白亜紀往事

  • 早川書房
3.70
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本棚登録 : 474
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152102782

作品紹介・あらすじ

恐竜と蟻が、現代人類社会と変わらぬ高度な文明を築き、地球を支配していたもう一つの白亜紀。恐竜は柔軟な思考力、蟻は精確な技術力で補完し合い共存していた。だが、二つの文明は深刻な対立に陥り……。種の存亡をかけた戦いを描く、劉慈欣入門に最適な中篇

感想・レビュー・書評

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  • 『三体』の著者、劉慈欣の作品です
    『三体』は読んでみたいなと思っているんですが、読むのにはちょっとパワーがいるかなと思ってなかなか手が出ません…w

    とりあえず図書館に本作が入ったのでこちらこら読んでみることに



    時は、今から6500万年ほど前、白亜紀末期
    異なる二つの種族がこの世界を支配していた


    それは、「恐竜」と「蟻」である


    柔軟な思考力を持ちながら手先が不器用だったため、文明を発達させれなかった恐竜

    一方、正確な技術力を持つが、文明を飛躍させるために必要な想像力と創造力が欠けていた蟻

    恐竜と蟻は「竜蟻同盟」を結び、お互いがそれぞれの欠点を埋め合わせることで高度な白亜紀の文明を築いていく


    突拍子もない設定だが、恐竜と蟻を擬人化した、まさに、我々人類の話だと思う


    二つの種族が同盟を結ぶことで新たな文明を築く
    蒸気機関時代から電気時代、原子力時代、そして情報化時代、現代人類と変わらぬ高度な文明を発達させていく

    しかし、文明が発達していくと人類と同じように深刻な対立が始まる


    対立、それは戦争だ!


    戦争の先にあるもの、それは滅亡!
    恐竜の滅亡は…


    そして、我々人類も世界各地でこのまま対立、戦争を続けていけば、近い将来同じ結末を迎えるのでないだろうか…

    • 1Q84O1さん
      本作でも蟻が恐竜の中に入って、あんなことやこんなことを…( ゚д゚)ハッ!
      本作でも蟻が恐竜の中に入って、あんなことやこんなことを…( ゚д゚)ハッ!
      2024/02/13
    • ultraman719さん
      ギャァー!∑(;゚Д゚ノ)ノ
      ギャァー!∑(;゚Д゚ノ)ノ
      2024/02/14
    • 1Q84O1さん
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      2024/02/14
  • 恐竜と蟻のSF。恐竜好きなので表紙に惹かれた。『三体』は勇気がいるので、その前にこの本が読みたかった。

    白亜紀末期、恐竜と蟻が互いに協力し、高度な文明を発達させていたとしたら…。
    ティラノサウルスの歯に詰まった肉をたまたま蟻たちが掃除したことからはじまる。

    こういうとんでもない発想大好きだー。
    竜蟻サミットの様子を想像すると可愛い。

    次第に両者に亀裂が生じていく。
    読み進めていくうちに、「あれ?これってもしかして⁉」となる。

    エピローグも良かった。
    これからは蟻を見る目が変わるかも笑
    やっぱりSF好きだー。
    次は『三体』にもチャレンジしたい!
    Audibleにて。

  • 『老神介護』には前半をカットした短編として収録されていた『白亜紀往時』の全編。実はその箇所にたどり着くまで、収録されていた短編だということを認識せず読んでいた。劉慈欣というだけで読みたくなっていたから、なんか読んだことあるなと思ってから分かった。でも、やっぱり全編を通して楽しめた。カットされていた部分がifの地球生命史みたいな内容で、全編を通して読むことで物語もぐっと膨らんだ。

    恐竜は頭脳を発達させていったが手先は不器用だった。蟻は想像力や創造性に欠けていたが精密な作業が得意だった。そんなふたつの種族がある出来事をきっかけに文明を築き、地球を支配していく白亜紀の物語。序盤こそやや控えめに感じるが、どんどんスケールが大きくなっていき最後は手に汗握る。読んでいると可笑しさも恐ろしさも感じる。信仰と戦争、抑止力の是非と倫理。それぞれの栄枯盛衰が圧縮されたような物語。現在の人類の行く末がここにあるような結末になりませんように。

