三体 III 死神永生 (下)

  • 早川書房 (2021年5月25日発売)
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  • 本 ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152100214

感想・レビュー・書評

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  • 「三体III 死神永生」、三部作の最終章。

    えげつない作品だった。後半に至っては半分以上理解不能で何を読んでいるのかすら理解と想像が全然ついてこない。
    まず自分の読んでいる時間軸が壊れてしまったかのような感覚に襲われるほど頁が進まない。
    そして頭の中が異次元展開されたかのような大混乱になりながらもなんとか読み終えた。二次元の文庫本の中の文字が文字化けしその文字に二次元攻撃されているのか?と思わされるかのようだった。

    この作品は全体を通して難しさが際立っており、かなりの宇宙科学、物理科学、宇宙集合論の知識力を求められる難解さを持ち合わせている。自分にはほぼ理解できなかったのでこの作品の持つ真の面白さの半分も味わえていないのでは?と思いながらの読書となってしまった。

    それでも最後まで読めたのはやはりこの作品の壮大なスケール感と登場人物達の人間臭さが魅了するからだと感じる。
    三作品通して凄い頁量で物凄く長いのだが、読み終わって最終的な感想としては読み終わってしまったという空虚感と読み終えた満足感がせめぎあっている。

    宇宙が次元攻撃されたものならば今なお膨大に膨れ続ける宇宙の意味もなんとなく理解できる。凄く面白い発想だ。高次元から三次元展開されている途中ということなのだろう?そう考えると膨れ続けている様に感じざるをえない。
    しかし読めば読むほど考えれば考えるほど「次元」ってもの自体が訳がわからなくなってくる。

    この最終章に限っては地球ベースでの宇宙として物語を読んでしまうと大変な事になってしまい、途中からは宇宙ベースでの物語として読み進めていたら、更なる宇宙が出現しだしてどう読んでいけばいいのかもわからなくなってしまった。壮大さが膨大で無限すぎる、時間や速度も概念としてあるだけでここまでいくともうどうでもいいものに感じられる。

    上巻で気になっていた「時の外の過去」という描写。まさか時の外の世界で程心が書き残していたものだったとは...
    そしてなるほど「死神永生」とはお見事。
    程心のその存在をそう準えているとは素晴らしくセンスが良い。
    しかしこんな展開予想できる訳もないし、正直種明かしが壮大すぎて、過去も過去すぎるし時間の過ぎ方が莫大すぎ。
    そもそも一番最初の「三体」から始まり、三体文明と地球人の攻防が描かれていくものだと思っていたのだから。
    これはスケールというより頭脳の違いだと感じる。作者の頭脳という宇宙をみせられらた。
    この作品を描いた作者、どんな頭脳してるのか?良い意味も悪い意味も含めて天才すぎてついていけない。
    そしてこの作品をしっかりと理解して読まれた方もまた凄い頭脳の持ち主だと思う。

    今までの自分の読書体験の中でも最上級にハードな作品だった。この作品こそ自分にとって一番近い宇宙文明だったのでは?と感じている。
    今の地球の時間軸が一番自分にはあっているし、その中で生活していたいとつくづく思わされた。

  • 【読もうと思った理由】
    元々ミステリーを中心に小説を紹介しているYouTuberさんが、ほぼ全員絶賛していたので、文庫化になったら購入しようと思っていた。ここ数ヶ月で知ったことだが、図書館で予約していたら、文庫化されるよりも早く読めることを知り、読むに至る。

    【作者 劉慈欣(りゅう・じきん/リウ・ツーシン)について】
    山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短編を執筆。「三体」が、2006年から中国のSF雑誌《科幻世界》に連載され、2008年に単行本として刊行されると人気が爆発。「三体」三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は、全世界で2,900万部以上を売り上げた。中国のみならず世界的にも評価され、2015年にはアジア人初のヒューゴー賞を受賞。日本でも2019年の発売後、シリーズ累計47万部突破。

