「未来」を発明したサル 記憶と予測の人類史

  • 早川書房 (2024年8月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784152103536

作品紹介・あらすじ

太古の昔、サルとヒトとを分けた最大のファクター。それは未来を予測する「先見性」だ――先史時代の遺跡の研究からカラスやイルカの知性との比較まで、豊富な事例と丹念な実証で人類を地球の覇者へと導いた力の秘密を解き明かす、傑作ポピュラー・サイエンス

みんなの感想まとめ

未来を予測する能力に焦点を当てた本書は、人類がどのようにして先見性を持つようになったのかを探求します。著者は、ヒトとサルの違いを明らかにしながら、記憶や期待が未来を考える力にどのように寄与しているのか...

感想・レビュー・書評

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  • 前もどこかで書いたが、我々のアイデンティティとなるパトリオティズムとは「根差す物語」であり、生まれながらに集団の一員としてその社会制度や歴史認識と自我との相互作用の果てに形成される〝過去“である。他方、その集団を拡大するために取られたコスモポリタニズムこそ、宗教や思想などの「目指す物語」であり〝未来“である。

    記憶は予測のために用いられるのだが、それは類型を見抜く演繹であり、予測はそこから未来を措定する帰納であって、この標榜を戦略的に操作するのが共同幻想化。複雑な事象を組み合わせて推論し、かつ我欲に結び付けて戦略的に説得するのが人間の特徴だ。

    本書は、それを先見性と呼び、進化人類学、脳科学的な見地から考察を述べたもの。擦り倒されたようや論述が多くて目新しさはないが、こういう話は何度聞いても楽しくて、論文からというより、それをきっかけとした自らの思索の中で、それなりに新たな発見がある。

    ー 幼児は他人の動作の意味を理解しているかどうかに関係なく、律義にまねる。この「過剰模倣」のおかげで、無知な若者でも、他人が苦労して学んだ教訓を、将来の役に立つかよくわからないまま受け継ぐことができるのだ。過剰模倣は文化を効率よく進化させる。なぜなら、問題の解決法を完全に理解していない者同士でも、その内容を伝え合うことができるからだ。

    ー 無意識の文化進化ばかりが注目されている今の風潮は、人間の賢さを軽視することにもなりかねない。たしかに、人間はチンパンジーより社会的に維持された伝統に依存する度合いが高く、過剰模倣は、人間が文化的な形質を効率的に蓄積できている一因だろう。一方で、人間は認知的ニッチも活用している。先見性は、おもに二つの方法で人間の文化を進化させている。それは「教育」と「イノベーション」だ。

    今回、特に頭に残ったのは〝過剰模倣“という概念。理屈や倫理観ではなく、単に模倣する習性の存在と、そこから逸脱したもの対する羨望、嫉妬、蔑みなどの内発的感情の意味について。過剰という表現もにくい。人間は理屈なく、盲目的に他者を真似ているというのだ。

    多様性みたいな脱競争や競争そのものと模倣とはメカニズム的には対立しそうだが、恐らく、時系列的には最初に模倣があり、ルールを確認した上で競争が成立し、競争の中で多様性を認めていくという順序があるはずだ。未来を定めるにも、こうした順序があり、それを定説とするには、教条主義や学際主義、権威主義的な手続き論が必要。長くなりそうなのでここまでにするが、とにかく、その本質を表層的は所で分かりやすく抉る本。

  • あまり面白くなかった

  • 佐賀大学附属図書館OPACはこちら↓
    https://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD08205432

  • ふむ

  • ズデンドルフ『現実を生きるサル 空想を語るヒト』(白揚社)のいわば続編。
    著者のSuddendorfはドイツ出身、修士課程までドイツ。そのため前著では著者名がズデンドルフになっていた。今回の本書では、英語圏(NZ&AU)での生活も長くなったため、英語風にスーデンドルフ。著者名で混乱する人もいるかもしれない。なお、共著者の2人は彼の教え子。
    前半では、未来を思い描くというヒトの能力にスポットをあてる。出来事を詳細に記憶する能力(episodic memory)は未来に対しても用いられる。この能力こそが期待や予測をもたらし、時間の計測をもたらし、ヒト特有の旅や移動をもたらした。後半では、その延長線上で、暦や計時の装置、旅の道具、未来予測が扱われている。
    心理学の本としては、後半の話題に飛ぶまえに、ワンクッション、身近な話題に触れた章があったほうがよかったかもしれない。たとえば、希望や不安、投機やギャンブル、囲碁や将棋やスポーツ、来世や宗教、神話や物語、天気や地震の予測……。その章があれば、さらにふくらみのある本になったかも。

  • 人間が持つ高度な認知能力 予見性について、ティンバーゲンの4つのなぜ を元にして説明する本書。人類が長い歴史をかけて発明してきた自然(社会)現象の予測とその制御の威力について改めて驚かされる。

  • 作者達は先見性に魅了され、「先見性はどこから生まれ、どういう働きをするのか?」を徹底的に考察してきた変人達である。

    人間の先見性はいろいろな意味でお粗末だってことにコロナの世界的パンデミックで思い知らされ、「実際には起きないことが起きると予測するし、実際に起きることを予測できないこともしょっちゅうある。」と思い知らされた。

    コロナ禍では人間の先見性の矢点が露わになり、自信満々の予測が全く当たらず、対策の多くは思ったほど効果がなかった。けど、先見性の力を見せつけた時期でもあり、ワクチンが迅速に開発されたし多くの人が免疫を獲得した。人間は心のタイムマシンによって誤った道を行くこともあれば、新たな力を得ることもあるのだ。

    ところで、最終目的地点は肉体を捨て、意識だけの世界(まあアバター的なものはあるとして)になるのでしょうかね。

    とりあえずね、本を読み、映画を観て、未来を想像しますかね。

    ここでルソーさんから一言
    「予測には、すべてを見通すことはできないという意識が必須だ」

  • 原題「The Invention of Tomorrow」。

    未来を予測して現在の行動を決定する先見性が、ヒトとそれ以外の動物を分けるファクターだとする「心のタイムトラベル」理論について。

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