それはあくまで偶然です 運と迷信の統計学

  • 早川書房 (2021年1月21日発売)
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本 ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784152099952

作品紹介・あらすじ

占い、ツキ、日常に潜む不吉な予兆、そして信仰……。それらの本当の姿が、統計学者にはバッチリと見えている。ランダムな世界を理性的に解き明かす術を、ユーモアをまじえて分かりやすく語る『運は数学にまかせなさい』著者による統計学よみ物。監修/石田基広

感想・レビュー・書評

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  • ・私たち人間は、なぜ物事が起こるのかを説明し、その理由を見つけ、何かしら道理にかなったものにしたいという、本能的な欲求を持っている

    ・人生の実に多くは、本人の行動によって、あるいは技能や能力や人となりによってさえ決まらず、自分には全くコントロールできない思いがけないことで決まるように見える。そう、ほかならぬただのランダムな運によって。本当にそんなことがありうるのだろうか?

    ・そして、これが何より重要なのだけれど、私にはどうしても見て取れない、こうした神秘的な力や理由や宿命のいっさいを信じるように、他の大勢の人を駆り立てているものはいったい何なのか。不運や、ダイヤモンドの紛失、幸せな恋、恐ろしい津波はみな、無数の実に小さくて微妙な科学的・物理的原因に基づいて、意味のないただの運のせいで起こったという単純明快な説明を、彼らはなぜあっさり受け入れないのか?すべてを網羅する道徳律や宿命や運命や意味などには基づいていないと考えないのか?カルマや宿命、運命や魔法に頼るほかの説明に、なぜ喜んで飛びついてしまうのか。

    ・けっきょく、証拠が多いほど、確信をもってしかるべきだ─たいていは。ところが、証拠にバイアスがかかっていたり、すべてが組み合わさる傾向にあったりするとしたら、用心してかからなければならない。なぜなら、それらの証拠は、ほんとうはさらなる証拠ではないかもしれないからだ。

    ・統計学のエッセンスは、たった一つの考え方に煎じ詰めることができる。たとえば、患者が何かの薬を服用した後に前より元気になったとか、世論調査によると、ある候補者が別の候補者よりも人気があるとかいった、何かしら結果が出た時にはいつも、統計学は単純な疑問を一つ投げかける。それはほんとうに何かの結果なのか、それともただの運なのか?つまり、そのデータは、薬を服用したときとしなかったときの本当の違いや、二人の候補者の人気の、ほんとうの違いを示しているのか?それとも、観察された違いは、ただのランダムな運で、何も意味していないのか?
     言い換えれば、統計学の仕事は、「まぐれ当たり」という運の罠から私たちを守ることに尽きる。それは、応募者が射撃の名手のように見えるものの、じつは一度だけたまたまとても運がよかったにすぎないという罠だ。統計学では、データを分析して、どれが本当の結果を示していて、どれが本当のまぐれ当たりなのかを判断する。

    ・ある意味で、保険証券は、一種のギャンブルで、加入者に不利にできていて、長い目で見ると、加入者は受け取るよりも多くを支払う。保険証書を買う人があまりに多いので、保険会社は繰り返しの恩恵を受ける。だからあれほど儲かっているのだ。

    ・ある調査で、100の心理学の実験を再試験してみると、その47でしか、最初の実験の結果と一致する結果が得られなかった

    ・偶然だけによってときおり通常より多い死者がでるような現象のことを「ボアソン・クランピング」という

    ・人はこれまでの失敗よりも成功を多く記憶にとどめがち

    ・(前記の実験を受けて)これほど回答率が低く、ほんとうにランダムなサンプルを集めるのが難しく、回答者は正直に答えたがらないのだから、きわどい選挙の結果を予想するために正確な世論調査を行うのは、実はそうとう難題だ。

    ・Make your own luck.(運は自分でつかめ)
    このことわざは、運は外からやってくる魔法のような力ではないことを意味する。むしろ、幸運に思えることは、勤勉や周到な計画、適切な用心、苦労して伸ばした技能などの結果である場合が多い。たとえば、リチャード・ワイズマンは・・・次のように結論した。「・・・運は魔法のような能力でもなければ、ランダムな偶然の結果でもない。また、人は生まれつき幸運でも不運でもない。そうではなく、幸運な人も不運な人も、自分の幸運や不運の原因についてほとんど理解していないものの、その運の多くは、自分の思考や行動に起因する」。要するに、人はしばしば自分のさまざまな行動を通して、幸運や不運を生み出すのだ。評価:正しいことが多い。