    【ヒューゴー賞ってどんな賞?】
    ヒューゴー賞(The Hugo Awards)は1953年に創設された世界で最も権威のあるSF賞で、前年度に英語で発表された作品や活動が対象になり、アメリカで主催される賞である。

    【あらすじ】
    物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

    【感想】
    正直に言うと、全5冊のうち、5冊目の後半までは、長すぎるので、退屈に感じるところも多々あり、中々読むスピードが上がらなかった。だが最終巻の残り100ページからの作品の出来があまりに素晴らしく、今年読んだ小説の中で、読んで良かった小説としては現在トップである。それほどラスト100ページが引き込まれるし、感動的だ。

    読了後、ブグログで皆さんの三体の感想アップ数を見てみると、シリーズ1冊目の感想をアップした人の数と最終巻のアップした人の人数を比較すると、1/4程に減っていたので、約75%の人が最終巻の最後の結末まで辿り着かずに、読了を諦めた人なのかなぁと。
    正直、凄くもったいないなぁと思ってしまう。なぜなら僕も、途中で投げ出してしまおうかなと一瞬思ってしまったからだ。
    だが残りの100ページでそんな気持ちを払拭してくれるパワーと筆力があるのだから、僕の様に、特別SF好きでない方にも是非挑戦して頂きたい作品だ。
    注意点としては、5冊あるうちの1冊目が、物理用語や中国の歴史や中国の人名など、普段あまり触れない用語が多数出てくるので、そこで読むのを諦めてしまう方が多いのかなぁと。
    2冊目からは、作者もインタビューで言っていたが、SFファン以外でも楽しめる様に、かなり読みやすく工夫してくれたらしいので、ぜひぜひ最後まで読んでいただきたい。想像を超える感動するラストが待ってくれているから。
    ※内容を少しでも書くと、作品の性質上どうしてもネタバレを含んでしまうので、今回の感想はここまでにします。

    【雑感】
    傑作ではあったのだが、5冊もあると流石に疲れた。なので次は一冊で完結してくれている、2022年本屋大賞1位の『同志少女よ、敵を撃て』を読みます。

  • 分厚い本を6冊読んできて、最後がこういう終わり方とはなあ。宇宙が収縮して、またビックバンが起こるのを見届けるなんて、とんでもない。いろいろ提起されてきた問題が棚上げされちゃったよ。雲天明が提供した小宇宙って何?でっかい風船についたこぶみたいなもの?マルチユニバース?はっきり言って、この提供は生物体には無理でしょ。雲天明のおとぎ話はとても面白かったし、そのメタファーを考えるところは、ぐいぐい読ませるし、その後の人類の対処方法など興味深かったけどね。物理学には、詳しくないので、最後は結構理解が難しかったよ。

  • ようやく読み終わりました。。。
    結論、とても面白かったですが、よく分かりませんでした。
    すみません。

    シリーズ通して、とにかくスケールが大きいのが特徴的で、あっという間に100年経って、あっという間に宇宙にいたりします。
    難しいことは全く分かりませんが、根本には"三体"的な構造が常にあり、その中での情勢が描かれているというのがひとまずの理解です。
    作中では、現在の地球や我々よりも格段に発展した地球や人類や他生命体が登場しますが、最後まで読んで思ったことは、これらは自分の人生には全く影響しないということです。(関一帆が数億年前のことを心配するような描写がありましたが、そういう意味合いで、です。)
    とはいえ、考えずにいられないのもまた事実であり、それがSFの面白さなのかもしれません。

    智子が程心に言った、
    「あなたはいまもまだ、責任のために生きているんですね」
    が色んな意味で、自分にとって、とても印象的な言葉になりました。

  • 三体シリーズの完結編。
    壮大なストーリーだったけど、次元攻撃など少し難しさもあった。

    個人的には三体Ⅱ上〜三体Ⅲ上までの三体文明と人類の戦いが1番おもしろかった。
    三体ロスになっているので、三体Ⅰの前の世界を描く三体0も読んでみたい。

    長編小説やSF小説を読みたい方には三体はおすすめです!

