わたしは孤独な星のように

  • 早川書房 (2024年5月8日発売)
3.76
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本棚登録 : 597
感想 : 39
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  • 本 ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152103284

作品紹介・あらすじ

遠い未来のスペースコロニーで、亡くなった叔母の弔いを巡る情景を描いた表題作のほか、商業媒体やウェブ媒体で発表した池澤春菜のSF短篇を集成。人間が異文化と接するときの情景や、未知なる動植物の生態をときにコミカルに、ときに抒情的に描き出す傑作集。

感想・レビュー・書評

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  • 本が大大大好きで、声優としても活躍している、池澤春菜さんの短編集です。先週、NHK教育テレビで、池澤さんの家の本棚を紹介している番組を見ました。ものすごい本の数だった。本について、熱く語る池澤さんの表情が、とても輝いてるのが印象的でした。

    この本は、SFに分類されます。いくつかの話で共通し、興味深かったのが、近未来での、人と人とのコミュニケーションです。

    どんなに技術が発達して、何もかもが便利な時代になり、又、地球を離れ、宇宙コロニーで生活することになっても、人と人との直接的なふれあい、温かさは、かけがえのないものだということ。何百年先の未来でもそうあって欲しい、そんな思いが込められているような気がしました。

    しっとりとした話から、ドタバタした話まで、バラエティに富んでいます。池澤さんの小説は、初めて読みましたが、言葉が、スーッと胸に染み込んで(ドタバタな話以外)、心地良かったです。大好きな一冊になりました。

  • あかりん言ってた通り
    糸は赤い、糸は白い がめちゃくちゃ好みだった。

    すごいSFなのになんとも言えない女子同士のリアルな感じが頭から離れない。

  • 【新刊先行販売】池澤春菜さん『わたしは孤独な星のように』先行販売決定!【4月28日(日)SFカーニバル@代官山 蔦屋書店にて】|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/nf2ee4c4d0077

    わたしは孤独な星のように | 超・SF作家育成サイト
    https://school.genron.co.jp/works/sf/2022/students/haluna7/6319/

    わたしは孤独な星のように | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000015814

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      だから本は特別な存在。池澤春菜『わたしは孤独な星のように』作者メッセージ|Hayakawa Books & Magazines(β)2024...
      だから本は特別な存在。池澤春菜『わたしは孤独な星のように』作者メッセージ|Hayakawa Books & Magazines(β)2024年5月7日
      https://www.hayakawabooks.com/n/na3fe05f5a00d
      2024/05/16
  • 七編からなるSF短編集。バリエーションが楽しめる。「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」、「宇宙の中心でIを叫んだワタシ」のダイエット女子×宇宙続きもの、「糸は赤い、糸は白い」が特に良かった。

  • 池澤春菜「SFのSは、ステキのS+」に続く2冊目。初の小説集という。先に出典(初出一覧)を見たら、幾つかは既に読んでいる。最近偶然ではあるが、2回読むことでその作品の真価を再認識できることが判ったのでしっかりと読んでいきたい。久々に、作品を個別に語りたい。

    「糸は赤い、糸は白い」
    ステキS+で既に読んでいる。本作品で池澤春菜の素晴らしさに感動し、次の作品を読みたくなった訳だからこの本を買うことは自然な事。今回読むのは2回目なのだが、当然のごとくこの作品の評価は最上級に推したい。所謂、GLSF作品なのだが、GLとSF(マイコパシー)のバランスが良い。最近GL作品を読む機会が多くなってきたので目が肥えてきたかも。この作品を冒頭に持ってきたことで、本書を手に取った読者は池澤春菜の推しになること間違いなし。
    「祖母の揺籠」
    本作品は2084年のSF(ハヤカワJA)で読んだはずなのだが、読んだ記憶が無い。たぶん2084年で私の心に刺さらなかったのかもしれない。同じジャンルである上田早夕里の「オーシャンクロニクル」シリーズと比べるとどうしても見劣りしてしまうからだ。私が上田作品を知らなければもう少し評価が上がったかもしれない。
    「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」
    とても面白い作品、宇宙に行くまでは。宇宙以降はSFで最近多くなっているドタバタへSFへと向かう。実に惜しい。最後を何とか打開して作品を締めることができれば良かったのだが。
    「いつか土漠に雨の降る」
    本作品はなかなかの秀逸な一品となった。基本的なファーストコンタクトものなのだが、視点・発想が優れている。とてもサイエンスな作品なので、とても作品にのめり込むことができた。ビスカチャの(美化した)イラストがあればいいのになぁと思った。読者に将来の方向性を考えさせる手法はなかなか心地良い。
    「Yours is the Earth and everything that's in it」
    これもWIREDで既に読んでいた作品。よくある同時並行ストーリーもの。2067年、2040年、2038年の三元建て。AIに関しては批判的な作品が多い中、本作品は数少ないハッピーエンド。終り良ければ全て良し。AIと人間との融和性に新たな一面を投げかけた作品と言える。
    「宇宙の中心でIを叫んだワタシ」
    「あるいは脂肪」の続編という立ち位置。「声俑」という新しい要素を加えてみたものの、基本路線が「脂肪」を引き継いでいるので、どうも作品にのめり込めない。実に面白い作品であることは間違いないのだが。惜しいな。
    最後に、表題作である「わたしは孤独な星のように」
    さすが表題作に位置するだけのことはある。池澤春菜がエクセレントなSF作家であることをものの見事に証明した作品だ。もうちょっと長ければ、より作品の良さが顕れてくると思うのだが。個人的にはなかなか上品なSF作品と言いたい。

