財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生

制作 : 井上 智洋 
  • 早川書房
4.12
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本棚登録 : 161
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099662

作品紹介・あらすじ

政府は通貨の発行体であり、無限の支出能力を持つ。緊縮なんてもってのほか、国民の幸福のための財政出動を! MMT(現代貨幣理論)の主唱者が財政赤字にまつわる6つの神話を撃破し、これからの経済を革命するNYタイムズ・ベストセラー。解説/井上智洋

感想・レビュー・書評

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  • 近年、MMT(現代貨幣理論)という言葉を新聞や雑誌等で見かけるようになった。本書はそのMMTの旗振り役の一人、ステファニー・ケルトンによる一般向けのMMT解説書である。一般向けとはいうものの、私は経済学を学んだことはなく、大学の教養授業でさえも受講したことがない。そんなわけで、半分ほどしか理解できてないと思うが、とても刺激的な本だった。

    誤解を恐れず、本書の内容をかいつまんで言うならば、財政赤字で国庫が破綻することはない、社会保障が破綻することもない、なぜなら政府は通貨の発行体だからだ、ということに尽きる。足らないなら刷ればいい、というわけだ。コペルニクス的な理論と言える。必然的に、国の赤字は国民の借金だとか、後世にツケを払わせるというのはMMT的にはあり得ない。政治家の嘘、ないし誤解である。コロナ禍にあって各国の財政支出は天文学的な数値になっている。しかし、MMTに立つならば、財政赤字による支援策こそが危機を乗り切る手段となる。

    もちろん、MMTにも限界はある。いくらでも赤字を出していいということではない。注意すべきはインフレである。インフレは支出が過剰という証左になる。逆にいうならば、インフレどころかデフレ気味な状態が続く日本は、むしろ支出が不足していることになる。またどこに支出するのかというのも注意が必要となる。ひとつの目安は、医療、教育、インフラ等、実体的な財やサービスを継続できるようにすることである。

    ただし、全ての国にそれが可能というわけではない。アメリカのように自国の通貨主権を持っていることが条件である。通貨主権のない国やEUのような共通通貨圏には当てはまらない。当然ながら日本は強い通貨主権を持つ。MMTが適応される国である。本書では、目も眩むような赤字を出し続けながらも国が破綻しない例として日本のことが頻繁に取り上げられる。

    経済学に無知なので、なかなか理解はできないが、ただ妙に説得力があった。さらに本書はアメリカの抱える様々な問題点(かなりシビアである)、温暖化等、世界的な課題にも論が進む。グローバル社会にあって、ある国がMMT政策を採ることで周囲に与える影響についてはもう少し知りたいと思う。

  • MMTの概要と全体像について分かりやすく纏められている。平易な表現で数式モデル等も使っていないため、理解しやすい。
    近年注目されて、何かと話題にのぼるMMTについて解像度が上がった。従来の主流経済学の考え方とは真逆を地で行く論理だが、個人的に論理が破綻している点は見つけられなかった。
    これに対してどこに懐疑点があり、どのような反論があり得るのかについて今後は調べたい。

    MMTとは何かを知りたい人にとってはお勧め。良書。

  • え?財政赤字って気にしなくてよかったの?と目からウロコの本。

    家計と財政は違うのだ、貨幣を発行できるのなら、破綻はしないのだ、とのこと。

    言われてみればそうかなと思いつつ、ほんとかなと疑う気持ちも。

    少なくとも、財政支出の話題のたびに気が重くなっていたので、そうではないものの見方があることを知れたのは良かった。

  • 面白い

  • MMT信者の存在を理解できる。それほどMMTは強烈。Like A コペルニクス的転回

    財政赤字とは税金とのバランスで考えることが大事で額ではない。お金が市場に出回る理由を考えればわかる。お金は政府が生み出し、税金で良い感じに回収するのだ。通貨発行権をもつ政府は(税金+借金)→支出ではなく、支出→(税金+借金)なのだ。国債は赤字ではなく金利付きの日本円(米ドル)なのだ。国債の総額は政府が国民のために市場に流通させたお金なのだ。
    じゃあなぜ税金が存在するのか?それは良い感じに国民に働いてもらうため/通貨に需要を持たせるためだ。(本中では、子供たちに家事をしてもらうのに(世間的には一切価値のない)著者の名刺を使った例が示される)

