臼月トウコは援護りたい

  • 早川書房 (2022年6月22日発売)
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本 ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784152101457

作品紹介・あらすじ

二月の苫小牧。完全犯罪をもくろむ男が用意した完璧なはずのアリバイは、意外な人物によって崩される。人を【援護/まも】るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまう――史上最も不器用な「探偵」が活躍する、デビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く新感覚ミステリ

感想・レビュー・書評

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  • 2022年6月早川書房刊。書き下ろし。4つの連作短編で語られる4つの事件とそれを挟む序詞と結詞が付く。トウコさん面白くって楽しいです。です。どうして刑事の笠置がトウコさんに気づかないのかと不思議に思っていたのが、結詞で明らかに。なるほどそうなのか。驚きのトウコさんです。本作といい地べたを旅立つといい、そえださんって面白いお話を考えつくんだなと感心します。

  • 倒叙ミステリ短篇集。
    周到に証拠を隠滅し、アリバイを構築して犯罪を犯した犯人たち。しかし犯人が刑事と話しているときに「無実を証明できます」と横から口を出してくるトウコによって、皮肉にも窮地に追い込まれていくという話だった。
    トウコは職を転々としており、毎回別の職場に現れてその不器用さで犯人をイラッとさせるのだが、本人は純粋に犯人の無実を証明しようと懸命に刑事に訴えかけるところが笑える。実際にいたらウザいキャラだろうが面白かった。

  • Amazonの紹介より
    「あの娘さえ、余計なことを言い出さなければ──」気鋭のゲーム会社社長、ファミリーレストラン店長、ベテラン漫画家、そして探偵。彼らはみな、自分が犯した殺人の証拠を隠蔽するための完璧なアリバイを用意していた、はずだった。しかし最近雇ったばかりの女性、臼月トウコが余計な口を挟むと、犯人たちは窮地に追い込まれてゆき……。人を援護(まも)るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまう――史上最も不器用な「探偵」臼月トウコが活躍する、新感覚の倒叙ミステリ連作4篇。アガサ・クリスティー賞受賞のデビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く第2作


    前作のデビュー作で、掃除ロボが主人公という衝撃を受けたそえださん。次はどんな作品だろうと楽しみにしていましたが、今回はある意味、変化球的なミステリーにクスッと笑わせてくれました。

    犯人にとっては邪魔、警察にとっては救世主な人物、臼月。無実を証明するはずが、逆に犯人を追いつめていく展開はコミカルで面白かったです。

    展開としては、倒叙式になっていて、犯人はなんとなく確定なのですが、トリックといったものは提示されていません。刑事が徐々に追い詰めていくのですが、それを助けてくれるのが臼月さん。

    天然なのか、わざとなのか?
    名探偵コナンでいう、コナンが「あれれ?」を彷彿させるような解決への導き方が、毎回面白く、それに反応する犯人の対応も面白かったです。

    毎回同じ刑事なのにいつも会うのは初めてと言う臼月さん。
    最後で明らかになる正体は、明確ではなく、匂わすかのような表現だったので、すごい気になりました。

    果たして臼月さんは「人間」なのか?ドジな性格ながらも、愛嬌ある雰囲気に今までどんな人生を歩んできたのか気になりました。そ
    そもそも、なぜ臼月さんが採用できたのか?不思議なパワーなのか?運命に導かれたのか?

    色んな疑問は残るのですが、段々と窮地に追い込まれる犯人の心理描写が楽しめて、新感覚なミステリーでした。

  • あらすじや設定は凄く魅力的なんだけど、主人公の喋り方が不自然すぎてちょっと読み進めるのキツいかも…

  • 掃除機探偵に次ぐ本作も主人公のキャラがマサカのニッチモサッチモ系。道理でいつまでも毎回こんななわけね!謎にしないで(察しの良い人ならすぐ気がつくのかな‥?)傘子ならぬ毛糸の帽子‥‥!最初から教えてくれたらウザくなかったのにねーゴメンネ!北海道が舞台の倒叙系勧善懲悪現代版恩返し?ミステリー。ドラマ化されたら面白そう。

  • 犯人分かってる所から始まる(倒叙というんですね)古畑任三郎タイプの短編集。
    その犯人の無実をトウコが訴えるほどドツボに…というあらすじをみて面白そう!と思ったのだが、ちょっと期待ほどではなかった。
    トウコはなぜまともな会話も出来ないのだろう。
    刑事がいつも、きろ、と見るのも気になったし、トウコの追い払われ方も毎回同じで飽きてしまった。
    刑事もトウコも、まったく印象に残らない。
    トウコなんかフルネームでタイトルにまでなってるのに。

  • 初読みの作家さん。
    倒叙大好きなので期待して手にしました。悪くないです。というか全体的にはおもしろかった。

    ただ、トウコの話し方とか刑事の反応とかがちょっと不自然すぎて気になってしまってからは読むペースが・・・最後はそういうことかと驚かされましたが(^^;

  • これはなかなか良かった。デビュー作の掃除機刑事も意表を突いて面白かったが、こちらも、基本は倒叙ミステリ的ながらも、この臼月トウコなる風変わりな人物のユーモラスな雰囲気が、意図せず犯人を壊していくのが痛快。非常に優秀な刑事かなと思う笠置刑事が一向に卯月を覚えていないのは変ではと思っていたら・・・最後に・・・そうきたかとにんまり。

  • 『掃除機探偵の推理と冒険』がとても面白かったので読んでみました。

    トウコの謎解きというよりも、犯人側の視点や心情がメインとなっている本作。倒叙ミステリと言えるのかもしれませんが、トウコの発言がいきなり核心をついてくるところが面白い。犯人にしたらたまったもんじゃないでしょうが・・・(笑)。

  • 完璧なはずの計画で事件を起こした者たち。しかし彼らの計画を潰してしまうのは、よりにもよって不器用で使えない新人だと思っていた臼月トウコ。しかも味方をするつもりが余計に窮地に追い込んでしまうって……! ユーモラスな読み心地の倒叙ミステリ連作です。
    これは酷いなあ。犯人の立場からしたらやってられない。臼月トウコは別に捜査をするわけでもなく、たまたまほんのちょっと口を突っ込んできただけなのに、それでよりにもよって犯人の計画をぶっ潰してしまうんですね。しかも良かれと思って! あーダメだ。悪意がないだけ余計にたちの悪いやつだ。もちろん、犯人以外の人物にとっては愉快で仕方のないことです。特に「偶然の事情」は一番いけ好かない犯人だったので、快哉を叫びたくなります。
    お気に入りは「阿迦奢に旅立つ」。倒叙だもん犯人は分かっているし、だけれどどういうふうにやったんだろこれ? って思っていたら、そういうことだったのね!

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