- 本 ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152103482
作品紹介・あらすじ
企業や政府に助言を与える国際的なコンサルティング会社、マッキンゼー。輝かしいパブリックイメージに隠された裏の顔をジャーナリストである著者らが暴く。レイオフの推奨、安全性の不整備、労災の隠蔽……過剰な利益の追求が労働環境を悪化させていた――。
感想・レビュー・書評
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「人類の歴史の方向性を決定している秘密結社など存在しない。しかし、マッキンゼー・アンド・カンパニーは実在する。」
クライアントファーストのもとに、化石燃料の企業の利益を最大化させたり、中毒性の高い医薬品の普及を手助けしたり、独裁政権のサポートをしたり、、、 -
マッキンゼー、や非常に良く聞くコンサル会社ではあるが、その実態は全く知らなかった。
それこそ、影の政府とはマッキンゼーだったのかと思うほどである。
多くの非常に優秀で、理想を追い求める若者が、この組織に組み込まれて、もっと不正な業務をやめさせるべきなのに、なぜそれが出来ないのか、とても不思議だ。
世界の非常に多くの、非常に深刻な問題について、問題を悪化させ続けるコンサル会社、存在自体が悪そのもののように思えてくる。実に恐ろしい。 -
14章に分かれており、各章で別々の案件におけるマッキンゼーがどのような支援をしていたのかを具体的に記した本
マッチポンプになっている案件や人道的に問題がある案件など切り口は複数あるが、基本的には自社の利益を追求する中で社会的に負の影響が多いことをしているという批評的な文脈で語られている
1,2章読む分には面白いが、基本的には同じ構成のため全体を読む必要はない -
守秘義務に守られたマッキンゼーについて内部情報に基づいて実態を暴いた書。主に競合する会社や規制側と被規制側とに同時にコンサルティングサービスを提供する実態、腐敗したり道徳的に課題がある企業や行政に対するサービス提供の課題がいろいろな角度から取り上げられる。いろいろな事例から、マッキンゼーのみならず、行政と民間との癒着といった課題も浮き彫りになる。
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世界の名だたる企業、政府機関の頭脳のように振る舞ってきたマッキンゼー。
本書はその暗部を暴露したもの。秘密めいたマッキンゼーの内部をここまで報じることができるとは。NYタイムズの調査報道恐るべし。一方、それだけ内部の情報源が多いとなれば、批判的に感じている人も多いということか。
本書の事例は、うちがやらなければボストンコンサルがやるだろう、という発言の通り、倫理とビジネスのどこにでもありそうな葛藤を問うものから、オピオイドのように明らかに悪を助長したものまで様々。その点はバラバラで冗長に感じる点も多かった。
本書には政府機関が内部のルールをねじ曲げてまでマッキンゼーと契約しようとする場面が出てくる。またそこまでではなくてもマッキンゼーのアドバイスを求める企業は引きも切らないがなぜなんだろう。何がそこまでさせるのか。お付き合いしたことがないので興味がつのる。 -
よくこんな冗長な本を書けるなあ、とは思う。
企業には、それぞれ良い面も悪い面もあるだろう。
良い面も触れた上で、どうなのか、と結論して欲しいものだ。
マッキンゼーの経営層は、高額の報酬をもらう。
そのためには、どんな手を使っても稼ぐ必要がある。
クライアントが儲かることならなんでもする。
クライアントとは現場ではなく経営者層。
彼らが金儲けするためには現場を切るし、
エンドユーザーたる消費者の立場を弱める。
また、同じ業界内でも違うクライアントと同じテーマで仕事するし、利益相反たるクライアント同士の両サイドを支援する。
政府や企業に入り込むためには、関係者の採用も厭わない。
とまあ、こんな感じだ。 -
丸善にて平積みされていて興味持ち、読んでみた。
本文だけで380ページ程。文字も詰まっていて馴染みのない業界の話もあるので、読むのはちょっと大変だった。が、様々な資料にあたり、匿名も含めた多数のインタビューを通して、どんな仕事をしているかがイマイチ分かりにくいマッキンゼーの一端を知ることはできたという意味で、貴重な一冊。かつて読んだ本でマッキンゼーのやり方に違和感を感じた著者の言葉があったが、これを読むとより解像度は上がる。
いくら崇高な主張をしていても、クライアントと自分達の利益のためなら、企業だけでなく規制する政府とも仕事をする。一歩違えばマッチポンプとも言えるようなやり方は、倫理的に疑問符を持たざるを得ない(少なくともこの本で出た、冒頭含む15の案件は)。この辺は以前読んだゴールドマンサックスとも重なるように感じた。元マッキンゼーは、(どんな仕事してるかにもよるが)注意した方が良さそう。