三体0【ゼロ】 球状閃電

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  • 早川書房 (2022年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (440ページ) / ISBN・EAN: 9784152101945

作品紹介・あらすじ

14歳の誕生日の夜に"それ"に両親を奪われた少年、陳。謎の球電に魅せられ、研究を進めるうちに、彼は思いも寄らぬプロジェクトに巻き込まれていく。史上最強のエンタメ・シリーズ『三体』三部作で描かれたアイデアやキャラクターが登場する、衝撃の前日譚!

感想・レビュー・書評

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  •  三体シリーズの前日譚ということになっているが、「三体」は特にでてきません。主人公は、球電のの謎を追い求める科学者陳と女性軍人林雲。そして彼らを助ける天才物理学者丁儀。この丁儀が「三体」に登場するのだ。

     本書は日本では、ヒットした三体シリーズの後から翻訳出版されたので、営業的にシリーズに含めちゃえということになったらしい。そのほうが手にとってもらえるだろうからと。自分もそれで読んでみたわけですが、内容はとても面白いですよ。

  • はちゃめちゃにドストライクなラスト──!&表紙!
    とうとう長い長い三体の世界から覚める時が来たようです。三体の時も感じたけど読み切るのは非常に大変だけど、その努力に対しての見返りがデカい。スケールは三体本編に比べると小さく感じてしまうがそれでも圧倒される世界観。ふう、放心

  • 泣いた(༎ຶ⌑༎ຶ)
    まさか泣けるとは…。

    【三体】三部作の前日譚!
    シリーズ全てを読むと誓い、この作品を1番に読むべし!!‎߹ㅁ‎߹)♡


    大好きな【三体】シリーズの前日譚。
    『エピソード0』として日本では3部作後に翻訳されましたが、あとがきによると、中国での刊行順は最初のようです。

    この作品を1番に読んだ方が、シリーズを時系列で読むことができると思います。
    また、腑に落ちる点も多々あるかと思います。

    ただ、三部作後に読むのはまたそれはそれで楽しみのひとつ!!
    と感じる方もいるかと思いますので、お好みで♡(*^^*)

    例えばこの作品を1番最初に読んだ場合、続編を手に取りやすいかと言われれば、三部作中の一部にはどうしても負けてしまう…。

    理由は2つ。

    1つは(『球状閃電』の内容がいまいちだと言うことではなく、めちゃめちゃおもしろいけど)この話で完結し、丁儀のスピンオフ作品という要素が強めであると言うこと。

    もう一つは『三体』(一作目)もまた、続編に続く描き方(続きが気になりすぎる)により、またずば抜けて面白いと言うこと。

    結果、日本ではこの刊行の流れが一番適切だったのでは…と感じました。

    話は、陳という青年が主人公で進みます。
    彼は幼少期のトラウマから『球電』の虜になり、研究に打ち込みます。

    この『球電』が、三体シリーズの一部に出てくるので、知っておきたい要素となります。

    陳が研究を進めていくうちに出会う人物が、軍人の林雲と『三体』シリーズきってのイケメン天才物理学者、丁儀⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝♡

    その時の社会情勢でこの研究が必要であるかとの葛藤。軍人の林雲は兵器の開発として。丁儀は物理学研究者として。陳は両親を殺されたトラウマとして。
    それぞれの想いを内に秘め『球電』を再度目撃すべく試行錯誤し、研究を進めていきます。

    アメリカ、中国、ソ連の関係性と当時の情勢も関係してくるので、歴史が絡むと一段と話が面白くなってくる。
    SFの魅力の1つです。

    『三体II 黒暗森林』では、「フェルミのパラドックス」が少なからずテーマであったのですが、今回は量子力学の「二重スリット実験」を知識程度に調べておく事をお勧めします。

    電子は波である。電子は粒である。
    どちらとも言えるし、言えない。
    それは、観察者の存在で決定する。

    この実験、めっちゃ面白いですよ!!
    初めて知った時ビビりました(^▽^;)
    「シュレイディンガーの猫」も面白い!
    箱を開けてみるまでどうなってるか分からないやつです。

    私は理系の人ではないので、知識程度でしか知りませんが、本書は知っている前提で話が進んでしまっているので…(・_・;

    私の頭では、科学的な事は3部作より難しく感じました(-∀-`; )

    ですが劉慈欣の作品は、愛が強めに感じます。
    と言うか、SF全般、愛強めでは?と思っています。
    普段、偏愛要素強めのミステリばかり好んで読むからでしょうか…。゚(゚ノ∀`゚)゚。

    そして読了後…、
    今この空間への見方が変わってしまいました…。
    ⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝

    すごくすごく面白かったです!!