    今回の作品は、ゲンロン大森望SF創作講座がらみのものが多いが、もうちょっと様々な媒体に作品を投稿して武者修行をすれば、または思い切ってシリーズものに手を広げるか、積極的に御自分の作品を売り込めば大化けするのではと予想する。まあ、お忙しい方なのであれこれ多くを求めることは避けるが、少なくとも大森望から卒業して作品に磨きをかけて欲しい。

  • オーディブルで聴いた。

    短編集。不思議で非現実的な話が多くて途中ついていけなくなったけれど、ダイエットしても痩せない話が途中まで面白かった。

  • T図書館
    7編短編集
    「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」と「宇宙の中心でI(アイ)を叫んだワタシ」 連作


    「読書する合間に人生がある」と言うほどの読書家の池澤氏が書くSFは、どんな感じなのかと興味津々だった

    とても読みやすい
    SF初心者向けのようにわかりやすい
    設定が面白いしほんわかしている
    数時間で読めた
    ビックリマークが多い作品が読みづらかったが、10代を主人公にしているためで致し方がないかな

    ○糸は赤い、糸は白い
    きのこはいつも悪役なので、そうでないものを書きたかったそうだ

    きのこの菌糸を脳に埋め込む脳根菌で、理解と共感が生まれるという
    女の子同士で意気投合の爽やかな感じだった

    ○ Yours is the Earth and everything that's in it.
    2067年AIdd(アイデイー)を持たない者の居場所はない
    仕事も友達も作れないというのだから、今のネット環境より必須のものと認識した
    そのAIddを持たない女の子が、村でおばあちゃん達の便利屋のようなことをしている
    そのおばあちゃんの話言葉がとても訛っていて笑えた
    かたやAIdd、かたや訛り
    そのギャップにほっこりした

  • 昔、新井素子を読んだときのように、これは女のコ(良い意味です)でなければ書けないなあと思わされる作品から、SFならではの自由さにクラクラする作品まで、たいへん楽しく読みました。ずっと気になっていたSF者を、SF作家としても追いかけることができるようになったことを喜びたい。

  • 美しい表紙に魅了されて読んだので、内容は想像していなかったが、想像していたとしてもこの超SF感は想像を超えてくると思う。

    個人的には1話目「糸は赤い、糸は白い」が好きだった。
    菌類を脳に埋め込むことが常識になった世界。
    思春期を迎えた少年少女には選択の時が訪れる。

    ミステリアスで少しロマンチックなお話だった。

  • 色んなSFが楽しめる短編集。
    SFといっても化学や宇宙の難しい用語が並ぶようなタイプのものではなく、世界観は掴みやすい方かと思いました。

    最初の2篇は入り込むのにちょっと時間がかかったけど、3つめの「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」で急に、
    久しぶりに女子会をするからダイエットをしなきゃとSNSのアカウント(アカウント名もえたま)を開設して励む32歳の女性、
    という、ものすごく現実感のある話が始まって、
    そこでわたしはなんとなくこの本好きかも、思って一気に読みました。

    結局、このお話もとんでもない方向へ向かうわけだけど。笑


    AIddyの話は近未来の世界を1番リアルに描いている気がして、他人事じゃないなあという感じだった。
    AIddyって、ありそうなんだけど、ないのかな。20年もしたらもしかして、と思わなくもない。
    ほっこりいい話で感動してたら次のお話でまたもえたまがとんでもないことになって出てきて笑ってしまった。

    そして最後に表題作。わたしはこれが1番好きでした。
    出てくる人物の人間味とかあたたかさをしっかり感じるけど、暮らしている世界はコロニーで、死に対する捉え方も少し違っている。

    “遠い昔に聞いた歌のように、聞いたことは憶えていても確かには思い出せない、そんな存在でいいよ。“
    大切な人には、わたしを失った悲しみなんて忘れて欲しい。
    遺書に書きたい1文です。

    今にもこうなりそう、って思うような近未来の話からぶっ飛び展開まで色々あったけど、無機質に見えるような世界でも、AIとより近くなった世界でも、人のあたたかさや優しい繋がりはいつもそこにあって感動したし、嬉しかった。
    SF読みなれてない方にもおすすめです。

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著者プロフィール

声優、エッセイスト。父に作家の池澤夏樹、祖父に作家の福永武彦を持ち、自身も「ダ・ヴィンチ」や新聞各紙で連載を持つなど文筆家としても活躍。台湾渡航歴は50回に迫り、台湾への愛を詰め込んだ自身初の旅グルメガイドブック『最愛台湾ごはん 春菜的台湾好吃案内』は、各方面から絶賛され、話題を呼んだ。台湾好きは食にとどまらず、東京・小石川で変身写真館「ミニーナ」を主宰。高級評茶員、中級茶藝師、紅茶アドバイザーの資格を持つお茶マニアでもある。

「2021年 『火守』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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