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本 ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784152102980
作品紹介・あらすじ
地球の環境問題が深刻なのに、個人的な不妊治療で悩む僕。逃げるように参加した気候変動会議で会った物理学者とは、世界の終末に逃げるならタスマニアだと話した。そして僕は、何かに駆られて広島と長崎ヘ取材に来た。『コロナの時代の僕ら』の著者、新作小説
感想・レビュー・書評
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世界中で起きる暴力、気候変動といった地球の危機を感じつつ、目の前の“中年の危機”に右往左往の主人公と友人たち。
正直なところ、主人公をはじめ主要な男性陣はほぼ好きになれないのだけど、文章の巧みさ(訳も、おそらく原文も)でするする読んでしまう。
原爆被害者の語りは実際にインタビューしたものとのことで、読んでいるだけで肌が焦げるようだった。
その箇所だけでも、今作を読んでよかったと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
気候変動やテロが身近に迫りつつあろうとも、我々はそれ以上に対処し続けなければならない実際的な今がある。
ただ同時に、今に接しながらもそれらの問題も意識して考えていかなければならない。 -
ちょっと詰め込みすぎな気もするけど、生きている事、そのものをまるごと描きたかったのだと思う。気候変動や核兵器の脅威だけに絞った内容ならまっとう過ぎて、こんなに心に響かなかっただろう。
全くの私小説ではないものの、かなり大胆な展開に、えええ!マジか⁈の嵐。
新境地を切り拓いた著者の次作に、早くも期待が高まります。 -
良書ではあると思うものの、気候変動や紛争、原爆など様々な現代問題を取り上げているとあって期待していた分、肩すかしの内容だった。もう一歩を期待していた。
どれに対しても明確な答えには行きつかないし、原爆については日本人としてはもう少し丁寧に扱って欲しい題材とすら思ってしまった。単なる物語の構成の一つにされているような感覚があった。
"ひとはたったひとりの男の子の物語によって全世界を嘆くことができる。"という帰結は物語への希望を示していて納得感はあるものの、その"物語"が生み出せていないのが現代なのではないか?
物語の力を信じたいと思う一方で、世界を変える物語は生まれていないのではないかという無力感を覚える。様々な問題が未解決のまま、更に悪化したり、新たな問題が次々と生まれる現代では、そのように思えてしまう。 -
いわゆる自伝的小説。
英語ではauto fiction というらしい。
半分事実がもとで半分フィクション。
主人公の周りに起こるいくつもの話が進行していくから入り込むのに少し時間はかかるけど、入ってしまうと中々面白い。
読んだ第一印象は「正直な人だなぁ」。
あまり人に語らないような暗い部分をうまく表現している。物語が進むにつれて、本人が抱える不安だったり葛藤だったりが自分にも、そして社会にも当てはまることに気がついて、その機会(気がつく機会)を与えてくれたことに感謝する。
読みやすい読みづらいで言ったら読みづらいけど、良い読書時間だった。 -
寝る前に読むと、色々考えてしまって眠れなくなる本。
この本が書かれた後も、世界はますます危機的な状況に陥り、信じられない地震も起こった。そして、やはり自分自身も私的な問題を持て余しながら、失望と不安の中を漂っている。元どおりになるものなど何もないと思いながら。
どうも感傷的になってしまう。
よく自分は石だって想像する。石だったかもしれないと、石に還るのかもしれないと、なら最終的には宇宙に還るのだろうと。放射線は考えたことなかった。光の概念が物理学者だな。 -
いろんな意味で、自分には絶対に書けそうにない小説。
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*星3つ相当です
ジョルダーノの新作。タスマニアにはあまり興味ないけどどうかな…と思っていたがローマの描写、パリでの出来事、現実にあったテロ事件やコロナ禍も含め同じ時代を生きている人の感覚で読めたので面白かった。でも結構平坦な進行なので飽きて、途中で断念。
パオロ・ジョルダーノの作品





