スター・シェイカー

  • 早川書房 (2022年1月19日発売)
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本 ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784152100771

作品紹介・あらすじ

人類がテレポート能力に目覚めた近未来。事故で能力を失った赤川勇虎は、違法テレポートによる麻薬密売組織から逃亡した少女ナクサと出会う。逃亡の果て超越的な能力に目覚めた勇虎はこの宇宙の根幹に関わる秘密を知り……緊迫のハイパーインフレ瞬間移動SF

感想・レビュー・書評

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  • 人類が "テレポート" 能力に目覚め、距離を克服した近未来のお話。このテレポート能力、実は危険を孕んでいて、〈相対崩壊〉なる現象のカウントダウンが始まっていた。人類のテレポート能力を封じ込めようと〈炭なる月〉という秘密組織が暗躍していて、主人公・赤川勇虎は、〈炭の月〉から逃亡中の少女ナクサを助けたことから、トラブルに巻き込まれる。

    荒削りというか乱暴というか、キチンと描かれていない部分が多くて、とっちらかっている。なので作品世界にあまり引き込まれない。まいっか、と割り切りながら読み進めるしかなかった。テレポート能力の魔力的な魅力と危険性、という着想は面白いと思ったし、ロードピープルの設定など結構笑えたけどな。完成度の低い残念な作品だった。

  • 2022年1月早川書房刊。第9回(2021年)ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。巻末の4人の選評にあるように小説としての程を成していない作品。出版社の意向のようですが、商用出版としては随分と思いきった対応で驚きです。非凡なアイデアですが、この世界観は、評価できませんでした。残念。

  • 近未来は本当に良いですね。
    人間が想像出来るギリギリが描かれる、一種のスリルを体感できる。
    今回はそれが"テレポート"で、頭の悪い私にもなんとかわかるように、作中で物理学等を細かく説明してくれて読みやすかったです。
    主人公の場面によって変わる態度やセリフが、時折寒いなと思う事もありましたが、まだ若いと聞きましたので、今後の作品でそういった部分が研ぎ澄まされて行くのかと思うと、ずっと作者の作品を読んでいきたいと思います。

  • 普段全くSFモノは読まないが、表紙に魅かれて衝動買い。一気に読み切った。
    しかしこの作品、ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作にも関わらず選評ではかなりこき下ろされているのである。物理好きが熱量だけで書いた感があるからだろうか…(笑)人物の心理描写を想像で補って読んでしまう自分には結構すんなり受け入れられる流れだったなぁ、、というか自分の頭の中で流れる文章と似ているから読みやすかったのかもしれない。
    個人的にはSFというよりほぼファンタジーとして楽しかった。

    何より、映像化してみてほしい!
    物理など毛頭分からない自分には設定の粗さが分からないが、marvelのような世界観に心躍ってしまった。marvelだってトンデモ設定だしね。

    ただ一つ、表紙の男がとても勇虎だとは思えないんだけど…こんな華奢なイメージで読んでなかったからなんだか違和感。

  • 全体的に台詞回しに違和感があり、なかなか入り込めなかった(ラノベしか読んでこなかった人が小説を書くとこんな感じになりそう)。構成がガタガタで、短編をつなげて無理やり長編にしたような印象。登場人物の魅力も弱い。ただ、中盤のラジの言葉にははっとしたし(地球の見方が変わった)、後半のSF的なスケールの大きさは好き。ポテンシャルはあると思うので、次回作に期待。


  • 運送会社に勤める主人公『イサトラ』はある日“道路”を“徒歩”で移動中、麻薬組織に追われる稀有なテレポーター『ナクサ』に出会う
    彼女を見捨てられず助けるうち熾烈な闘いに巻き込まれてゆく近未来サイキックバトルSF

    2029年、潜在能力『テレポート』を顕在化した人類は瞬く間にインフラを整備し『移動時間ゼロ』の社会を確立
    一方、国土廃棄物と化した高架道路に住まう人々など新しい世界観に魅せられる作品です