  • なんというか、ライト(軽)な読み物でした笑 ラストはまぁご愛嬌ということで。軽く疲れた時や、旅に行く途中の電車で読んだりするのにちょうどいいかも。

  • 全体は200ページちょっとで、そんなに分厚い本ではありません。
    だけど、この1冊にぎゅっと詰まった、もしかしたらあったかもしれないリアルな"もしも"の世界のスケールに圧倒されました。

    白亜紀末期、2種類の生き物に知性の兆しが現れます。
    一方は恐竜。彼らは豊かな好奇心と想像力を持っていましたが、器用な手先を持ちませんでした。
    もう一方は蟻。彼らは高度な技術力を持っていましたが、貧しい思考力しか持たず創造性に欠けていました。
    どちらか一方だけだったら、そのまま消えていたであろう知性の兆し。
    しかし、双方が出会い、助け合っていたらどうだろう。
    これは、恐竜と蟻が互いの欠点を補いあうことで、高度な文明を発達させていったとしたら…という、6500万年前を舞台にしたなんともわくわくするSFなのです。
    恐竜と蟻、異なる種族が共に築いた文明の盛衰を手に汗握りつつ読みながら、人間社会と重なるような場面にたびたびどきりとさせられたのでした。

    はじめての劉慈欣作品、映画を1本観たときのような満足のため息をつきつつ読了。
    次は『三体』を読んでみようか、それとも短篇集か…とにかくほかの作品も読んでみようと思います。

  • 『三体』でSFの面白さを知り、作者の他の作品を…と思い読んでみた。
    設定が面白く、さっと読める長さで一気に読めた。
    最後の方は、三体みのあるSF感があっておぉ…劉作品って感じ…と思えた。
    面白かったが、やはり『三体』のような長編かつ半分もわからない宇宙や物理学の話に魅力があると実感した。

  • 「白亜紀が終わるまで、地球は蟻と恐竜が高度な文明を築いていた」というあまりに突飛な設定にも関わらず、「もしかしたら本当にそうだったのでは?」と思ってしまうまで練り込まれた設定の素晴らしさ、物語の面白さはさすが!

    「老神介護」収録の短編版を読んだときから面白いなと思っていましたが、長編になってここまでの作品になるとは…!ボリュームアップしたことで世界観が一気に広がり、非常に魅力的な作品になったなと感じました。氏が手掛けた三体以外の作品では、球状閃電の次にのめり込んだ作品でした。大満足の一冊です!

  • 白亜紀時代、蟻と恐竜が互いには協力し合って文明を築いていたら...
    そんな訳あるか!と言うビックリ設定だけどそこがSFの良い所。想像するだけで楽しい。そして恐竜のように大きすぎず蟻のように小さすぎず、大きな脳みそを持ち手先が器用な我々人類は凄い生き物なんだなと改めて思う。戦争は文明を滅ぼすということも。

  • 恐竜と蟻の交流が面白い。入門に最適とあったが、子供向けっぽいお話で分かりやすかった。

  • 読む前に少しばかり気合を入れる必要があった『三体』よりとっつきやすく、読解に必要なエネルギーもあまり消費しない(つまり疲れない)。児童書のような雰囲気だと思っていたら、やはり刊行はそうだったらしい。
    恐竜と蟻の共存と対立の構図は興味深かったものの、セリフ等の軽さも相まって少々物足りないかと感じていたところ、後半に入り面白さが加速した。白亜紀の終わりをそう展開させるのかと。文明の発展と衰退を描くにはボリューム不足が否めないし、遊び心のほうが強いようにも見えたが、夢のある話を楽しませてもらった。
    余談だが、読みながらベルナール・ウェルベルの『蟻』を思い出した。本作がいけるなら、そちらもお薦め。

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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