AI法廷のハッカー弁護士

  • 早川書房 (2022年5月24日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784152101389

作品紹介・あらすじ

近未来日本。複雑化していく訴訟社会にあって、最高裁判所鳴り物入りで導入されたAI裁判官が法廷を仕切るようになっていた。そんななかで不敗とされる弁護士は、実はハッキングによって勝訴を勝ち取る「魔法使い」で……? すぐそこに迫る新時代の法廷エンタメ

感想・レビュー・書評

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  • AIが裁判官をつとめる制度下でのクセ強弁護士の短編集。4話あって3話までは茶番、4話目でギアが上がる。

    ハッカー弁護士ということで、テクニカルな描写がまあまあ多いけど、どちらかというとAIの判断ロジックの穴を突くようなハックという印象。

    人間味を失い、過去の判決集だけから今の判決を導くとどうなるか、どう対処対策するのか、という視点が4話目で示されていて、4話目は熱かった。

  • 逆転裁判×リーガルハイのSF小説。裁判の公正を期すため裁判官をAIにして全ての判決を間違いなく導けるようになった近未来。主人公の機島雄弁はハッカー弁護士として勝訴をとってきた。しかしある事件での依頼人、軒下と出会うことで彼の道徳観は動かされていく、という内容。法廷の茶番劇感は逆転裁判みたく、雄弁はリーガルハイの古美門先生を彷彿とさせる。その時点でもうエンタメとしては面白すぎる。しかしの根本は何でもAI化してしまうことに対するアンチテーゼのようで逆に道徳観を問われる物語に思えた。ラストの法廷シーンは圧巻。

  • 説明し辛いのですがなぜか読みづらく感じました
    自分でもこの感覚は初めてなので上手く説明できません
    それでも主人公が爆弾で襲われた後半以降はスリリングで面白かったです

  • AI裁判官が導入され、今までの膨大な裁判記録や検証がシステムにより迅速かつスムーズに行われるようになり、
    裁判件数処理も比較的に増した世の中になった。
    無敗の弁護士・機島雄弁は、AI裁判制度のシステムのホールをついて、勝利を勝ち取ってきた弁護士。
    そんな彼が出くわす裁判の数々と、AIのマスターキーを追う話。

    SFにあまり親しみを持てない人には、なかなかにハードな物理科学のデータ検証、数値、説明。
    途中でそれらを理解するということを止めた途端に、読みやすくなった。
    実現しそうなAI裁判制度を一足先に覗き見た気分だ。
    主人公の機島は、性格がひん曲がっているが、意外とまぁ…あまり依頼はしたくないが見ている分には。笑

    AI裁判が導入されれば、データ認証過程を利用した頭脳犯も続々と生み出されそうな予感。

  • 第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞でデビューした著者の2作目。AIが裁判官を務める近未来を舞台にした法廷ミステリー。ハッカー弁護士といってもサーバーに不正ログインするわけではなくアルゴリズムの穴を突く(グーグルで検索上位に載せる方法やツイッターでバズる方法の文脈で使われる「ハックする」の意)のが主人公の法廷戦術。古沢良太『リーガルハイ』の古美門研介もしくは新川帆立『元彼の遺言状』の剣持麗子の系譜。登場人物みんなそのまま映像化できそうなくらいキャラが立っていて面白いwまた、著者の本職がデータサイエンティスト(AI技術者)ということもあってディテールにも隙が無い。いつだって脆弱性の本質は突き詰めれば小さいミスなのだ。確かにAI裁判官が導入された暁には、判決に至る過程の演算は自然言語で説明されないわけだからこういうバグを突いた戦い方は全然あり得そう。AIとプロ棋士の対決だって最初期はそうだったわけだから。

  • AI裁判官が導入された時代の法廷ミステリー。エンタメに振り切っているのが心地よい。AI黎明期の今読むのが一番面白い。5年後には荒唐無稽さが薄れてしまうかもしれない。
    アルゴリズムの穴をつくハッカー弁護士、機島雄弁(きしまゆうべん)。この友達になりたくないキャラクターが絶妙。ワトソン役で振り回される軒下君とのコンビは、また見たい。

  • エンターテイメント作品 連作短編集

    裁判に詳しくなくても気軽に読めます
    ラストの法廷は痛快でした

    まさか、現実には有り得ないでしょう?
    ですが、いつか現実化するかも知れません

    シリーズ化して欲しい

  • 面白かったー!
    機嶋先生の勝ち方が毎度見事で、まさにハッカー弁護士というかんじ。軒下君との凸凹バディな雰囲気も、陰鬱な裁判模様とのバランスが取れていて読みやすかった。オムニバス形式っぽくなっているのもありがたい。
    ただ独善的なだけのようで、機嶋先生なりの人間くさい人生哲学が現れる最終章は物語のカタルシス以上の感動をもらえた。自分が読むにはちょい長めの分量で読了まで手こずったが、最後まで読めて本当によかったと思える作品。

  • 知識集約型の職業はAIに取って代わられる、という。
    その観点からいけば、膨大な法律と判例を駆使して公正な判断をくだす裁判官はAI向き、とも考えられる。
    では実際にAIが裁判官となれば何が起こるのか、なぜAI時代に弁護士は身なりや振る舞いにこだわるのか、ハッカー弁護士とはどういう意味なのか、ということを、現代のAIの根幹である機械学習の特徴を踏まえつつ、裁判エンターテイメントに仕上げている。さらに正義の御旗を振る弁護士もの、というよりはコン・ゲームの味わいも含めつつの「逆転裁判」な展開が待ってるだけに、続きが気になって仕方ない。
    主人公の機島雄弁、依頼人の軒下、ハッカーの錦野、などなど登場人物たちのキャラクターも立ってるので、シリーズ化してほしい。

  • AI裁判官だと実際こういうことが起きるのかしら。とても興味深かった。

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