  • ついに読み終わってしまいました。
    三体、三体Ⅱ、三体Ⅲ、と、これだけ長い話が、全く飽きさせず、予想の上をいく展開の連続で、人類はどうなるのか結末が気になって仕方なかったです。
    現代から話が始まったことも相まって、近い将来、本当に起こってもおかしくないと思えてきて、そこからは三体の世界にどっぷりでした。
    ページ数にビビらず、本当に読んで良かったです。三体ロスになりそう〜

  • kuma0504「三体が終わっちゃいましたね」

    SFファン「終わっちゃいましたね」

    kuma0504「どうでした?」

    SFファン「素晴らしかったです!ヒューゴー賞、星雲賞ダブル受賞は伊達じゃなかった」

    kuma0504「うん、素晴らしかった。重大なネタバレを避けながらあらすじ紹介するのは難しくて自信ないけどやってみます。
    文化大革命で人類に絶望した葉文潔が発信した信号のために、地球文明を遥かに凌駕した文明を持つ三体星人の艦隊が400年後に地球征服のためにやってくることが明らかになる。というのが第一部。
    相対する人類は地球連邦政府を作ってざまざまに対応するけど、ことごとく失敗する。羅輯が起死回生の手段で一旦成功するのが第二部。
    第三部では、成功して抑止紀元が(西暦に換算すると)2208年に始まるけど2270年に破綻、2年の混乱を経て人類の生き残りをかけた計画が始まる。ハン体紀元が2333年より。そして2400年に思いもかけない展開に。実はそこで終わらずに、暗黒領域紀元が1800万年という途方もない時間が続き、それでさえも終わらずに‥‥」

    SFファン「おゝなかなかストーリー紹介の匙加減が難しいですね。1800万年ですか‥‥」

    kuma0504「言いすぎたかな。でも、言っとくけど、400年後以降まで描いているからと言って、ハッピーエンドじゃないからですね」

    SFファン「いや、あれは悪いエンドじゃない気がする。むしろハッピーエンドでしょ」

    kuma0504「それは人によって違うでしょうけど、私はむしろバッドエンドだと思います‥‥」

    SFファン「訳者の大森望さんは小松左京「果てしなき流れの果てに」や光瀬龍「百億の昼と千億の夜」を引き合いに出していたけど、私も読んでいる間中、アレをもう一回読みたいと思いましたよ」

    kuma0504「三体というメインテーマがあるのにも関わらず、途中で三体星人はフェイドアウトしちゃうし、でも最後で少し出てくるんですけどね。それでも三体という星人は智子という魅力的な助演女優賞もののキャラを生んだのだからよしとすべき。彼女はほとんど映画「キルビル」キャラですよ。劉慈欣の凄いのはそういうオタク心をくすぐるキャラを所々配置していること。第三部では「風ともに去りぬ」も重要な台詞とともに出てきた」

    SFファン「主演女優賞はなんといっても程心です。彼女の咄嗟の2度に渡る選択が、人類をとんでもない運命に引き入れていくかのような物語になっている。とんでもない美女のようですし、映画化が楽しみです」

    kuma0504「映画化と言えば、コレは一体どういう映像になるんだろうかという場面が十数ページに一回はありますよね。(上)では、なんといっても水滴対地球連邦艦隊との無慈悲なまでの戦闘を、それでも映像で見てみたいし、(下)ではサッパリ分からなかった色々な物理現象を、「あゝそうだったのか!」と納得させて欲しい」