  • 1番わかりやすくて具体的です。

    あとは物語としてどう認識を変化させるか。
    それが最も困難であり、言語化できる天才の出現が待たれます。
    黄色い円と緑の円 じゃ誰もついてこないでしょ

    また定番の政府雇用プログラム
    地域コミュニティでの雇用創出、財源は政府からの拠出
    とても素晴らしいですが、どの著者の作品を見ても具体性に乏しく、こちらも天才の出現が待たれます。

  • MMTの基本的概念が非常にわかりやすくまとめられていた。他国通貨やその他の財との交換比率が固定されていない不換通貨を自ら発行でき、かつ、他国通貨建てでの巨額債務がない国は、高度な通貨主権を有しているといえ、こうした国の中央政府は、財政的制約(財政は均衡すべきという制約)から解放され、社会の生産資源と生産能力の範囲内で財政政策を決定できる自由度を有している。アメリカも日本もイギリスも、ニクソンショック(米ドルが金との兌換を停止)でブレトンウッズ体制(広義の金本位性)が終了した時から、通貨主権国として財政政策において高い自由度を有するようになったが、政策決定者の認識は改まっておらず、景気後退局面にあっても財政均衡の軛から逃れられず、国民の雇用と所得を守るための十分な施策を行わずに、国民に貧困や生活不安という苦痛を与え続けている。
    通貨主権国の中央政府は、支出の前に自国通貨を調達する必要などない。財政支出によって社会に新たに流通することになった自国通貨を、税金として回収するかどうか、財政支出によって取引相手方の銀行預金を通じて増加する市中銀行の準備預金を国債発行という手段で消滅させて金利を維持するかどうか、というオプションを有しているだけで、税金も国債発行も、政府支出の必要条件ではない。
    こうした前提で、MMTは、政府が失業者に自動的に仕事を与える「就業保証制度」の創設を主張する。政府支出による雇用で、仕事の内容は地域コミュニティが地域の事情に応じて決定する仕組みとする。こうすることで、雇用と所得の安定による経済変動の抑制のほか、社会課題の解決、仕事に従事し続けることによる再就職容易性の向上といった効果が期待できる。
    こうした認識の変革は、究極的に有権者からの支持を必要とする政治家の側から行うことは困難であり、有権者から認識を正していくことで、これに適合した政治家が選ばれ、適切な判断基準の下での政策決定つながっていくものである。

  • Impressed and inspired by this book so much

    • uichyさん
      Great great book ever
      Great great book ever
      2021/02/25
  • 通貨主権国ではインフレの起こらない限り通貨を発行して国民を助けることができるという現代貨幣理論( MMT )について書かれている。各自治体や家計とは異なり、通貨主権国の支出を税金によって賄う必要はない。通貨発行の制限は財政赤字ではなく、あくまでインフレであるということが記されている。日本はデフレの状態であり、 MMT を適用すればまだまだ国民を助けるような財政政策をとることができると思われる。財政赤字は悪だという従来の考え方に縛られている政治家たちにこの理論が浸透し、国民のために積極的な財政支援を実施してもらいたい。経済についての有用な書であるが、同じような主張が繰り返し書かれ過ぎていて少ししつこいと感じたため星 3 つ。

  • 通貨の発行権を持つ国家の財政破綻はあり得ないので、巨額債務と財政赤字は気にすんなってことを違う切り口で繰り返し教えてくれる本。
    突っ込みどころは色々ありそうやが、総論としては確かな気もする。

    この手の本は英語独特の表現をそのまま日本語に訳してたりして全然頭に入ってこないことも多いが、原文が分かりやすいのか翻訳者が優秀なのかスゴくわかりやすかった。

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