「ほどほど」にできない子どもたち 達成中毒

  • 早川書房 (2024年12月18日発売)
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本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784152103895

作品紹介・あらすじ

現代の中高生は成功へのかつてないプレッシャーにさらされており、アメリカの成績優秀校では、不安症や自傷行為の割合が急増している。なぜ彼らは目標達成を渇望し、それに満たないと自身には価値がないと思うのか。現代社会に潜む「有害な達成文化」を明かす

感想・レビュー・書評

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  • ‘Never Enough’ Review: How to Give Your Kid a Life - WSJ
    https://www.wsj.com/arts-culture/books/never-enough-review-how-to-give-your-kid-a-life-f6cde35d

    Jennifer B. Wallace
    https://www.jenniferbwallace.com/

    Reiko Nobuto|note
    https://note.com/reiko_nobuto/

    達成中毒 ジェニファー・ウォレス(著/文) - 早川書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784152103895
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    (yamanedoさん)本の やまね洞から

  • タイトルを見て気になったので読んでみました。

    「ほどほどにできない子どもたち」とありますが、ほどほどにできないのは、親からのストレスやプレッシャーのせい。
    とくに、高学歴や優等生的な振る舞い、アスリートとして優秀であることを求められることによるストレスやプレッシャーが、子どもたちを「ほどほどにできない状態」つまりは「達成中毒」のような状態に追い込んでしまう。
    そんな子どもたちを、不要なストレスやプレッシャーから解き放ち、子どもたちが置かれた環境をより適切にしていくために、親として接し方をどのように変えていけばよいのかを述べたのが本書。

    アメリカの話ではありますが、日本でも同じようなストレスやプレッシャーを感じている子どもは多いはず。
    そして、自分自身は、親として、そういったストレスやプレッシャーの原因になっている可能性を感じ、これまでの子どもへの接し方を反省するとともに、子どもへの今後の接し方を考えながら読み進めることになりました。

    子どもは、高学歴でなくても、振る舞いが決して優等生でなくても、いるだけで価値のある、誰かにとって大切な存在であることを、親として理解することの大切さ、そして、その理解を子どもに対してどう表現すべきかを、本書は丁寧に説明しています。
    たとえば、過剰と思えるような授業の履修やスポーツに対する取り組みは軽減し、その代わりに、地域の人に役立つような活動を促すことは、子どもが、誰かの役に立つことを感じることにつながり、そしてそのことは、自分自身は誰かにとって大切な存在であることに気づくことにつながる。
    そういう経験を積み重ねることで、子どもは、自分自身を大切にできるようになるとともに、周りの人も大切にするようになる。
    そんな事例がたくさん紹介されています。

    ちなみに自分は、社会人になってからずっと、職場のメンバーとの「仲間意識」を大切にしてきました。
    そして、本書でいう「大切」さは、自分が大切にしてきた「仲間意識」に近いものだと感じました。
    「大切」の形はきっと一つではないですし、これからも職場では「仲間意識」を大切にしていこうと思いました。
    そして同時に、子どもの「大切」さを、これまで以上に考え、具体的な行動に移していきたいと思わせてくれた、そんな一冊でした。

  • 2025.4.4.市立図書館
    Blueskyで新刊情報をみて興味を持ったので予約を入れて借りた。アメリカで貧困層の子どもの困難度を相対化するために優秀で恵まれた層の子どもたちに同じ調査をしたら、優秀で恵まれた子どもたちのほうが終わりのない成果主義の中でむしろ困難度が高く苦しんでいるというデータが出てしまったことをきっかけに、三人の子の母である著者が全米の親子に取材をしてまとめた本。

    読み進めていくと、日本や東アジア各国の過熱した受験競争と同様に、アメリカの一部の進学校/トップ校の競争も苛烈なのだとわかる。北米では日本のようにサッカー漬けとか野球漬けにするのではなくスポーツクラブなどで季節ごとにいろいろなスポーツに取り組ませるのだというのも昔の話なのだろうか。こどもは親の気持ちを忖度して身を削るような競争に自ら巻き込まれていくのだが、親もよい親でありたいと思いつつにっちもさっちも行かなくなっている感じ。日本でも大学入試で総合型や推薦入試の割合が増え、就職活動も長期化して勉強だけではない総合的な評価が求められるようになり、状況としては似てきているとも言える。

    この5年ほどで日本にもひろまったBLM(Black Lives Matter)からの「Matter=大切さ」に加え、「母の友」最後の1,2年のキャッチコピー「子どもは大事、私も大事」や東畑開人が説く「ケア」の大切さと価値、「働いているとなぜ本が読めないのか」で三宅香帆が提唱した「半身で働く」に通じる話がくりかえされ、あれもこれも求められた人々が疲弊しきっているこの流れは日本だけでなく世界的なものなのだなと思った。

    こうした行き詰まりをうむ社会構造は簡単には変わりそうになく、そこから個人が抜け出すというのも容易ではなく、「大切さ」「信頼」といった枠組みを意識して社会規範から適度な距離を取り親も子もほどよいバランスのとれた日常を心がけるというのは焼け石に水の感もあるし、巻末付録のおすすめ「できることリスト」(家庭編だけで二十余もある)を完璧に実践するのはまず無理だしそれこそ矛盾になってしまう。やっぱり簡単な特効薬なんてないよね、というのが正直な感想。

    とはいえアメリカのエリート家庭の親子の様々な現実の姿を知るだけでも得るものは多かった。

  • 子育てする親として読んでおきたい本
    子どもに成功や幸せを与えたいと誰もが思うが、それっていったいなんなんだろうか?行き過ぎた物質主義は幸せからどんどん遠ざかってしまうのだなと感じた
    徹底育児についても思い当たる節が大いにあった。現代は自分を犠牲にしてでも子育てにコミットすべきだという考えが蔓延しており、私自身もその呪縛に囚われている
    しかし、自分自身を大切に出来なければ、子供も自分を大切にすることを学べない、というのは目からウロコだった

    子育て中で自分のやりたいことは後回しにする癖がついているが、自分自身も大切にする必要があるなと感じた

  • 優秀であれという過剰なプレッシャーにさらされる子どもたち、子どもの強みを見出し伸ばさなければと躍起になる大人たち。
    そうした米国の教育事情は日本にも通ずるものであり、非常に興味深かった。

    大事なのは「大切であるということ」(mattering)

    子どもの存在そのものに価値があることを伝えること、そうした実感を得られるように家族以外に見守ってくれるコミュニティをつくったり、家事を担ってもらう、やり過ぎを止める勇気を持つこと。何事もほどほどにやっていきたい。

  • この世の地獄の一端を垣間見た。
    「ほどほど」にできない、とは、能力的なものではなく、社会の状況的にできない、という意味。
    おそらく、日本でも同様のことが起こっているだろう。中学受験界隈とか。

  • アトム、火の鳥、ガッツ乱平。

  • 【選書No】157

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