    シリーズ全部読んで欲しい♡
    お勧めします!!!




  • 両親を一瞬で灰に変えたのに二人が座っていた椅子に変化はない。「球電」と呼ばれる不可思議な現象を体験した陳は、気象学から球電についての研究に没頭していく。ある日共に研究を進めていく運命の女性、林雲と出会うが彼女は雷を使った新兵器の開発に邁進している軍人だった。研究が何度も頓挫する前半はしんどいが、その分理論物理学者丁儀が颯爽と登場から球電の謎が一気に解明されていく展開が爽快。量子力学が判った気になってしまうのも凄い。陳と林雲の立場の違いによる研究の果ての残酷さを越えた先のシュレーディンガーな叙情的なラストにはやられた。青い薔薇が象徴的で良い。本編との繋がりは匂わせ位だったけど合わせて是非。

  • 三体シリーズの前日譚的な作品。「三体」シリーズには天才物理学者 丁儀と女性将校 林雲が登場しているとのこと(林雲は「三体」の425~427頁に登場 by訳者あとがき)。「三体」シリーズのディテールを覚えてないので、読み直さないと関連性はよく分からないが、「三体」と関係なく楽しめる作品だった。本書は「三体」のような宇宙スペクタクルものではない。2002年雑誌掲載、2005年に単行本刊行。

    球電(球状閃電、ball lightning)の謎に執念を燃やす研究者の陳、兵器に魅せられた冷利な女性技術将校の林雲、天才物理学者の丁儀の3人が、球電の謎を解明し、兵器(雷球砲)開発と実戦使用を果たす物語。

    球電というのは実在する謎の自然現象なんだな。著者も目撃したことがあるという。球電の謎を膨らませてSFに仕立てたのが本書なんだな。

    球電 = 励起されたマクロ電子の他にも、空泡 = 非励起状態のマクロ電子、弦状のマクロ原子核、マクロ原子,マクロ核融合、量子共鳴など、奇想天外なアイデア満載だった。特に、「球電によって殺されたすべての人間は量子状態で存在している」というアイデアが面白かった。「タイタンの妖女」と似たアイデアだな。

    ラスト、量子状態の林雲の独白は説明調過ぎていまいちだったかな。

  • 2005年6月中国で出版された球状閃電を訳して、2022年12月早川書房刊。意識を持つ観察者というのが出てきて、てっきり智子(ソフォン)のことなのか?と思ったがそうではなかった。三体との繋がりなんか無いのにタイトルに三体を付けただけだよね。

  • 「三体」の前日譚。三体三部作より面白く読めた。どこで三体関連事項に出会うのかワクワクしていたが、それは最後の最後まで持ち越しだ。主人公の陳、軍人の林雲、そして「三体」で活躍した丁儀を中心に「球電」の謎に迫る。陳は中学時代、雷雨の夜「球電」により両親が死去。その原因を究明するため博士課程を卒業後、軍の機関に参加。一方、林雲の兵器研究の背景には幼児時代の過酷な体験がある。丁儀は純粋に理論物理学を極めようとする。

    陳の目的が「球電」のメカニズムの解明であるのに対し、林雲はそれを兵器として活用することに情熱を傾ける。彼女の探求心も、丁儀の理論を実証したい欲望も、鬼気迫るものがある。今回は陳の一人称「ぼく」によって語られるのでわかりやすい。天才の丁儀、林雲を前に劣等感を抱く主人公の心模様が興味深かった。

    物理の専門的内容は難しいが、挑んでいく者たちの心意気を追うように、楽しんで読めた。夢中になりすぎて人道に反する行為に及ぶ者たちは、現実世界にもいると思うと、ゾクッとする。

