魂婚心中

  • 早川書房 (2024年6月19日発売)
3.07
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本棚登録 : 1591
感想 : 130
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  • 本 ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152103376

作品紹介・あらすじ

死後結婚用マッチングアプリ「KonKon」が普及した社会で、推しのアイドルの秘密のKonKonアカウントを見つけてしまい感情爆発した社会人女性がとんでもない凶行へと驀進してしまう表題作のほか、この現実とちょっとだけ異なる世界の謎と関係性の物語、全6篇!

感想・レビュー・書評

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  • 超★5 今年イチ推しのSF&ミステリー作品集、発想力と深堀力と文筆力にシビレまくり! #魂婚心中

    ■きっと読みたくなるレビュー
    超★5 おもろい!
    作品をあつめた短編集の括りだったら、今のところ今年No1です。素晴らしい!

    最初の一行から一気に世界に引き込み、ラスト一行で切れ味鋭く仕留めてくる。SFでありミステリーでありエンタメでもある。これまでにも増して文章が洗練されていて文芸としても高品質。さすが短編の名手ですね、参りました。

    あらすじや設定を言ってしまうこと自体がネタバレ気味になっちゃうので、控え目にしているつもりです。もし気になる人は読了後に読んでくださいまし。

    ●魂婚心中【おすすめ】
    一風変わった婚活アプリを背景にした、なんかずれている人の物語。トンデモな設定に感服、数年したらホントに出てきそうなアプリ。

    個人の社会の隙間の歪みを感じることはよくあって、悩んだり苦しんだりする気持ちは分かるなぁ… 人生経験だとは思うんですよね、年齢を重ねるとバランスがとれてくるというか。人の意見を聞きすぎるのは良くないけど、人の意見をよく聞いて考えると正解率があがってくる。

    ただ解決できれば良いという問題ではなく、社会に馴染まないといけない社会がどうかしてるんすよね。

    ●ゲーマーのGlitch【おすすめ】
    背景となっているネタはRTAですよね。私も動画サイトで見たりしますが、実況のセリフとか、めっちゃリアルな書きっぷり。ゲームの中でもRTAなんて末期的な遊びだし、かなりニッチな世界だと思うのですが、よく小説の舞台に取り入れましたね。まずこの情報収集力と発想力がスゴイわ。

    終盤予想しなかった情報提示からの展開が秀逸、世の中に無駄なものなんてないよねって思わせてくれて大好き。

    ●二十五万分の一【おすすめ】
    ある特殊な世界における女学生の私と先輩の物語、掌編。

    永遠のテーマ「愛と死」について、幻想的かつ哀愁たっぷりに描いています。こんだけ短い掌編なのに、しっかりと心臓を掴んでくる。

    ●閻魔帳SEO 【超おすすめ】
    実はインターネット企業に勤める私、背景になっているSEOがなんたるかはすぐにわかりました。業界や仕組みのことを良く調べてるし、死後の世界と掛け合わせて物語を生み出すなんざ、控え目に言ってクレイジーですよ(誉め言葉)。

    登場人物にクマールって人物がいるんですが、あの言葉のもじりですよね… 一応業界人なんで、この人の叫びややりたかったことがわかるわー。でもね、Xxxxxxには勝てないんです、うん。

    ラストのネタわかる人いるのかなー、私は昭和のゲーマーなのですぐにわかりました。伝説の誤植と言われるアレすね。これがやりたかったから、中盤にあんなエピソードをぶち込んできたのかと思うと、ニヤニヤがとまらないです。良く知ってましたね、先生の(無駄な)知識に感服です。

    ●この世界には間違いが七つある 【超おすすめ】
    惚れた… こんな作品を書いた芦沢先生にベタ惚れです。いつも女性ならではの優しい視点で描くのがお上手な先生ですが、行きついた作品がこれですよ。もう最高。

