- 本 ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152102270
作品紹介・あらすじ
人生に疲れた40歳のファウストは、長年暮らしたミラノを離れてイタリアンアルプス近くのレストランで働き始める。山に囲まれ次第に人間らしさをとりもどしていたとき、狼たちが山からおりてきていた――。ストレーガ賞受賞作家が描く、人生やり直し山岳小説。
感想・レビュー・書評
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訳者です。コロナ禍でひととの触れ合いが難しい日々に執筆していたため、互いに寄りそい、触れ合う人々の優しさ・温かさを「狼」では描きたくなった、そんなことを作者はどこかのインタビューで答えていました。だから本作はいわば「帰りたい山」への郷愁の物語なのかもしれません。
早川のnoteで訳者あとがきを公開しています。 -
初めてのイタリア文学
まさか葛飾北斎の画集がイタリア文学に出てくるとは思っていなかったので驚いたと同時に日本の富士山ってかっこいいと思った
富士山とモンテローザの山並が重なる
山の麓では生活を営み山はただそこにあるだけ
葛飾北斎の富獄三十六景そのものである -
イタリアンアルプスのふもとにあるフォンターナ・フレッダという小さな町を舞台に、そこに生きる人々や自然を活写した作品。
作家でパートナーと別れたばかりのファウスト、唯一のレストランを営むバベット、そこでウェイトレスをすることになったシルヴィア、山で働くことを何より楽しんでいるサントルソの4人が主要な登場人物だ。36篇の短篇で構成された作品で、この数字は北斎の『富嶽三十六景』にちなんでいる。
タイトル通り狼も登場するが、恐怖の対象でもなければ駆除されるわけでもない。自然界に生きる仲間として認められている。この距離感が好みだった。 -
神々しく険しい山陵と様々な思惑が交わる麓の人々の生活、あとがきにもあるように富嶽三十六景のような美しい対比だった
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大きな話ではないんだけれど、読んでいる間この山にいられることが心地よい。
とにかく出てくるお料理が皆美味しそう。 -
帰れない山をずっと前に読んでいた。北イタリアの人は、何か爽やかな透明感がある。若い時、熱中していたパペーゼをおもいだす。短い章立てが良い。出て来る四人の人柄が好ましい。
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山はええなあ。
魂が磨きなおされる。 -
面白くて1日で読み終えた。本を読みながら、トーマチーズ、マリオ・リゴーニ・ステルンの小説に出てくる「マリオ風ジャガイモ」などを食べたくなった。
シルヴィアがファウストにプレゼントする「富嶽三六景」。この小説ではモンテローザ山麓の移り変わる四季と登場人物の日々の暮らしが「富嶽三六景」のように描かれている。