かれないように。

    ほんと、それ。

  • 早川書房の緊急全文公開で読んだ。今この状況で読んでて恐いところもあったが、読んでよかった。気を緩めてはいけない。巷の、真も偽も含んだ情報や、不安に駆られた発言、普段そんなこと言わない人なのになあという人のよくわからない発言などに惑わされてはいけない、と自分を戒める。平時の歪みが出ている今、正しく怖がり、何が大事なのか我が身を問いたい。そして忘れていけない。

  • 2月末から3月頭、コロナウイルスの感染拡大真っ只中の変容をイタリア人著者が記している。
    刊行までの期間の短さと、日付も入った短いエッセイは感染拡大下にある国と人の様子をリアルに伝えている。
    今、日本は緊急事態宣言が解除され、自粛ムードが緩み始めている。それは決して悪いことではないと思う。ただ、もしもこれまでと同じ社会を取り戻そうと考えている人がいるなら少し考えて欲しい。
    戦争、恐慌、そして今回の感染症...危機的な状況は社会のあり方について考える機会だ。
    著者は医者でも感染症の研究者でもない。彼が伝えたかったのは、これまでの社会のあり方を見直すこと、元を辿れば中国が悪いわけではなく人類全体の責任であること、そしてグローバル化の弊害である。
    これから学校が再開し、店舗の営業開始も進み、経済活動が活発化していくと思われる日本に住んでいるからこそ読んで欲しい一冊です。

  • 簡潔かつ率直な言葉で、私たちの漠然とした不安や不満の原因を説明してくれている。

    なぜ外出自粛が有効なのかという基本的なことから、
    在宅期間をいかに有意義に過ごすかという実践的なこと、
    そしてこのコロナウイルスが人類に投げかける課題まで、
    100ページちょっとの分量とは思えない、内容の濃さでした。

  • 読んで良かった。
    理解できない表現もあったけれど、言いたいことはなんとなく伝わってきました。

    やっぱり一番印象に残ったのは著者あとがきかな。コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと。

    今回、コロナの一件を通して、沢山の問題点が露わになった。政府と国民との信頼の問題や情報過多の問題、数字が出ていたのにも関わらず、驕って判断が遅れたこと。
    人間ってやっぱり楽な方に流されやすくて、その方がやっぱり楽だから。でも、それを普通のことと捉えるのは、しょうがないことと捉えるのは、結構自己中心的なことなのかもしれない。もっと広い視野を持って、生態系の一部としての人間の立ち位置であったり、未来を見据えた場合に、本当に今の判断でいいの?って問い直すことは大切なことだよね。だって、私たちがこうやって生きていられるのは、他の生物との関係性や、祖先のみなさんがより良い未来にしていくために悩んで学んで考えて選択をしてきてくれたおかげなんだもの。

    日本において今回の一件はどうだったのだろう?何が問題だった?それらを受けて私はどのように自分の生活を変えていくべき?
    自分の中で問いかけ続けたいな。

  • イタリア在住の作家が2020年2月29日から、書き始めたエッセイ。
    2月29日現在、世界の感染者は8万5千人、死者は3千人に迫るところから始まる。
    イタリアもまだ全土で感染が広がっているのではなく、北部のある地域だけで感染が確認されていた時期。
    エッセイの進みと共に、感染状況も悪化していく。
    決して、難しい言葉で綴られることなく、感染のしくみについてもビリヤードで例えてみたり、内容はとても分かりやすい。
    そして、著者あとがきの「コロナウイルスが過ぎても、僕が忘れたくないこと」は、今この局面に直面している人みんなに読んでいただきたい。
    5月5日現在、世界の感染者は343万人。死者約240万人。
    今では中国でもイタリアでもなく、アメリカが一番死者の多い地域になっている。
    このコロナはどこかで起きている出来事ではなく、本当に身近で起きている事実を、私たち人間は直面しなくてはならない。そして、唯一の手段「家にいること」でコロナに立ち向かうしかないのだ。
    状況はまだ刻々と変わっている。その度にこの作品を読み直して、自分の緩みそうな心を引き締めたいと思う。

全106件中 1 - 10件を表示

パオロ・ジョルダーノの作品

コロナの時代の僕らを本棚に登録しているひと

ツイートする