鈴波アミを待っています

  • 早川書房 (2022年3月16日発売)
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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784152100962

作品紹介・あらすじ

「鈴波アミ」というVtuberがデビュー1周年を迎えた夜。しかし、待望の配信は始まらなかった。鈴波アミは突如失踪してしまったのだ。視聴者たちは彼女の復帰を信じ、1年間の配信アーカイブを同時視聴して待ち続けるが……ネット文化が生んだ感動のストーリー

感想・レビュー・書評

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  • Vtuber、あるいはメタバースをテーマにした小説。
    ヒロインは個人勢であるが、だからこその問題点なども描かれている。
    そしてそれが、本作の基軸にもなっている。

    描かれるあれこれは、良い面も悪い面も、界隈を如実に再現しており、リアリティが感じられた。
    特に、視聴者コメントの再現度はとても高く、親近感を抱いた。

    一方、そうしたリアリティさ以外の部分は、想像の範囲内に収まるものが多い。
    よって意外性には乏しく、少々物足りなさを感じた。
    ラストシーンも早々に、セリフまで含めて、容易に想像が付いてしまった。

    しかし本書内で語られた、いつかVtuberやそれに準じたアバター的な存在は当たり前の世の中になるというビジョンには、共感と期待を抱けた。

  • 失踪したVtuberをめぐるバーチャルの熱狂が色濃く描かれておりました。
    とにかくタイトルの使い方に脱帽です。

    配信、イベントを通して、Vtuberの再生が描かれていく作品。
    ある種タブーなガジェットに触れつつも、名前や距離の描き方に好感を持ちました。丁寧にVtuberへのリスペクトを持ちながら扱っている印象です。

    Vtuberという存在の双方向性が単なる2つの関係ではなく、Vtuberを通してさらに広がっていくような展開はしっかりSF的な飛躍も感じて満足しました。素敵小説。

  • 推しのvtuberがある日失踪する……。
    3次元のアイドルとはまた違う、現代の、言ってしまえば流行りの偶像へのファンの様子がリアルで震える。

    発信サイド・クリエーターサイドでは無い消費者、悪く言えば消費豚にとっては、主人公の活躍に憧れてしまうう。こんな主人公になれない、自分というのに打ちひしがれるという側面もあると思う。ある程度、年齢を重ねた読者なら尚更。

    すごく感動的な一方、自分のリアルにふと目を落としたときに訪れる寂寥感が半端ない。

    また「vtuber」というものへの扱いが、今でも議論が巻き起こる中、ある意味「中の人」という側面をしっかり触れることになっているのは、嫌な人もいるかもしれません。

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