    ・Don't quit your day job.(本業をやめるな)
    ・・・私たちの誰もが・・・音楽で成功して貧乏人から大金持ちになったミュージシャンの話は聞いたことがある。そのおかげで、多くの芸能人の卵たちは、間もなく同じようにせいこうできるだろうという楽観をいだく。けれどこの楽観は、「バイアスのかかった観察」という運の罠から生まれたものだ。私たちは、途方もない金持ちになったほんの一握りのミュージシャンについて耳にするだけで・・・挫折した・・・人については、何も聞かない。・・・残念ながらほとんどの芸能人の卵はたいしたお金を稼げないことになり・・・平凡な定職についていることが金銭的な成功を収める上で最善の道なのだ。評価:たいてい正しい

    ・宗教が求めているのは「信仰」、つまり、正当性を立証するために外的な証拠はいっさい必要としない神の存在を心の中で信じること

    ・私たちは、どうして思い込みや運の罠に陥りやすいのか?・・・一つには、「人間は、なぜ物事が起こるのか説明し、その理由を見つけ、何かしら道理にかなったものにしたいという、本能的な欲求を持っている」から、そしてまた、「意味のないただの偶然という単純明快な説明は、はっきり言って退屈」なのに対して「カルマや宿命、運命や魔法には、はるかに多くの意味や重要性が感じられる。そして、人は身の回りの運やランダム性にういて考えるとき、それらには特別な意義や意味があってほしい願う」

  • 運とか迷信に関わるいろんな事案を紹介してくれます。嫌になるくらいに書かれています。「これは運だよな!?」と洗脳されます。

  • 状況をデータ化できない限り、統計にならない。故に偶然を考えて問題ない、と。つまり、心象でしかない。もしくは、単に良くも悪くもバイアスでしかない。

    「運は数学にまかせなさい」の方を読むべきかな。

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002281062【推薦コメント:数式が並ぶ統計はとっつきにくいけど、このタイトルだったらきっと面白く読めるはず!】

  • ☆R041125昼食時・袋入り一口ラーメン・うまく包装して◯◯ちゃんラーメン・子供「変なおじさん」に貰った

    運を信じているか?→運の定義が何か次第・様々な解釈が可能な言葉
    シェイクスピアのマクベスを朗読すると不運な事が起きる→マクベスと言わないように「あのスコットランドの劇」「あの詩人の劇」
    パスポートをなくした・ダイヤモンドを無くした→神に祈ったら出てきた…最初から神が無くさなければ?

    ESP(超感覚的知覚)

    鍛冶屋の蹄鉄→悪魔を寄せ付けない 小倉は幸運だったのか?長崎に原爆
    13日の金曜日生まれだったが、気付いたのは大人になってから

    人間は魔法好き バンビーノの呪い・レッドソックス 自分がお気に入りのスポーツチームの話になると、選手の能力、戦略的判断、指導能力などのありきたりの観点からの説明では物足りなくなる

    迷信深い私 賭けでトランプの勝利→実際にトランプが勝ったのは自分が賭けたから?!→その落ち着かない気持ちが翌朝まで続いた

    射撃手の運 真の実力、まぐれ当たり、玉がたくさんの散弾銃で撃っている、下手な鉄砲も数討つと当たる、大勢の人、特大の的、隠れた助けがあった、プラシーボ効果、偽りの報告…

    よく組み合わされる事実 ライフルを持っているandライフル協会に入っている

    生理のシンクロ現象 月経周期28日ならば月経開始の違いは最大で14日間→たいていの月経は5日続く→月経の開始の差が5日以内であれば月経期間が重なることになる。
    タイミングが完全にランダムでもこの重複は14回に約5回確率36%で起きる→3回に2回以上重なる

    リンカーンとケネディー大統領の類似点→ちょうど100年後に…任期が4年だから 似た項目を羅列しただけ
    1960年1月24日B52 空中分解 核爆弾も落下→複数の安全装置の残り1つが機能し爆発せず

    意外な献辞 息子を癌で亡くした親・著述を読んだ慰められた「癌がランダムだと分かった。罰、彼の過失ではないと分かった」→確率の考察が彼らの役に立つとは思ってもみなかった

    気候変動・地球温暖化 単に最近は暑いだけ?p値・統計的に有意→温度の上昇は現実

    007の悪役オーリック・ゴールドフィンガー「1度なら意外な出来事。2度なら偶然。3度となると敵の行為だ」

    運に関する一番古い記憶 幼い頃6歳か7歳 横断歩道で車が急停止→プライドと自信を傷つけられただけで済んで私はラッキーそのものとしか言いようがない。兄への最初の言葉はお願い。それを理解して聞き入れてくれた。「ママには言わないでね」

