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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784152100269
作品紹介・あらすじ
SFを通じて未来をプロトタイプし、そこからの逆算=バックキャストで製品開発や組織変革の突破口を開く――SFプロトタイピングと呼ばれる手法がいま、ビジネス界で熱い注目を浴びている。主要な面々による座談会+論考でその最前線に迫る、本邦初の入門書
感想・レビュー・書評
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「SFプロトタイピング」という新しい概念を知って、
何冊か本を買ってみました。これはその1冊目。
SFプロトタイピングが何?ということに対して、
自分なりに明確に定義付けができていないのですが、
この本を通じて何となくやろうとしていることを理解することはできます。
まだまだ出来上がったばかりの概念なので、
やり方・手法は厳密に定義されていない様子です。
ゆえに、読者側もこの本を読んでも、少しふわふわした感じで終わるかもしれません。
本の構成は、6割くらいがSFプロトタイピングを実践されている方の対談で構成されているのですが、
若干自分には無理やりSFプロトタイピングのカテゴリーに収めている感が拭えませんでした。
しかしながら、SFプロトタイピングの概念自体はとても興味深く、
こういった新しい概念を普及させる際には必要なステージなのかなとも思います。
今後は、デザイン思考をIDEOが上手にマーケティングして広めたように、
SFプロトタイピングも同じようにマーケティングできるかどうかが、
今後普及するか、すたれていくのかの分岐点になるかと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SFプロトタイピングがわかるというか、良い意味でわかった気になる本。今の時点ではSFプロトタイピングがまだまだ概念や方法論として固まったものでなく、自由度の高いもののように思える。本書をもとに、エクストリームなSFプロトタイピングのあり方を考えてみたくなる。読むべし。
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2024.11.30 これは面白い考え方。実践法などはこの本ではよくわからないがコンセプトはよくわかる。これからさらに深めたい。
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バックキャストの方法の一つと理解したけど、合っているのか、、
SFを使ってアウトプットをまとめるのは、ちょっと面倒かなと思ってしまった -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1294077 -
これ、やろう!
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現在からの延長で未来を考える「フォアキャスティング」手法が一般的であるのに対して、本書で紹介されているSFプロトタイピングと呼ばれる手法は、未来を「バックキャスティング」で考えます。そこではロジックよりも想像力、創造力が求められることになります。たとえば「いまから100年後には機械を通じて動物と人間がコミュニケーションしている」と想定します。そして、ではそのような世の中になるためには50年後にはどのくらいのことができているだろうか、どんな議論を皆が重ねてどんな技術が開発されているのだろうかと想像するような手法ということになります。
本書ではビジネスへの適用についても述べられていますが、特に大企業においてSFプロトタイピングで考えた施策を実行することは、経営陣の相当のコミットメントもしくは経営者の強い思いが伴っていないとかなりハードルが高いと思います。未来は予測するものではなく創造するものだ、といわれますが、SFプロトタイピングを大企業の人がする前に、そもそもその会社のミッション、ビジョン、バリューが相当強力かつ粘着力のあるものでないとほとんど効果はないのではないでしょうか。
本書は対談をベースにした本ですので、SFプロトタイピングの教科書的な本ではありません。書かれていることもあまり印象には残っていませんが、読み終わった後の感想を一言で言うなら、「これまで以上にSF小説もしくはファンタジー小説を(古典も含めて)意識的に読んでみよう」という気分になったということでしょうか。鈍った想像力を鍛えたいと思います。 -
SF作家を私は知らない。けど村田沙耶香さんならわかるし『消滅世界』は読んでみたい
いくつもある未来から意思ある未来を選んで描き出すSFプロトタイピング。多様な人たちと創りあげていく過程に意味があり、そのモデレーターが肝になる
その素養がある人は罰に対する反応性が弱い、という指摘に驚きつつも納得 -
近年、(主に米国の)先端産業の経営者がSF作品のファンであることにも起因して、SFというジャンルが注目されているようだ。
そこで、SFを積極的に経営に活かしていこう、というムーブメントが生まれ、これがSFプロトタイピングとして市民権を得たものであろうと思う。
「ドラえもん」、星新一から始まり、フランク・ハーバート、アイザック・アシモフ、神林長平、ウィリアム・ギブスン、士郎正宗、ダン・シモンズ、伊藤計劃などを濫読してきた身としては喜ばしいことだ。
実は私が1990年代に所属していたSFコミュニティでは、「SFの終わり」が語られていた。
もはや現実がSFに追いついたというのである。
もちろん、現実がSFの中のテクノロジィが全て現実のものとなったというわけではなく、SFが描く未来像が輝かしいものではなくなり、世紀末的な終末観と相まって、「テクノロジィがこれ以上進化しても、先が見えている」といった気分を生み出していたのだろう。
要は、「未来の終わり」(宮台真司風にいえば「終わりなき日常」)のような雰囲気が、当時のSF界隈には漂っていたのである。
私見では、当時のSFも時代の気分とは無関係ではなく、見通しの暗い未来を前に「パンク」するしかなかったのかと思う(実は、私はスチームパンク作品も好物であり、中でもティム・パワーズはファンダジィ作品も含めてお気に入りだった。)。
しかし、現在、SFプロトタイピングが注目されている事実は、むしろ現実がSFに近付いたこと(あるいはSFが現実に近付いたこと)が、SFに新しい意義を与えたことを意味するのではないかと、本書に気が付かされた。
柄にもなくSF語りをしてしまったが、このレビューをもって、こうしたことを考えさせてくれた本書への感謝に代えさせていただく。 -
2023.01.20 社内読書部で紹介を受ける。
宮本道人の作品





