フェイスブックの失墜

  • 早川書房 (2022年3月3日発売)
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本 ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784152100948

作品紹介・あらすじ

フェイスブックはなぜ個人情報を流出させたり、フェイクニュースを拡散させたりしてしまったのか。また創業者ザッカーバーグとCOOのサンドバーグとの間には、どのような溝があったのか。関係者400人以上の証言をもとに、シリコンバレー最大のIT企業の闇を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。

    「悪いのは殺人犯で、包丁を作った人は悪くない」というロジックと同じく、「悪いのはFacebookではなく、そこにフェイクニュースを投稿する人では?」と思っていたが、そんな単純なものではないと分かった。
    Facebookのアルゴリズムによって、センセーショナルなフェイクニュースが優先的に表示され、加速度的に拡散されていく。札束の暴力で、ファクトチェックの入っていない政治広告が大量に表示される。Facebookの仕組みが悪用され、間違った情報をユーザーは信じ扇動される。まるで新しい時代のプロパガンダで、民主主義社会の大きな脅威だ。

    前半はザッカーバーグの天才的な発明(特にニュースフィードといいね!ボタン)によるFacebookの成長が描かれ、また、サンドバーグと意気投合した時の様子など微笑ましい場面が描かれている。
    しかし、徐々にプライバシー侵害、ヘイトやフェイクニュース対応等で若き天才が追い詰められていく。「表現の自由は何よりも守られるべき」と主張するザッカーバーグの世界観は驚くほどシンプルで、問題の本質を理解できておらず、未熟な判断をくだしていく姿は何だか切ない。もはや問題は彼一人で判断できる規模ではなくなっていて、思考停止してしまう気持ちも分からないでもないが、社会に払わせた代償はあまりに大きい。また、世の中の役に立たない投稿ほどユーザーは興味を持ち、結果として利益を生み出すというジレンマを解決するのは簡単ではないだろう。

    個人としてインターネット時代のメディアリテラシーを高める意味でも、実際アメリカのFacebookで何が起こったか知っておくことは非常に重要だと思った。

  • 今読んでみると、ロシアのアメリカ大統領選挙への介入だとか、他国の首相はほとんど登場しないのにウクライナのゼレンスキー大統領の名前が出てきたりと、今現在に繋がる何かがありそう。偽情報の氾濫が世界に及ぼす影響は、今後更に深刻になるでしょう。ある意味情報の暴走を止められなくなったのはシンギュラリティの一端なのかも。
    本としてはかなり読みづらい。

  • ザッカーバーグはメディアでも取り上げられていますが、サンドバーグがFacebook隆盛に果たした役割、そして凋落が知れてよかったです。
    主役はザッカーバーグよりサンドバーグと感じます。その彼女も2022年にサンドバーグはFacebookとたもとを分かつことになりました。その背景を興味深く書かれていると思います。
    また個人情報の取り扱いについての恐怖を感じた作品でもあります。

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