    物語としては狭い空間の閉ざされた人々の悲劇が描かれる。カテゴリーとしてはスリラーなんでしょうが…もうこれ以上は言えない。

    ●九月某日の誓い【おすすめ】
    家を出ることを許されない少女と、使用人として奉公している女性の物語。

    この作品も先生の強みが爆発した一編ですね。心理描写を場面展開や分かりやすいセリフで伝えるのではなく、わざとらしくなく可憐に表現してる。すげー難しいと思うんだけど。さすプロ。しかも私なんて父親世代だから百合っぽさが美しすぎて尊いんですよ。沁みるー、超沁みるー

    幻想的なお話と思いきや二転三転、しっかりロジック固めてくるし、品質高すぎ問題です。いい作品でした。

    ■最後に
    気づいてみれば、全作品に【おすすめ】マークを付けてしまいました。そのくらいおもろい、控え目に言って必読です。

    豪華作家陣が語る特別解説リーフレットがついてきましたが、いつも本のレビューを書いてる身としては痺れましたね。皆さんさすがの文章芸で、たった500文字程度で作品の筋や魅力をネタバレなしで語りつくしてる。やっぱりプロは違うなー、お手本にさせていただきます。

    • おびのりさん
      こんばんは、秋さん
      私、芦沢さんのトークイベント&サイン会のチケット取れて、この新作その時手に入るので、
      レビュー読まずに、いいね!しちゃい...
      こんばんは、秋さん
      私、芦沢さんのトークイベント&サイン会のチケット取れて、この新作その時手に入るので、
      レビュー読まずに、いいね!しちゃいます。
      でも⭐︎5ですよね
      私は芦沢さんのファンなので、すごく楽しみです
      2024/06/24
    • autumn522akiさん
      おびのりさん、コメントありがとうございます。
      ご本人にお会いできるの羨ましい!いいなぁ~
      ぜひぜひ楽しんできてね!
      おびのりさん、コメントありがとうございます。
      ご本人にお会いできるの羨ましい!いいなぁ~
      ぜひぜひ楽しんできてね!
      2024/06/25
  • 今まで雑誌等に掲載されていて、単行本に収録されていなかった短編6編を 芦沢さんの15冊目としてまとめられたもの

    「九月某日の誓い」で日本推理作家協会の推理小説年鑑に選出され、芦沢さんのSFへの憧れが現実となり、新たな世界観を読ませてくれるSF作品集

    芦沢さんは、小説を書く時ものすごく書き込んでから、削って削って仕上げているとのことで、その仕上がりがシャープなところが、好きなところ
    なのかなって思ってる

    タイトルになった
    「魂婚心中」は、現実にある“死後婚”の風習からの着想らしい 未婚で亡くなった子供のため死後結婚式を挙げるというもの
    アジア圏で“冥婚”と呼ばれている物は、一部地域ではまだ残っていて、若い女性のご遺体が高値が付くとか
    現実がかなりミステリアスな状況なので、ここから推し活の行き着く先として創作仕上げたのはさすがだなと思いました
    「二十五万分の一」
    嘘をついたら消えてしまう、という世界観
    それを調整する役目を負う一族の少女
    彼女らだけがその事実を知っている
    その少女が、それでも嘘をつくことを選んだその理由 これが一番芦沢さんぽかった

    ゲームを全く知らないのでそれ系の話は全く分からず 知っている方には面白いかな

    • おびのりさん
      読みましたよお
      トークイベント+サイン会 で入手しました
      読みましたよお
      トークイベント+サイン会 で入手しました
      2024/07/10
    • 1Q84O1さん
      でたー!
      サイン本ですか(゚∀゚)
      でたー!
      サイン本ですか(゚∀゚)
      2024/07/10
    • yukimisakeさん
      死後婚の派生系のホラー見た事あります!生きたまんま…:( ˙꒳​˙ ):
      死後婚の派生系のホラー見た事あります!生きたまんま…:( ˙꒳​˙ ):
      2024/07/11
  • 芦沢さんの不気味で嫌な気持ちにさせるようなミステリーが好きだったので、著者の最新作である本作も手に取りました。短編集なのですが、どの短編も設定に斬新さがあるミステリーで他の作品にはない魅力があったと思います。

