ハリケーンの季節

  • 早川書房 (2023年12月20日発売)
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152102904

作品紹介・あらすじ

魔女が死んだ。鉄格子のある家にこもり、誰も本当の名を知らない。村の男からは恐れられ、女からは頼られていた。魔女は何者で、なぜ殺されたのか? 現代メキシコの村に吹き荒れる暴力の根源に迫り、世界の文学界に衝撃を与えたメキシコの新鋭による長篇小説

感想・レビュー・書評

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  • 圧倒的な筆力:フェルナンダ・メルチョール『ハリケーン・シーズン』 | Web版 現代ラテンアメリカ文学併走(2020/12/10)
    http://www.shoraisha.com/main/ando/20201210.html

    傷ついた者のため 沈黙にあらがう声、文学に響く 作家・小野正嗣〈朝日新聞文芸時評21年2月〉|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14230733

    フェルナンダ・メルチョルとは誰で、なぜ彼女は国際文学賞を受賞したのですか? | 華氏マガジン(2024年19月18日)
    https://onl.sc/T5VZjEZ

    ハリケーンの季節 フェルナンダ・メルチョール(著・文・その他) - 早川書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784152102904

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ◆弱者が弱者を虐げる戦慄[評]豊崎由美(書評家)
      <書評>『ハリケーンの季節』フェルナンダ・メルチョール 著:東京新聞 TOKYO Web
      ...
      ◆弱者が弱者を虐げる戦慄[評]豊崎由美(書評家)
      <書評>『ハリケーンの季節』フェルナンダ・メルチョール 著:東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/321013?rct=shohyo
      2024/04/15
  • 魔女殺し の真相。
    と言ってもミステリーの範疇に収まらない。
    メキシコのある村を覆う絶望。
    そこで暮らす人々には日常だとしても、かなりヘヴィな日常。諦念。
    胃にずっしりくる。

  • 翻訳大賞最終選考作。パワフルなプロットと翻訳だ。
    魔女と呼ばれる人が惨殺される、その事件に関わる者が一人ずつ主人公になる。謎解きでも犯人探しでもない。さびれた村の片隅、貧困・ドラッグ・虐待・売春などに塗れた人々が懸命に生きる様、そのような人達を底辺に見下ろすのではなく痛みを共有するための語りが続く。視点が変わり、見えなかったものが見え、パズルがはまっていく面白さもある。後書きで言われて気づく、改行なし会話の「」なしの文体。翻訳もよいが元の文章の筆力はさぞやと思う。

  • 翻訳大賞の候補作のひとつ
    貧困と暴力、ドラッグと異常な性愛の描写がしつこく描かれて
    息苦しい
    希望の光りはまったく無い

  • アルコールとセックスとドラッグに逃げるしかない情況描写がひたすら続く。自分がなぜこれを読んでいるのかわからなくなり、しかし一種の謎解きものなので読みやめることもできず、最後の埋葬人の言葉にうなずいて終わった。

    こういう風に書きたかったのだろうし受容されたから翻訳されている。しかし自分にはきつすぎて合わなかった。告発の書として読み感想を書くなら、貧困をはびこらせるとこういうことになるから、頼むからきちんと国を治めてほしい。日本だって、都庁のプロジェクションマッピングに何億も使うとかやってる場合ではないのだ。

  • 少年たちが用水路で「魔女」と呼ばれている人物の腐乱死体を発見するところから物語が始まるので、この「魔女」の人生が語られるのかと思ったらそうではなかった。
    簡単に言えば殺人までの過程を様々な人物の目からたどる小説。
    ジェンダーや性的少数者への差別、貧困、虐待、薬物依存などが当たり前の貧しい村で、それぞれの人物が何を感じ、どう生きているのか。そこには選択肢なんて初めからない。学校もろくに行かないし、幼いうちから性的な話題や行為に晒されていて、自分が虐待されていることすら気づかない。
    はっきりとは語られないが、人種も多様で、その中での差別もある。
    物語の構成、語り口が素晴らしく、実に才能のある作家だと思った。
    しかし、描かれている世界が(実際に世界のあちこちにこういう場所があるのだろうが)救いがなく、読んでいて挫けそうになった。
    特に継父から性的虐待を受けて妊娠中したノルマの話が辛すぎる。これを読むと性的虐待した親がなぜ「恋愛だった」「相手も望んでいた」と主張するのかがよくわかった。子どもの孤独や不安につけこむ。子どもは親に愛されたい一心で、過剰なハグやキスを「おかしいな」と思いながらも受け入れる。こういうことをする親はあまりにナチュラルに相手の弱みにつけ込んでいて、相手の子どもに疑いを抱かせにくい。飴と鞭でたくみに子どもを支配し、逃げられない状態にする。

    全ての登場人物が皆貧しさゆえの不幸を背負っている。しかしみんなが貧しいのでそのことに気づかない。
    全てが絡まって魔女は殺される。警察は殺しに関わった若者を逮捕するが、それで解決するわけではなく、こういったことはまた繰り返されるのである。

    多分原文はもっと混沌としていて読みにくいのだろうが、翻訳のおかげで読み通すことができた。
    注目の作家だが、読むのは精神的に辛いので、覚悟は必要。

  • 会話を表す「」なし、改行もなくうねうねと続く、決して読みやすいとは言えない文体。だけどとまどうのは最初だけ。絡みつく文体が癖になる。
    蒸し暑さにべとつく汗、血や排泄物や体臭などの不快な臭いの描写がさらりと表現されているのに、その臭いがいつまで鼻の奥に残っているように感じられた。

    訳者あとがきに「予想の3倍以上の時間がかかった」とあり、翻訳業の実際を知らない私ですら読みながらこれは大変だろうと思った。
    こうして素晴らしい作品に出会えて、改めて訳者の宇野和美さんに感謝です!

  • 改行のない、語り続けるような歌うような文体。

  • メキシコの架空の村で起こった殺人事件を章ごとに一人の人物の視点から語っていくが、台詞も地の文もまぜこぜに改行なしで進んでいくかなり独特な構成。
    しかも貧困、暴力、迷信、差別と思いつく限りのこの世の醜悪な部分が詰め込まれているので文量のわりに読みごたえはかなりヘビー。
    これをよく翻訳して読み応えあるものにしあげたな、と思う。

  • これでもかという程の性的描写が続く。メキシコの田舎の凄まじいまでの荒れた生活が衝撃的。

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