うけいれるには

  • 早川書房 (2023年3月7日発売)
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本 ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784152102188

作品紹介・あらすじ

フランスの地方に暮らす幸せな一家。ある日、第三子が重い障がいを抱えていることが分かった。長男はかいがいしく第三子の世話に明け暮れるが、長女は彼の存在に徹底的に反発する。障がいのある子どもが誕生した家庭の心の変化を、静謐な筆致で描く感動長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 第1回受賞作は、クララ・デュポン=モノの『受け入れたならば』 | 日本の学生が選ぶゴンクール賞
    https://onl.tw/vPMJJ8q

    クララ・デュポン=モノさんから喜びの声が届きました!
    https://onl.tw/b4VrYkq

    日本ゴンクール賞 | アンスティチュ・フランセ東京
    https://www.institutfrancais.jp/tokyo/agenda/nihon-gonkuurushou/

    Bibliotopia 2022 | Interview with Clara Dupont-Monod – Fondation Jan Michalski
    https://fondation-janmichalski.com/en/media/bibliotopia-2022-interview-with-clara-dupont-monod

    うけいれること クララ・デュポン=モノ(著/文) - 早川書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784152102188

  • 父と母、兄と妹の4人家族に、弟が産まれた。彼には障がいがあった。目が見えず、四肢は動かなかった。小児科医は、こうした子の寿命は3年だと言った……。その後の家族に起こったことを“石”が語る風変わりな物語だ。
    第1章では活発でリーダー的な存在だった長男が、ある日を境に献身的に弟の面倒をみるようになる。第2章は弟が破壊した幸福な家族に反発する長女の姿が描かれる。第3章には思いがけず誕生した末っ子が登場し、次男の遺したものを通して家族を再生していく。
    彼らには家族の役割でしか名前がない。それがこの物語を普遍的なものにしている。ただ生きているだけの存在がもたらしたのはなにか。心に深く沁みる物語だった。

  • 舞台はフランス。両親と長男、長女の4人家族に3人目の子どもが生まれた。赤ん坊の頃は、愛らしく気づかなかったが、重度の障がいがある子どもだった。
    一章はかいがいしく次男の世話をする長男、二章はそんな長男に反発し不満を爆発させていく長女、そして三章は次男の死後生まれた三男を中心に、それぞれの障がいのある家族を受け入れる過程を家族が暮らす家の石が語る。

    時々メディアで障がい者の兄弟がいる子どもについて取り上げられることがあるが、それぞれに思いは違うのだろうとは感じていた。この本は、三者三様の対応を書き分け、秀逸だと思った。読後に温かい気持になれた。

  • フランス 高校生が選ぶゴングール賞、日本ゴングール賞
    障がいのある子ども、家族 兄、妹、末っ子
    家族の再生、自然への共感、はるか昔からある石
    読んでいる間、静謐な空気に包まれていました

  • 受け入れる。ことによる生き方は、1人1人異なっているが、その1人1人が繋がる時に、愛が生まれると感じた。受け入れるということは、今の自分が思っている以上に深く、広く、人格の形成に関わっている。

  •  『三番目に生まれた子どもは、障がいを抱えていたーー。 フランス文学を学ぶ日本の学生がNo.1に選んだ感動作』の帯の言葉に、興味を持ち購読。

     障害を持つ弟の全てを受け入れる長男、嫌悪感と共に拒否する長女、苦しく葛藤する両親。
     著者自身の実体験をもとになっているとのこと。
    だから、リアリティに溢れ、何度も涙した。
     また、設定が面白い。彼らを見つめる中庭の赤みがかった石が、意思を持って(ダジャレではなく、本当に)物語っている。 ちょっと不思議な感覚になる。

     『2021フランスの高校生が選ぶゴンクール賞』も、受賞している。
     日本やフランスの学生たちの感性・感受性を賞賛したい。

  • 石がストリーテラーとなり、
    家族の物語を繊細な文章で綴られてる。

    万が一、障害のある子どもを産んでも、
    親は一生懸命育てるだろう。
    でも、兄弟姉妹にとっては、
    また違った思いが生まれる。
    障害の重さや種類によっても違うだろう。
    それは、たぶん、意思疎通ができるかどうか。
    目を合わすことも、感情を表す事もままならない子どもに、幼い兄妹はどうしていいかわからない。
    長男のように、のめり込みすぎて自分を失うか、反対に長女のように、拒絶的に嫌うか。
    どちらも心の成長に大きな影響を与える。
    障害のある子どもを持った場合、その子の兄弟姉妹にもいっそう思いを寄せてあげなければ、すべての我が子達を失いかねない。
    末っ子の誕生は、全ての集大成のようだ。

  • 重いテーマ

  • 953/テ/

  • 障害を持った弟を甲斐甲斐しく世話する兄
    それを、見て育った妹

    兄の目線で語られる障害を持った弟への思い。
    こんな健気に弟と寄り添ったのにも関わらず
    兄は弟にいろんなものを捧げてしまった。
    もぬけの殻となった兄。
    彼は今後どうなるのかなと思った。

    妹の目線で語られる弟への思い。
    それは兄を取られてしまった戸惑いと怒りから始まる。
    その怒りはやがて妹を覆い尽くし、それを思春期まで引きずることになる。

    悲しかったのは、兄の目線では弟だけで
    妹の目線では兄も母も父もみんな気にかけているところ。
    妹を見てくれてる人はいるのかなと思った。

    障害をもつ家族を持つと言うのはどういうことなのか。
    綺麗事で片付けれるような問題ではないのかもしれないなと思った。
    家族に生涯爪痕を残すんだなと思った。

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著者プロフィール

上智大学仏文科卒。商社OL、女性誌ライターを経て翻訳者に。2001年よりパリに暮らす。夫はフランスのグランシェフ、ドミニク・ブシェ氏。パリ8区と東京・銀座のレストラン「ドミニク・ブシェ」では、マダムとしても活躍している。訳書にラボリ『かもめの叫び』(角川文庫)、スアド『生きながら火に焼かれて』(ヴィレッジブックス)、『Kitano par Kitano: 北野武による「たけし」 』(早川文庫)など多数。

「2019年 『ゆっくりたっぷりパリ暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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