    ポワソン分布 偶然だけによって時折通常より多い結果が出るような現象→ポワソン・クランピング(ただの一時的上昇)

    ビギナーズラック、2年目のジンクス、一発屋、コーヒー一杯(コーヒー一杯を飲むほどの時間しか成功が続かない人のこと)

    世論調査 大きなサンプルよりも偏りがないサンプルの方が重要である
    トランプ当選前の調査→バイアスのかかった観測→誤差が生じる

    ラッキーな諺 後で悔やむより安全策Better safe than sorry.→誤り(飛行機での死亡事故ありえない)
    幸運は勇者に味方するFortune favors bold.→場合により
    悪い事は三度くるBad things come in threes.→誤り・バイアスのかかった観測
    適切な薬を処方すれば風邪は7日で治るが放っておくと治るまで1週間かかるWith proper medication you can cure a cold in seven days, but left to its own devices, it takes a week.→正しい

    寝ている子供の突然死・2人連続→親が殺人と疑われて逮捕・裁判で小児科医が確率を証言→王立統計学会が統計学的に無効と意見表明 誤解を招きやすい統計は本当に危険

    星占い・占星術師 ネイチャーが調査→統計的に当てずっぽうと完全に一致した
    占い師が言う誕生日と向いている職業を調査→魚座は看護師に適切の星座だ!→統計学的に間違い

    詐欺師の手口→特大の的を作り上げる(誰にでも該当するが言われた人はダマされる)

    双子の結びつき、生き別れた兄弟と再会…→ほとんどはバイアスのかかった観測 下手な鉄砲も数うち当たる状態

    霊能力捜査 CIAの最終報告で「情報収集に透視の使用を継続する正当な根拠は無い」→信頼を失った今ではほとんど視界から消えている。

    Knock on wood 英語圏の人が不幸を避けたり幸運が逃げるのを避けたりするため、木製品を軽く叩きながら唱える言葉

  • “これって奇跡だ!”とか“偶然とは思えない!”という世の中に起きている、由無し事は、タイトルが示す通りですよ、という内容が、ほぼずーっと続く本。
    ファンタジー、陰謀論、幽霊、奇跡を信じている人は、きっとこの本に書いてあることを説明しても理解はしてくれないでしょう。
    そういう人とは、仲良くはなれない自分であることは重々承知しているものの、ついつい説得しようとムキになり、最終的に、あーこの人はア〇なんや、と思って諦めるような人に向いている本です。

    統計学って、どんな学問?って人に聞かれた時(まあ、そんなにないでしょうけど)、本書のように、「単純で重要な疑問、すなわり、"それはただの運なのか"、という疑問についての学問」と答えるようにしようと思います。

    この本を読めば、運が他の人々にどんな影響を与えているかの例があるので、ア〇だと諦めたり、ムキに説得しようとしたりせず、彼らの話や主張をなるべく客観的に評価でき、何が正しくて、なぜそうなるかを突き止められたりできるようになる、、、なるかもしれません。

    ちょっと気になったフレーズ。
    (とてつもない不運が起きた話題があり、その最後で)
    私は「静穏の祈り」と、その運バージョンが頭に浮かんだ。「自分にはコントロールできない運を受け入れよ」。まさにその通りだ。あるいは、受け入れないにしても、せめて、ありのままに認めよう。それは、冷たく、馬鹿げていて、無意味で、無慈悲な、ただの運なのだ、と。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00288783

  • 「滅多に起こらないように思える出来事」が、多くの場合、確率論や統計的な誤謬に基づくと言うことを手を替え品を替え説明する。内容的にはよくある類の本と言える。

    ただ、本書はとにかく具体的な事例が多く、中には筆者の個人的な体験なども描かれる。そのため、はっきり言って本書の7割はこうした「滅多に起こらないように思える出来事(ただし単なる誤謬)」の列記といっても良い内容。正直、じゃあこれをどのように解釈すればいいのか? の話については散漫になっている感も否めない。かっちりしたスタイルが好きな方はイライラするかもしれません。

    一方で、「ああそういえばこういう勘違いはあるあるだよね」とか「自分にも身に覚えがあるから気をつけなくては…」と、読み物として読む分には楽しめるかなと思います。それにしても400ページもこれに割くかという気もしますが…。

  • 偶然を何かの因果関係と勘違いしている、よくある事象について多くの実例を示して、単なる偶然であることを説明している。p値が何かの解説もなく、それでなぜ偶然とそうでないものを見分けられるのか、自分で調べるしかない。これで偶然だと言われても説得力に欠けるように感じる。
    このまま説明で納得する人は、幸運や運命などを信じていない人だろう。

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/875905

    ひなたやまにもあります。

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