グレート・サークル

  • 早川書房 (2023年8月17日発売)
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本 ・本 (832ページ) / ISBN・EAN: 9784152102621

作品紹介・あらすじ

幼い頃から空の世界に魅了されていたマリアン。空軍での従軍を経て、生涯の夢である地球一周飛行挑戦の途上、彼女は消息を絶った──50年後、ハリウッド映画でマリアン役を演じるハドリーは、明かされることのなかった秘密に近づいていく。英国最高峰ブッカー賞最終候補作

感想・レビュー・書評

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  • Great Circle by Maggie Shipstead review – parallel lives take flight | Fiction | The Guardian
    https://www.theguardian.com/books/2021/may/26/great-circle-by-maggie-shipstead-review-parallel-lives-take-flight

    海外旅行はコロナが心配...そんな夏に、旅行気分が味わえる本はいかが?|08. 『グレート・サークル』|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト(2021年6月25日)
    https://www.newsweekjapan.jp/mobile/stories/world/2021/06/post-96577_9.php

    Maggie Shipstead
    https://www.maggieshipstead.com/

    2023/8/17 グレート・サークル マギー・シプステッド/... [小説・エッセイ] - 新刊.net - 書籍やCD、DVD、ゲームの新刊発売日を自動チェック
    https://sinkan.net/?ean=9784152102621&action_item=true

  • 久しぶりに読み終わるのがもったいなくて、毎晩少しずつ読み進めた。20世紀初頭にアメリカで双子の弟と共に生を受けたマリアン•グレイヴス。彼女の波乱万丈の人生をじっくりと辿る道筋は、意志をどこまでも貫く頑固さと心を許した人にだけ見せる脆さのせいで何度も危機を迎える。それでも飛行機乗りとして空や自由を渇望し、夫や社会の束縛には徹底的に反抗し、恐ろしさに打ちのめされても生きることを諦めない強さに心が震えた。
    現代パートでは、マリアンをモデルにした映画でマリアン役を演じる俳優ハドリーが主人公。俳優という職業に真摯に向き合う一方で、恋愛沙汰にはだらしなくてメディアの注目を度々浴びてしまう。マリアンとは対照的だけど、ハドリーもまたどんなに叩かれようと逃げずにやりたい事をやり通そうする粘り強さを持っている。
    なぜマリアンとハドリーの話を交互に語っているのか分からなかったが、最後の方で繋がった時は驚いた。この作者の話をもっと読んでみたい。

  • これは面白かった!
    話の大きさ、物語性、構成、個々のキャラクター、ストーリー…最初そうでもなかったのに、読み進むにつれ、どこへ行くんだろう?とどんどん取り込まれていく。戦時下の女性パイロット、という目立つトピックだけでなく、アイデンティティー、どう生きるか、性自認、恋愛感情やその切なさまでも盛り込まれている。
    ここへ辿り着くためには、この長さが必要だったなと思う。

    とてもよかった。円は見事に完結。

  • 合間合間に、リンドバーグら飛行機乗りたちの生涯で、時代の経過を描写する。新鮮な時代経過の描写だった。

    飛行機乗りたちに悠久の空へのロマンチストであることを託したこれまでの多くの作品群とは一線を画す。
    そういった作品は往々にして、漏れなくマッチョイズムの産物だったわけだが、この作品は徹底的に女性のリアリズムと想像力の上に成り立っている。
    故に飛行機乗りたちは、いつ何時も普遍性を持つ悠久の使者ではなく、それぞれの時代状況、社会状況、生い立ちに左右されながら、空を飛ぶ。
    女にとって特に空を飛ぶ選択肢自体がマイナスから切り開くもので、だから空を飛ぶことは記録での偉業達成や空への夢なんて、ある意味生優しいものではなくて、文字通り命懸けの逃亡からのスタートになる。

    女性の視点や女性像が描かれた作品が「フェミニズムの作品」と括られなくなるくらい、こういう作品が当たり前になればいいのに、と思った。

    ジェイミーやバークレーたちの抱える情けなさが描ける男性の作家も出てきたらいいのに、とも。

    また、黒人、アジア人、先住民との混血など、あらゆるアメリカ人の姿が注意深く配置されて、ナラティブに取り込まれている。

    ハリウッドの映画化という過程がなぜ克明に描かれる必要があるのか疑問だったが、作品を作るということはナラティブそのものだからなのだなと納得。
    ハリウッドはアメリカのナラティブの代表的製造機だから。
    アメリカの物語とは何か、という今日的な雰囲気もしっかり纏っている。

  • 長かった。
    ドイツから生還したエディがなぜ南極で残りたがったのか。


  • こんな密度の濃い壮大な孤独と存在を空間に放りなげ確固として著者が受けとめ抱きしめる物語はあっただろうか。全てに意味があり価値があり泣けた。南極の意識は美の他にはなく海よ天よこの地球を私たちを抱きしめてと泣けた。

    なにより長篇で、細かな見出しで埋め尽くされて、厚さと重量に戸惑った。逐次メモを残しながら読み進むと気づかないうちに無重力の空間へ美しい球体に浮かぶ自己が見え隠れして感嘆の声が出ていた。なんという空間認識だろう。著者をこころから尊敬する。

    今年の震災が、海の怖さを、エディが感じる気持ちを、より深く実感させていた。この地に平安あれと祈る。

  • ボリューム満点で、私自身終わりまで読んでサークルを閉じられるか不安だったが、半分過ぎた辺りから怒涛の勢いで読み終えた。

    マリアンとハドリーがどう重なっていくのか…と思ったが、なるほどその役割を担うのね。

    それぞれの生い立ちや、時代ならではの生きづらさを吹っ切るように空へ向かう姿が、このページ読み終えると沁みるなぁ…

  • 長すぎて、前半のエピソードを覚えていないが、飛行機についてよく詳細に書けたものだ。正誤は不明だが。
    ハヤブサ号って固有名詞なのだから、日本語にしちゃだめじゃないかの違和感で−1。

  • ダルくて半分ほどでやめにした。

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著者プロフィール

(Maggie Shipstead)
2005年にハーバード大学を卒業。その後、アイオワ大学・大学院の創作研究課程にて芸術系修士号(MFA)を取得。デビュー作”Seating Arrangements”(2013)はニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに入り、ディラン・トマス賞ならびにロサンゼルス・タイムズ処女小説賞を受賞。本作”Astonish Me”(2014)は第二作にあたる。ロサンゼルス在住。

「2018年 『びっくりさせてよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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