余生と厭世

  • 早川書房
3.57
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本棚登録 : 103
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099501

作品紹介・あらすじ

引退を決心した71歳の精神科医のもとにやってきた最後の新患は、若くして希死念慮にとらわれた女性だった。精神科医は彼女の面談をとおして、他者とのかかわりを避けてきた自らの人生に向き合う。デンマーク人精神科医が描く、老いと死を静かに見つめる小説。

感想・レビュー・書評

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  • なんかいいなあ。しみじみ?この本の良さを表すのはどうすればいいんだ?退職を控えた精神科医72歳の日常。静かで地味。家族、友達いない。自分が歳とったら、かなり満足した毎日を送ることができるんだろうと漠然と考えていたけど全然そんなことねえな。むしろ思い通りにいくことの方が奇跡に近く、常に周囲に疲労させられる。日本はカウンセリングがあんまり浸透してないし、なかなか人目あって、自分の心に向かい合うことに敷居がある。不思議だよね、自分を労ることに何だか罪悪感があるんだ。まあ最後の最後、この医師は少し自分が見えた。

  • 引退間近の精神科医とその日常を淡々と綴りながら、最後の新患女性との診察を通じて起こる彼自身の変化を描いた物語。
    精神科ならではの重苦しさはほとんどなく、なんとも心穏やかな気持ちで読み進められる不思議なトーンを持った本だった。
    著者はコペンハーゲン出身の、臨床心理士でもある女性。元卓球デンマーク代表選手という興味深い経歴の持ち主。
    他の作品も読んでみたくなった。

    3~4ページくらいの短いスパンで見出しが付いており、全体のページ数も150ページほどと非常に読みやすい。
    表紙のデザインはシンプルだがなかなかのインパクト。

  • 老病死と共に生きていくっていう話。

    フランスを舞台にしてるけど、やっぱりデンマークの静かな雰囲気が似合う静かな小説。

    章が短く分けてあって読みやすい。

  • アガッツが来たのが別のタイミングだったら、老医者は何も変わらなかったかもしれない。あのときに彼女が現われたからこそ、彼は自らの孤独や患者たちと真に向き合うことができた。たとえ嫌気の差す仕事でも、終わる間際になって初めて、かけがえのないものに見えてくるように思う。同じことが人生全体に言える。私ももうすぐ死ぬという時になったら、色んなものを受け入れられるかもしれない。そうであればいいと思う。リンゴのケーキ食べてみたい。 読みやすかった。訳者あとがきはちょっと微妙。

  • 日々の診療を機械的にこなし、半年後までの診療回数を指折り数えて引退を待ちわびる、孤独な老精神科医を主人公としています。そんな彼の元に自殺念慮と自傷衝動に苦しむ三十八歳の既婚女性が、彼のセラピーを希望して押し掛け、医師は渋々引き受けることになるのですが、老人は次第に患者であるアガッテの魅力に心を惹かれ、やがて自身が恋に落ちていることに気づきます。医師のアガッテへの想いを主としつつ、ほかの患者や隣人との関係などを通して「人を愛したことがない」と話す主人公の寂寞とした生の営みと変化が描かれ、また終盤にはアガッテが病んだ原因も明かされています。

    主要な登場人物は名前が明かされない老精神科医、患者アガッテ、秘書のマダム・シューリングの三人。舞台は1948年のパリとなっていますが、アガッテの過去の入院歴として精神科治療に非人道的な療法が用いられていたことを除けば、この時代設定に特別な意味は見出せませんでした。本文は約140ページ、かつ一節が2~7ページごとで改行・改ページが多いため文章量はかなり少なく、難解な表現もないため、読み通すことは容易です。

    予期したよりも、意外性には欠けるオーソドックスなお話でした。

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