    時代は「三体」の2010年代以前だが、戦争が勃発するような時世で実際戦闘場面もあり、架空の世界と認識したい。秘密裏に進めていた計画が破綻する場面では、ふと、三体の「智子」が思い浮かんだが、時系列的にどうなのだろう。また、三体で「丁儀の元カノは軍人だった」という記述があったと記憶しているが、それは林雲のこと?「三体Ⅰ」で恋人楊冬を失った後の丁儀と、物語後半で自堕落になった丁儀はかぶって見えた。

    「球電」の謎はまだ解明されていない。灰と化した者たちがまだ浮遊している感覚である。

    なお、本作は三体スピンオフとは言えないが、丁儀をじっくりと見ることができて「三体」への想像が広がった。今度は「三体Ⅰ」で大活躍のワンミャオ編を見てみたい。

    • shintak5555さん
      そういう内容ですか。なるほど。
      三体とは直接絡まんのですね。
      読むの楽しみになってきましたぁ!
      そういう内容ですか。なるほど。
      三体とは直接絡まんのですね。
      読むの楽しみになってきましたぁ!
      2025/10/01
    • yumecoさん
      shintak5555さま
      そうなんです。いつ三体が登場するかな〜と思っていたのですが...。
      科学者たちの心の内を読むような気持ちで興味深...
      shintak5555さま
      そうなんです。いつ三体が登場するかな〜と思っていたのですが...。
      科学者たちの心の内を読むような気持ちで興味深かったです。
      機会がありましたらぜひ!
      2025/10/02
  • 『三体0』というタイトル付けの経緯だけは事前情報として知りつつあらすじも知らぬまま読み始めたのだが、役者あとがきまで読み終えて『三体』の該当箇所を読み返してみると丁儀の人物像が少し膨らんだように感じた。

    化学的な部分や謎の自然現象、兵器開発、戦争など大掛かりな物語だが、それらに人生を捧げながらも心の傷や拠り所を抱える人の物語のようで『三体』とは違う満足感があった。『三体』のストーリーとの直接的な繋がりではないが、丁儀の関わりにちょっと物語の本筋以外の楽しみがあった。個人的に主人公の陳より丁儀のほうが気になったのは『三体』を読んだ後だから仕方ないのだろうか?『三体』未読の方のほうが純粋に物語を楽しめるのかもしれない。

  • 三体シリーズの前日譚的位置づけの物語。
    物語は主人公陳博士の両親が球電(球状の雷)に焼き殺されるところから始まる・・謎を解明すべく研究を進めるも、なかなか再現に至らず。そこに林少佐という人物と出会い、三体シリーズにも出てくる丁儀と出会い、球電の生成に成功するようになる、そして軍事への転用、そして・・というような話。
    丁儀が登場する、三体シリーズの前の話ってことから、三体0ってことになったらしい。あとがきによると、元々は三体シリーズにも球電の話が出てくるのだが、順番が違うってことで違う内容に差し替えられたのだとか。確かに、三体シリーズで球電は見なかった気がする。
    三体シリーズは読むの大変なのですが、ついつい買ってしまいますね。今回も球電一つでここまで想像を巡らせて話を膨らませるの?って感じで、興味深く読みました。SFって言っても、こういうスケールの大きな作品は他では読めない気がします。
    まだ劉慈欣さんの未翻訳の作品が一つあって、2023年中に発売予定らしいので、ファンの方は楽しみにしていると良いのではないでしょうか。自分はさすがにもういいかなという気がしてきた。

  • 「それがこの世界に残された彼女の最後の姿だった。」

    読み終えた後に自分の中に湧いてきたのは「ままならないな…」という感情。
    三体三部作を読み終えた時にも感じたが、シリーズ通してただのエンタメでは無く、読者にどっしりとした重みを残していく作品だと感じた。

  • 順番逆(三体三部作の前日談なのに三体三部作読んでから読んだ)けど、自分的にはこの順番で良かった。丁儀がすごく印象に残ってたので、あーこの人かーってなったし。死神永生で、エネルギーとか食料奪って生き残る為に宇宙艦隊が仲間の船を攻撃した時に、どうやって攻撃したんだろう、普通にビームとかだと船ごと爆破で何も残らないんじゃ?って疑問だったけど、この本読んで球電とか使ったのかなら可能かって納得したから。

  • 丁儀の恋人?ダンサーって?最後、ダンサーが気になって終わった。ダンサー?