    以下、印象に残った短編のあらすじと感想です
    「魂婚心中」
    死者同士の婚活アプリが流行る世界で、推しのアイドルとの死後婚を行いたいと望むオタク女性の物語。
    この作品が個人的には1番好きでした。特殊な設定の中、芦沢さんらしいオチが見られてゾクッとするとともに、やっぱりこういう予想の斜め上を行く展開は好きだなぁと思いました。

    「九月某日の誓い」
    大正時代、あるお屋敷で使用人をしている女性と、その主人公が仕える娘の物語。主従関係はありながらも、気の置けない仲である2人の周りで、不審な死が立て続けに起こり、主人公がその原因を探るというストーリー。
    本作はオチのインパクトというよりも、ストーリーの展開力がすごい作品だったと思います。本作は短編集の最後の作品になるのですが、これまでと違ってSF要素がなかなか出てこず、少し焦らされる感じはあります。しかし、本作のSF要素がわかってからは話が急加速し、2人の関係性の変化と心理描写に引き込まれました。

  • 6篇の短編集

    こんな世界がこれから先にあってもおかしくないなぁと思ってしまう。
    どこかでこんな世界が存在してるのではないかなぁと思ってしまう。
    不思議だけど、どこか納得してしまう。
    それぞれの世界観がしっかりわかることと、その世界の人物達の感情や行動があまりにリアルに感じるからかしら。

    特に好きだったのは
    「魂婚心中」 オタクの鑑ですよ!!

    「二十五万分の一」 この短さでこんなに心動
    かされるなんて!!本当にすごい!!

    「九月某日の誓い」 全ての真実が明らかにな
    ったとき、二人がともに強く生きて欲しいと
    思った!!

  • 魂婚心中(こんこんしんじゅう)、どういう意味?って素朴な疑問から手にとり、購入した作品。まず芦沢央さんが初のSFって気になる。そして帯がやばい!『死ねば推しと結婚できる』。

    全6話の短編集。⭐︎5あげたい作品と⭐︎2が混ざっていて、やっぱり、芦沢さんらしい作品が良かった。『9月某日の誓い』はさすが芦沢央!購入して良かったと思えた作品でした。この作品で200ページ読みたい!

    『25万分の1』も数ページの超短編だが、この作品も◎。

    逆に『ゲーマーのグリッジ』や『閻魔帳SEO』は
    まったく合わなかった。珍しいくらい、合わなかった。

    そして『魂婚心中』もSFというより、特殊設定って感じ。特殊設定はミステリ要素がないとこんなことになるんだと実感。
    推しの配信者をアイドルに推し上げた先に、推しに興じた人ならではの何かが欲しいじゃん。ほわっと終わっていく。ワタシ何か見落としたんだろか?

    体力ある時再読かな、こりゃ。

  • 自分の中でイヤミスの女王と思って止まない芦沢央作品、だったんだけど、この本はファンタジー&ミステリーの要素が強かったがインパクトは果てしない。表題作「魂婚心中」は気持ち悪い。死後にマッチングアプリで「konkon」で結婚できる。死んだら、同時期に死んだ人と一緒に納棺、焼かれる。相手はなんで死んだんだ?色んな事を考えると吐き気がする。自分の推しがこのサイトに登録済皆ので一緒に死ぬことを夢見る話。それ以外にも「この世界には間違いが七つある」など。芦沢央さんの世界観、分かる話もあれば分からない話も。疲れた。④

