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本 ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784152102201
作品紹介・あらすじ
名門大学で生物化学の博士課程を目指す院生のウォレスは、南部出身の黒人でゲイ。ある夏、表向きはストレートの白人の同級生との出会いが、彼の中に眠っていた感情、痛み、渇きを呼び起こす。米国のミレニアル世代のリアルな葛藤を描く、ブッカー賞最終候補作
感想・レビュー・書評
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結構好きな雰囲気の小説でした。絶妙に主人公が幸せにならない様子が切ない。恋人っぽい人ができたのに。
主人公はどこにいてもマイノリティを感じているが、他の登場人物も皆、ある部分ではマイノリティを持っているのです。なのに、分かり合えない(主人公が諦めているからでもある)。この溝の深さを丁寧に描写していて、面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ジャクソンひとり」とほぼ同時期に読んだのでこちらの文章が余計にキラキラしてた。
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理系の大学院に通うウォレスは同性愛者で黒人。周りは白人が多く、その中にいることの窮屈さ、生きづらさが描かれていく。何気ない会話の中で感じる差別や、悪意。そんな時に出会った白人男性のミラー。異性愛者のミラーと関係を始めていくと、少しずつ良くも悪くも変化が起きる。わかってほしい、わかるわけないということや、自分を語ることを諦めるようなこと。昔から受けてきた差別の影響の大きさがいつまでも残っている。無意識に向けられる言葉や視線の怖さ、心理的な負担。その重みが読み手にものしかかってくるような感じがあった。今のたくさんの問題のリアルがここにあるように思う。