- 本 ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152103468
作品紹介・あらすじ
仏軍セネガル兵アルファは、友人を看取っていた。痛みから解放するため殺してほしいという友の願いは叶えられないまま。恐怖と罪悪感に取り憑かれたアルファは、やがて敵兵を捕らえ、残虐な儀式をくり返す。第一次大戦の兵士の心理を描くブッカー国際賞受賞作
感想・レビュー・書評
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神の真理にかけて、とても怖い読書体験。1ページ目から読者を闇に引きずり込む力がある。フランス軍で戦う20歳のセネガル人兵士。兄弟同然の同郷の兵士の死から狂気は始まる。軍の中でも恐れられ離脱させられるが、後半の病院体験で怖さが上書きされつつも、故郷の美しくも悲しい記憶で「そういうことだったのか」と頷く。このとんでもない物語をどう終わらせるのかと思っていると、意外な、神話的、寓話的転換で幕を閉じる。やや唐突ながらうまい。
第一次大戦小説というわけではない。作家はWW Iでフランスがセネガルから兵士を動員したという枠組みを利用し、戦争という巨悪と死、人間性についての普遍性を語る。
文章もユニーク。「神の真理にかけて」というフレーズが1ページに2回は出てくる(ほんとに)読者は主人公が全力で語る「神の真理」を丸呑みせざるを得ない。翻訳にどのような工夫があったのかも興味深い。 -
第一次大戦の白兵戦の最中、腹を切り裂かれ苦しみに耐えかねる友人から「殺してくれ」と懇願される…余りに恐ろしい場面を経験した兵士の問わず語り。
決して百年前のことではない。今もウクライナなどで続く戦争で同じ場面が起こっているのでは、と思う。戦争指導者にこの本を読ませるべきだ。 -
神の真理において
という言葉が何回出てきたか数えておけばよかった。