その輝きを僕は知らない

  • 早川書房 (2023年3月23日発売)
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本 ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784152102201

作品紹介・あらすじ

名門大学で生物化学の博士課程を目指す院生のウォレスは、南部出身の黒人でゲイ。ある夏、表向きはストレートの白人の同級生との出会いが、彼の中に眠っていた感情、痛み、渇きを呼び起こす。米国のミレニアル世代のリアルな葛藤を描く、ブッカー賞最終候補作

感想・レビュー・書評

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  • 結構好きな雰囲気の小説でした。絶妙に主人公が幸せにならない様子が切ない。恋人っぽい人ができたのに。
    主人公はどこにいてもマイノリティを感じているが、他の登場人物も皆、ある部分ではマイノリティを持っているのです。なのに、分かり合えない(主人公が諦めているからでもある)。この溝の深さを丁寧に描写していて、面白かったです。

  • 「ジャクソンひとり」とほぼ同時期に読んだのでこちらの文章が余計にキラキラしてた。

  • 面白かった。
    黒人でゲイであることに興味が引かれた。文学的。
    海外のBLを読んだことがあるが、それよりも文学的だし、エンタメとしては面白くは無いが、じっくり人間が描かれていて面白かった。
    メインの時間軸は週末の出来事。映画の「WEEK END」でも見た。
    過去の出来事がえぐすぎる。トラウマとしてはヤバい。だけど、その傷を傷として見ずにやりすごすことでウォレスは生き延びてきたので、いまさら簡単にはやめられない。
    たびたび、相手から自己中だと言われるの面白いな。他人への観察はしてるのに、結局は自分を優先してるのがうかがえる。
    そうやって身を守ってきたから仕方ない。これ以上傷つきたくないもんな。
    ミラーとは別にちょっと寝てすぐ捨てられるか別れるか、やっぱダメだったよパターンかと思ったら続いてて良かった。

    いやあ、でも、実験をぶち壊すのはキレるだろ。やっちゃダメだろ。加害者のケアまでしないといけないの?だるいね。

    中西部の名門大学院の理系院生の生活を味わえて面白かった。酒ばっか飲む。

  • 理系の大学院に通うウォレスは同性愛者で黒人。周りは白人が多く、その中にいることの窮屈さ、生きづらさが描かれていく。何気ない会話の中で感じる差別や、悪意。そんな時に出会った白人男性のミラー。異性愛者のミラーと関係を始めていくと、少しずつ良くも悪くも変化が起きる。わかってほしい、わかるわけないということや、自分を語ることを諦めるようなこと。昔から受けてきた差別の影響の大きさがいつまでも残っている。無意識に向けられる言葉や視線の怖さ、心理的な負担。その重みが読み手にものしかかってくるような感じがあった。今のたくさんの問題のリアルがここにあるように思う。

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