- 早川書房 (2021年7月1日発売)
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感想 : 12件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784152100344
作品紹介・あらすじ
20世紀初頭のパリ。少女シルヴィーは、厳格なブルジョワ家庭で育ちながらも自由を求めて反抗して生きる、ある少女と出会った。たがいに強く惹かれ合う二人の友愛は、永遠に続くはずだった――。1954年に執筆されるも、発表される事のなかった幻の小説を刊行。
感想・レビュー・書評
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私なら絶対に選ばない作品だが、フォローしてる方からの推薦で読んだ。結果、読んで良かったと思える作品だった。舞台は今から百年前のパリ、9才のシルヴィーがアンドレと会う所から物語は始まる。教会を中心とする封建的な社会の中で、慣習を恐れず常に自分を失わないアンドレが、私には眩しい。
ボーヴォワールが親友に捧げた小説を彼女の養女が発表したもの。無機質なイメージのボーヴォワールの若き日の一面が垣間見れた様だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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ボーヴォワールの「原点」自伝的小説 なぜ仏で66年間も未発表? | 毎日新聞(有料記事)
https://mainichi.jp/artic...ボーヴォワールの「原点」自伝的小説 なぜ仏で66年間も未発表? | 毎日新聞(有料記事)
https://mainichi.jp/articles/20210917/k00/00m/030/107000c2021/09/18 -
【書評】早熟な知性と感受性を持つ少女たちの輝かしい日々 ~『離れがたき二人』 【書評】『離れがたき二人』著◎シモーヌ・ド・ボーヴォワール 訳...【書評】早熟な知性と感受性を持つ少女たちの輝かしい日々 ~『離れがたき二人』 【書評】『離れがたき二人』著◎シモーヌ・ド・ボーヴォワール 訳◎関口涼子|教養|婦人公論.jp
https://fujinkoron.jp/articles/-/4717?display=full
シモーヌ・ド・ボーヴォワール『離れがたき二人』 旧弊に押し潰された親友の面影 |好書好日
https://book.asahi.com/article/144343792023/03/06 -
村田京子のホームページ – ボーヴォワールの講演会
http://sand200balzac.sakura.ne.jp/archives/...村田京子のホームページ – ボーヴォワールの講演会
http://sand200balzac.sakura.ne.jp/archives/48702023/03/06
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特別な人と出会い、別れた実体験をもとに書かれた小説。
読み終えて、ぽっかりとした寂しさが残る。
輝いていたアンドレの光がどんどんと消えていく様が苦しい。
家族や宗教、因習に縛られて押し潰された少女。
モデルとなったザザが、ボーヴォワールがフェミニズムに目覚めるきっかけの一つだったというのもよくわかる。
文章も美しく、時を経て発表されたことを嬉しく思う。 -
サヴァブッククラブで選書いただいた作品。
自分では出会えなかったであろう一冊であり、出会えなかったら後悔したであろう一冊。
半世紀以上の時を経て刊行されたふたりの物語に圧倒される。
解説にもある通り、古臭いのは書かれている時代であって、描かれた友愛は決して古くなくむしろ普遍だ。
アンドレはどうしたって死に向かってしまい、シルヴィーのほうが自由なのに彼女は彼女でアンドレに向かって見返りを求めない愛を注いでしまう。
生まれる時代が違ったなら、ふたりはきっと思うままに生きられたのに。
彼女たちがのような人がいつの時代もいたからこそ、こうして現代に繋がっているのかもしれない。
2021年に生きるわたしたちは、2100年に生きる彼女たちのために、住みやすい世界を残してあげなければ。
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「二度同じ形では見ることのないものを愛しなさい」
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表紙の写真、著者のシモーヌと離れがたき友であったザザ。二人の関係をモチーフに、ザザをアンドレとして蘇らせて描いたフィクション。
ですます調の控えめな文体でありながら激情的なのが良い。素敵な翻訳文だと思いました。
罪の意識とそれに対する恐れは自分を手放させ、そうできなかった人を破壊してしまうのだろう。抑圧は因習となってその「良識」の内に押し込もうとする。 -
シモーヌ自身にとってもパートナーであったサルトルにとってもこの小説はあまり良い評価を得なかった。だが、親友であるザザを若死により失ったシモーヌは今作とは別でも文学的恩恵によって何度も彼女を蘇らせようと試みている。そして養女によるあとがきを読んで今作は価値があったと確信した。
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ザザの死因はなんだったのでしょうか。
科学的かつ客観的に見ればウイルス性脳炎でしょう。しかし、それ以前に遡る運命的な連鎖があり、その網が彼女の存在そのものを捕え、最終的には衰弱させ、疲れさせ、絶望させ、狂気と死に至らしめたのではないでしょうか。シモーヌドボーヴォワールはこう答えています。ザザは特別な存在であったために死んだのだと。人々が彼女を殺したのであり、彼女の死は精神主義的な犯罪だと。
シモーヌドボーヴォワールの養女 -
お互いがお互いを補完する関係。鋭くとがった年代にしか味わえない苦しさ
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ボーヴォワールの未発表小説。実体験をもとに綴られた作品。作者の死後に出版される作品は、読者にとっては喜ばしいかもしれないが作者はどう感じるのだろうか、といつも考えてしまう。
著者プロフィール
シモーヌ・ド・ボーヴォワールの作品