    ロードピープルの初対面の挨拶が気に入りました
    私の好きな車はRX-7

  • ほとんどの人類がテレポート能力を持っていることが発見され、主たる交通手段となった世界。
    事故によってテレポート能力を失った青年が、麻薬密売組織から逃げ出した異能のテレポート能力をもった少女と出会う。
    そんなスタートから風呂敷が無限大にがんがん広がっていって、主人公は現実世界ではないもうひとつの世界「空」にテレポートし、最終的には物理のすべての定数が逆転し、20万人の人間爆弾が自爆し…青年と少女は地球から太陽を挟んだ二億九千九百二十万キロの彼方で再会する。
    ムッハー!とデカい話。
    ハヤカワSFコンテスト久々の大賞受賞作だけど、選評で選考委員がみんなして今作の文体やら構成やらをこき下ろしているのが笑える。

  • 途中までは所々些細なひっかかりが気になったりしてたが、だんだん加速度的に引き込まれて力業で読了させられた感じ。面白かった!
    最初はフツーの男の子が試練を乗り越え…とよくある話といえなくもない。だが、その試練がバラエティーに富んでいて、巻末の選評にすごく納得した。
    確かにロードピープルのスピンオフなんてあったら面白そう。
    絶対的悪なんてあり得ない。皆が自分の是と思うものにしたがって行動している。そのぶつかり合い。マフラーのように俯瞰した第三者目線で見続けることは実際はとても難しいことだろう。だから憧れる。格好いい。

  • テレポートによる作用設定や世界観が面白い
    ギャラクシー敵大風呂敷なのに引張強度が高く吸い込まれるように読んでしまった
    断面の切り替えのよさというか未練がないというか、ズルズルしない面、そこは?みたいなツッコミもあるけど
    章を追うごとに変化する主人公キャラは、テレポートでの前頭葉摩耗または活性化、戦闘能力アップなどによるものだと、多少いいように解釈する

  • 移動手段はワープボックス(WB)と呼ばれる瞬間移動のようなものを使って行き来する近未来。
    WBを使って宅配していた勇虎は、ある出来事がきっかけでPTSDにかかり、WBのない生活を送っていた。
    そんな時、ナクサという少女に出会ったことから、全てが一変した。ナクサは、ある組織に追われていた。一緒に逃亡していくうちに勇虎は、いつしかテレポート能力が目覚めていった。ナクサはどんな少女なのか?


    第9回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。

    ザ・SFを読んだような世界観やアクションを味わえました。移動手段がWBということで、ふっと頭に浮かんだのがドラクエに出てくる「旅の扉」でした。それに似た存在が蔓延る近未来。それにつれて不要になった高速道路。考えてみれば、ありそうな設定だなと思いました。

    今までは、便利だと思っていた「テレポート」が、まさかこう変化するとは…。免許制のテレポートなど「近未来」の着想が面白く、大いに楽しめました。

    ただ科学的、特に物理学的の分野ですが、なかなか読み解くのに難しい部分もあって、世界観を紐解くのに苦労しました。さらに主人公の勇虎ですが、読み進むにつれ、性格が変わっていく印象があり、どちらかというとアニメのような存在かなと思いました。

    そう考えると、優秀賞の「サーキット・スイッチャー」の方が、より現実的で、個人的にはこちらの方が好きでした。
    ただ、より近未来、よりSFを味わい方には、この作品が好まれるかと思います。

    勇虎が体験する、仲間意識や誰かを守りたい気持ちが段々と芽生えていき、一層組織との戦いに味付けをしてくれます。

    久しぶりにSFの王道を走っているような世界観を味わうことができました。

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著者プロフィール

愛知県名古屋市生まれ、私立東海高校卒。13年に急性リンパ性白血病を罹患し、14年にさい帯血移植。18年日本大学芸術学部に進学、21年現在在学中。2021年8月に第9回ハヤカワSFコンテストで大賞を『スター・シェイカー』で、10月に第28回電撃小説大賞・メディアワークス文庫賞を『きみは雪を見ることができない』で立て続けに受賞し、作家デビューを叶える。

「2022年 『永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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