    SFファン「ふふ、君はホントに理系関係に疎いからね」

    kuma0504「ほとんどがそうだと思いますよ。でも理系関係なくて、おそらく哲学的問題で、しかも作品の根本部分で、私は納得いっていない点があるんです」

    SFファン「ああ、君が第二部から言っていたあの問題だね」

    kuma0504「いやいや、第二部で言ったのは、三体シリーズ全体が中国共産党(三体)と中国知識人たち(主人公)の歴史のメタファーなんじゃないか、という仮説なんですが、全体が共産党批判になっていないからこそ劉慈欣は現在中国のあらゆる公開の場所で自由に動けているようだし、第三部では共産党批判の片鱗さえ見れず、かえって中華思想が所々見えたし(博愛思想も見えたけど)あの主張はとりあえず取り下げます。
    ‥‥そうではなくて、問題にしたいのは黒暗森林理論です。それこそ詳しく話すとネタバレに抵触するので難しいんですが、宇宙は実は手探りの暗黒森林みたいなもので、文明を持つ星は他の文明星を見つけ次第、自らが殺されないために相手を抹殺しないわけにはいかない。よって、自分の星の座標を相手に知られることは、自殺行為である、ということです。話し合いは話し合いが可能な距離にあるから可能なのであって宇宙はそうではない。という理論です。つまり宇宙弱肉強食本能論ですね」

    SFファン「ホモサピエンスは弱肉強食本能は持っていない、と主張している君には肯定し難い理論だろうね」

    kuma0504「いや、本能を持っていないゴリラだって、相手のゴリラを殺す場合があるんです。本能というのは違うかも知れない。暗闇で相手が武器を持っていて、交渉出来ない場合は、殺し合わざるを得ない、特に相手の武器が進歩しない間に先制攻撃しないと自分が必ず殺されるという理論なんです。そこまで未来予測ができるのならば、私は先制攻撃よりももっと他の手段があるように思うんです。ここに出ている暗黒領域防衛もそうなんですが、もっと効果的な防衛手段もあるはずなんです。「銀河英雄伝説」に出てくるイゼルローン回廊は、そこだけがある星域に行くための関所になっているのですが、あれは自然にできた回廊だったのですが、それを人工的に作るとか‥‥」

    SFファン「おっと、ここで銀英伝が出てくるのか。確かに、今までの理論をどんどん覆してゆくのが、この本の魅力だったのだから、その理論を覆すことも可能かもしれないね。いやあ、もっといろんな人とネタバレありで語り合いたくなる作品だったね」

    kuma0504「作品に刺激されたトリビュート版も近々刊行されるようだけど、完結した以上、全てを図入りで解説して、完全年表も作成したムックを先に出して欲しい。それを叩き台に私のような無知なもんでも十分語り合えるようにしてもらいたいと思います。お願いします、早川書房さん!」

  • 最高に面白い「三体 死神永生 」だった。
    とにかくアイデアが豊富で宇宙に関する疑問に、あり得るかもしれない答えを提示してくれた。裏付けする物理知識も交え、納得しながらいつのまにか完読。
    宇宙の終わりを冷えた膨張か、ビッグクランチかそれを決める判断に人間が絡む最後はすごい、すごいと拍手喝采!
    こうなるとXも0も読まないわけにはいかない。

  • ようやく読み終えました。
    おそらく、内容は半分しか理解してないと思います。
    物理学の視点から観ると興味がそそられますが、
    小説の視点では????

    個人的にはもっと理解したいので、もう一度読んでみたいです。

  • おとぎ話から始まり、最後は壮大な結末へ。

    この作品を読むのはほんとに
    かなりのパワーが必要で、
    でも途中で読むのをやめてしまおうとは思えない
    不思議な魅力があった。
    最後まで読んで良かった、と改めて思う。

    初期に出て来た、好きだったキャラクターは
    出てこないまま終わったけど…
    所々で、はてな?な部分もあったけど…
    それを超えるスケールの大きな出来事や事件が
    圧倒的に勝っていた。
    映像化されてるとのことだけど、
    どんなふうなのか、興味津々。

    次に気になってるのが
    「プロジェクトヘイルメアリー」なんだけど、
    どうしようかな。
    このままSF続けてみようか??

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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