パイを賢く分ける イェール大学式交渉術

  • 早川書房 (2023年9月20日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784152102713

作品紹介・あらすじ

交渉の当事者同士が手を組むことで、分け合う価値=パイの大きさを最大にしよう! イェール大学のMBA課程で15年間教えられてきたシンプルかつ実践的な交渉術を、ゲーム理論の専門家で、コカ・コーラ社との企業売却交渉など豊富な経験を持つ著者が伝授する

感想・レビュー・書評

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  • 交渉術の勉強、という事で興味をもって手に取った。実際の交渉をイメージしながら自らも思考を巡らせるという点で良かったのだが、だいぶ冗長である。著者が力説する典型的なパターンがあり、それは2者が貢献して獲得した成果物をどう分け合うか、という話が前提となるが「例えば、出資が多いほうが成果物を多めに貰う」という考え方は必ずしも正しいわけではない、という話。

    ー まったく異なる役割を果たす当事者どうしの貢献度が等しいというのは、なかなか理解しづらい。だからこそ、会社や投資額などの規模の大きい側が、ふつうは交渉において多くの取り分を得るのだ。ほとんどの人は、貢献度は規模と比例しているので対等ではない、と誤解している。しかし、2者による交渉では、両者の規模にどれだけ差があるとしても、パイへの貢献度は常に等しい、と私は声を大にして言いたい。これはマクロのレベルではまぎれもなく正しい。取引が成立しなければ、パイは消失してしまうからだ。しかし、ミクロのレベルに目を向けると、貢献度が等しいという事実は理解しづらいケースもある。

    この主張がどう展開されるかというと、つまり貢献度に関係なく、二分したって良いはずだという事。片方が不在だった場合、どのような結果になったのかという点から推定していくという考え方だ。これは、特に目新しいものではないので、思考の習慣として、安易に比率で決めずに、こういう考え方も持っておこうという意味では有用な本である。

    冗長なのは、この例えを出資だけではなく、ピザ(パイだったかな・・)、滑走路に変えてそれで各々数ページ費やす、また、二人の場合を三人の場合に変えて費やす、獲得した成果物ではなく、それと裏表になる損失の負担で解説するなど、何となく、一つ分かれば自らの頭で応用できそうな事まで敷衍して述べていく点が過剰に感じたという事である。最後に訳者の方が、ドラえもんがのび太とお餅を取り合う話を書いていた。なんだか、ビジネスにおける我欲のぶつかり合いを眺めた感じで後味が悪かったが、お餅の取り合いで救われた気持ちである。

  • まずは基本原則を定めよう
    パイを均等に分け合おう
    問題を解決しよう
    巨大なパイを生み出そう
    半分で満足しよう

  • ●2025年5月26日、東京大学・書籍部にあった。セッションで寄った日。

    頭の体操に?

  • 何をもって交渉の成果の平等と評価するか、その答えの一つが本書にある。

    交渉術をまとめると
    ・基本原則を定める
    ・パイを均等に分け合う
    ・問題を解決する
    ・巨大なパイを生み出す
    ・半分で満足する
    の5つに収斂する。

    公平性とは平等な扱いである。
    そして平等に扱いたいのは人間であり、パイのフレームワークは当事者を平等に扱うことである。

    そしてパイを平等に分けることにさえ合意できれば、もっと大事なパイを広げることに力を注げるのだと。

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著者プロフィール

イェール大学教授
オックスフォード大学で博士号を取得。プリンストン大学、イェール大学を経て、現職。

「2019年 『ライフサイクル投資術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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