  • 今まで読んだ短編集の中でも頭ひとつ抜けて面白かった。芦沢央さんが気になっていて積読はいくつかあり、どれから読もうかなと思ったところ「SFミステリー」とあり手に取った一冊。何でこんなに評価が低いのか分からないほど一編一編のオチで度肝を抜かれ、どれが1番好きか決めるのが難しいほどである。それでも決めるとしたらこの世界には間違いが七つあるのラストが1番衝撃を受けたかな。他の作品も評価が高いので楽しみである。

  • 芦沢央さん、読んでるつもりで実はあまり読んでなかった作家さん、、、w

    本作でまだ3冊目でしたΣ(´∀`;)
    読んだのは全部短篇、今回も短篇集

    本作はSFミステリ短篇集として6作品を収録

    ん〜、ちょっとよくわからないです、、、

    「ゲーマーのGlitch」がちょっと面白かったのかな、、、

    ん〜、ちょっとよくわからなかったので、もうレビュー終わります(´-﹏-`;)

    早っ!

    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん

      気になりますか〜w
      読んでみますか〜w
      お勧めはしませんが…w
      mihiroさーん

      気になりますか〜w
      読んでみますか〜w
      お勧めはしませんが…w
      2024/08/14
    • かなさん
      私もこの作品、一度手にしたんですが
      読み切れなかった(^-^;
      よくわからない世界観でレビューしようがなくって…
      そっと図書館に返却し...
      私もこの作品、一度手にしたんですが
      読み切れなかった(^-^;
      よくわからない世界観でレビューしようがなくって…
      そっと図書館に返却しました!
      ふがいない…私の読解力では太刀打ちできませんでした(涙)。
      「夜の道標」は面白かったんだけどなぁ…。
      2024/08/15
    • 1Q84O1さん
      かなさん

      そっと返却…w
      かなさんもダメでしたか(^_^;)
      私もレビューはポーイです!w
      (╯°□°)╯︵ ┻━┻
      かなさん

      そっと返却…w
      かなさんもダメでしたか(^_^;)
      私もレビューはポーイです!w
      (╯°□°)╯︵ ┻━┻
      2024/08/15
  • 死後結婚ってよく考えると怖い、、、
    お葬式後のおめでとうと言われる世界線、、
    想像するだけで怖くてリアルな短編でした。

  • 芦沢央・最新刊『魂婚心中』(6/19発売)刊行記念イベント開催!|Hayakawa Books & Magazines(β)2024年6月8日
    https://www.hayakawabooks.com/n/n915a7430591f

    インタビュー 作家 芦沢央さん|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
    https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/interview/027/index.html

    直木賞候補作家インタビュー「怖い、けれど読むのを止められない」――芦沢 央 第164回直木賞候補作『汚れた手をそこで拭かない』 | インタビュー・対談 - 本の話(オール讀物2021年1月号より)
    https://books.bunshun.jp/articles/-/6032

    芦沢央 | ダ・ヴィンチWeb
    https://ddnavi.com/person/1336/

    Q-TA(@qta3) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/qta3/?hl=ja

    魂婚心中 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015841/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <訪問>「魂婚心中」を書いた 芦沢央(あしざわ・よう)さん:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/...
      <訪問>「魂婚心中」を書いた 芦沢央(あしざわ・よう)さん:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1040596/
      2024/07/22
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      おびのりさん
      「芦沢さんのイベント1箇所申し込みました」良いなぁ(1ヵ月も前の話を今更、、、スミマセン)
      おびのりさん
      「芦沢さんのイベント1箇所申し込みました」良いなぁ(1ヵ月も前の話を今更、、、スミマセン)
      2024/07/22
    • おびのりさん
      こんばんは
      こちらこそ わざわざ返信ありがとうございます
      しっかり楽しんできました♪
      サイン本もしっかり手に入れました
      こんばんは
      こちらこそ わざわざ返信ありがとうございます
      しっかり楽しんできました♪
      サイン本もしっかり手に入れました
      2024/07/22
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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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