    丁儀ってその後、冬眠もするよね。三体0は、丁儀のキャラクターが面白い。

    また三体を読み始めなければ。
    三体の登場人物が把握しきれなくて、永遠に三体を読み続けてしまう。
    三体のリピートが止まらない。

  • ・プレリュード 
     14の誕生日の夜は雷雨だった。
     それは壁を通り抜け家の中に入ってきた。
     半透明の赤いボールは、僕から父と母を奪った。
     1週間後、僕は別人になった。そして父のアドバイスのように、日々を送っている。

    「息子よ、すばらしい人生を送ることは、実際はそれほどむずかしくはない。いいか、だれもが認めるような世界的な難問に取り組みなさい。すばらしい人生を送る鍵は、なにかひとつのものに夢中になることにある。」

    第一部
     陳は大学に進み、一心不乱に球電について研究する。もう一度、球電を見るために。
     指導教官・帳彬は、陳に球電の研究を諦めさせようとするが、その理由は…。
     球電の目撃情報を追った先で出会った軍の技術者・林雲は、陳に共同研究を持ちかける。

    第二部
     ロシアの球電の研究者に合ってから夢が覚め、一般の生活の中に埋もれようとしていた陳は、再び球電の研究と新しい兵器の開発を軍に依頼される。研究所に行き詰まり、国家科学院最年少フェロー・丁儀を招く。そして、球電は…。
     陳は科学者と人の間でゆれ、兵器に憑かれた軍人である林雲と乖離を感じるようになる。

    第三部
     軍の仕事から完全に離れた陳は、今度は竜巻の研究で世界的な科学者になっていた。しかし、中国は戦争に突入する。竜巻の防衛システムの開発に打ち込んでいたある日、中国全土の三分の一にあたる地域で、ICチップのみが突然損壊した。これは球電兵器ではないかと疑った陳は…。
     家を訪ねてきた、丁儀に話を聞きすべてを知る。

    ○今回は武器と戦争だったので、少し引いたところから読んでいた
    林雲にどうしても彼女の上層部と同じく危うさ、また嫌悪感を抱いてしまう。一面だけで語れない人物だけど。
    ○量子学はファンタジーに見えた。シュレーディンガーのネコ。
     マクロ電子
     SF科学は面白い!
    ○原子や電子は生きものでないのに、なんで私たちは生きものなんだろう。
     どこか遠いところからだと、私たちも器物も、見分けられないほどの差しかないのかな
    ○丁儀先生!『三体』を読み直さなくては
    ○SFプロトタイピングを思うと、本作品は少し怖い。作中で武器の弱点も述べられているのは救いだけど。
    ○科学者の業


     

  • 久しぶりの劉慈欣さんの SF長編でしたが、もう抜群に面白い!

    タイトルが「三体0」となってしまっているので、三体シリーズ未読者にとって手にとり辛いかもしれませんが、一部繋がりがあるというだけで単体で完結した作品なので、気になっている方はまずはここから手にとってみるのもいいかもしれません。

    球電に対する科学検証がすさまじかったのですが、これほとんどフィクションなんですよね?主人公と林雲、丁儀の3人が球電の謎を解明していく過程、「球電の影響を受けた物体は量子状態(生と死が同時にある不確定)で存在している」と説明する際の説得力などは唸らされるものばかりで、本当にワクワクしました。劉慈欣さんの想像力はいったいどうなっているのか。

  • 「本書における球電の特徴やその動きの描写は、すべて二〇〇四年時点の歴史的事実に基づく」……いきなり目次扉に記されたことばで、「オッ?」と思って読み始める。

    『三体ゼロ 球状閃電』と《三体》シリーズの「前日談」とされているが、一部の登場人物が関係しているのみで、三体人も宇宙もあまり関係ない。

    物語の中心目線となる主人公の“陳”は、幼いころに目の前で両親を球電の威力で亡くして以来、とりつかれたように球電に関する研究を行う。
    あるとき、同じように幼いころのいきさつを持つ女性将校とともに球電を新兵器として研究開発に取り組む。
    この後の中盤は、怒涛の「ハードSF」展開となり、さらに架空戦記となっていく。

    作者は、相変わらず読者の予想を、物語の途中で次々と裏切っていく。
    それは、現実の世界が厳しいものであることを、たとえSF小説であっても忘れさせないためであるかのようだ。
    そして、最後に残る事柄はとてもロマンティックだ。
    「この灰色の現実世界には、だれの注意も惹くことなく、ある非現実的なものが漂っている。それはまるで、夢の国からこぼれ落ちたひと粒の塵のようだ」(著者あとがきより)

    やっぱり《三体》シリーズだ……。

  • 球電現象に人生を変えられた主人公がその研究に邁進する研究者の物語。その枠組みを超えて驚愕の真実へと大きくうなってゆく。三体の本編と部分的に設定を共有しながら、科学的な量子力学部分と、幻想的、超自然的な要素を掛け合わせた読み味だった。

  •  文句無しの面白さ。自分は本書を読むまで寡聞にして知らなかったが、世の中には球電現象なる摩訶不思議な自然現象があるそうな。本書は此の"球電"をメインに取り扱うSF作品である。


     『三体』シリーズ本編とはまた少し毛色が違うが、本編で示唆された意味深な台詞の意味が明らかになる。


     これだけの傑作を書き上げて尚『三体』執筆に至る作者の想像力には畏敬の念すら禁じ得ない。脱帽である。SFと人間の創造力に乾杯。

  • 三体シリーズを読み終えて2年以上の時が経ったが、今回ようやく「三体0」を読了。
    三体世界は出てこないので、シリーズ前日譚としてのつながりは主に丁儀にかかっている。中盤から登場するこの丁儀の変わり者ぶり、天才物理学者としての活躍を堪能できる作品。

    オープニングは主人公の陳が14歳の誕生日に初めて球電に遭遇するシーンから。壁を通り抜け、人体を一瞬で灰に変える球電の研究に取り憑かれた陳は、やがて軍に所属する林雲と出会う。林雲は幼い頃に母の凄惨な死に立ち会い、兵器に耽溺する、冷静で強い精神力を備えた女性として描かれる。

    ストーリーは主人公の陳を軸に進むが、焦点となる登場人物はまずは林雲、そして丁儀だろう。
    あまりに不可解で、関わった多くの人の人生を壊す球電の恐ろしさを序盤で見ることになるが、マクロ電子の発見以降、球電の解明が加速的に進む。
    量子物理学の知識はさっぱりだが、それでも球電の解明が進み、兵器として実用化されていく過程が最も面白く読めた。観察者の存在により量子状態から現実に収縮するという法則が、ラストまで深く関わってくる。

    その終盤部分では林雲の長い告白が衝撃的で哀しくもあった。陳が最期のときにもう一度薔薇を見ることができますようにと願わずにいられない。

    物理✕戦争のハードSFと人間の情緒、ロマンをかけ合わせた壮大な物語は、劉慈欣の作品ならではで、多くのSF愛好者におすすめできる一冊。

  • 三体、三体2、三体3に続いて著者の作品を読んだ。前日譚ということだったが、全く別のものと考えても良いだろう。次は著者は別だが三体Xが待っている。

  • 第一稿が2,000年ということで、三体の作者の長編第二弾が遅ればせながら翻訳されて登場となった本作。「球電」という現象をきっかけに、どんどこ話がデカくなる三体パターンのはしりが見える。呆れるほどの科学的知識を創造力をもって羽ばたかせるそのエンターテインメント性は、作者の真骨頂だろう。終盤、おセンチすぎるきらいはあるものの、そこはそれ、お決まりパターンとして許容範囲です。とりあえず三体につながるキャラクターも出てくるので、三体をまだ読んでない方は、こちらから先に読んでもいいかもです。

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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