- 早川書房 (2025年1月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784152104014
作品紹介・あらすじ
資本主義の果て、大いなる格差に覆われる現代。教育やヘルスケアを「脱商品化」するには? 左派はなぜ世界的に弱体化したのか? 大学入試や議会選挙にくじ引きを導入すべき? 当代一の経済学者と政治哲学者が相まみえ、真の「平等」をめぐり徹底的に議論する
感想・レビュー・書評
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「脱商品化」という考え方。
金で買えないものはない、という定型句を聞いたことがあるが、こうした考え方に対するアンチテーゼである。「売らない、商品にしない」という心掛けが試される。
というのも、超金持ちはその元手となる金を運用してさらに増殖させていく。だが、幾らお金があっても「売る側が〝平等“を演出する」ことで、超金持ちも一般も同じになるのだ。
例えば「お一人様一個まで」。これは売る側の共産主義であり配給制に近い。金さえあれば幾らでも買い占められる商品ではなく、皆に行き渡る商品に脱商品化されているわけだ。
他にも「私たちは買われた」ではなく、「私たちは売らない」ことが徹底できるなら、金持ちが他者の尊厳まで金で支配する事は止められる。
〝財の利用機会“を制限する。お金の再分配は現状どおりだけれども社会生活は脱商品化されるとしたら、社会はどうなる?
今でも自発的に「お一人様一個まで」をやっているのは、買えなかった人からのクレームを避け、お客をファンとして繋ぎ止めたいという動機があるからだ。そうでなければ、手っ取り早く売り切れた方が良いはず。
つまり〝評判“を重んじるという事。
これはお金のために尊厳まで手放さない、という姿勢にも通ずる。
これを一歩押し進め、次に指摘するのが、学歴偏重主義という偏見。仕事の尊厳は重要な問題だが、大学の学位がなくても共通善に貴重な貢献をおこなっている人たちがまったく認められず、学歴による不平等、ブルーカラーの軽視という現象が起きている。
平等性の切り口として、お金のことだけではなく、評判や尊厳から考えてみるという視点を与えてくれる本だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
だいたい海外の学者さんが書く本は分厚くて怯んでしまう。でもこの本はスター学者2人の議論をたのしめるしな、とミーハー心とコスパ精神から取り寄せましたが、手にとってみれば150ページ強という薄さ。対談なのでさらにリーダブル、という読みやすい本でした。対談ものは日本以外はあまりウケない、とどこかで読んだ気がするけれどそんなこともないのかな?内容についての自分の理解としては、我々は特にここ数十年の政治的社会的経済的体験をもとにいわゆる個人にあらゆる責を帰す「公正社会仮説」信者状態だけれど、そのよって立つ足場はあらゆるものが商品化された「市場」だよー。ということ。2人の学者は大きくは脱商品化と人としての尊厳の回復、というもう一つ下の足場の強化が必要だと考えているのかな、と。それには政治レベルの改革と、地べたからの運動、両方やっていくのが良いのではないか、という感じでしょうか。頭の中がだいぶ整理された感じでよい読書になりました。
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「平等」というテーマを経済、政治、尊厳の3方向から、ピケティとサンデルが語り合う対談集です。平易な文章で書かれていて、とても重要な内容だと思います。
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哲学者と経済学者、著名なふたりの対談。
平等について語るといっても、まずは「平等」とはなにかを考える必要がある。この二人はどちらかというと、富の再分配による教育や医療等の充実を重要視しており、自分の考えにも近いので読みやすかった。
その中で、「尊厳」や「承認」が重要だとしており、ああなるほど、先を見ないと社会はうまく回らないのだなと感じた。
多くの人が読むべき本です。 -
この2人の討議は非常に面白い。
ただ自分の国際政治・歴史の知識が足りないだけに十分に理解できたとは思えないのが悔しい。
色々読んでまた帰ってきて、2人と一緒に考えたい。 -
個人的には期待以上の本であった。確かに掘り下げた議論になっておらず、噛み合っていなかったり上手くかわしているだけのところも多いのだが、対談録と言うことで、具体的なデータや筋を追ったわかりやすい議論、ましてや一定の結論を示すというのはそぐわないであろう。むしろ、議論の中から浮かび上がる「平等」と言うテーマに対するスタンス、アプローチの違いこそが重要で、それを把握した上で、自身なりの考察をするに当たって、大変良い本と思う。中でも解説が大変分かりやすく、思考の整理に役立った。
個人的には、サンデルは平等を社会が追求すべき「善なるもの」の定義に関わる前提条件の一つとして捉えている様に思われる。社会が共通善を達成するために必要な器であるとして(アリストテレス的な)、それを達成するためには平等と正義が共通認識として成員の間に共有化されている必要がある、と考えているのではないか。
対してピケティは、平等と言うものは社会が機能する上で備えるべき条件の一つとして認識している様に読める。だからこそ、租税法や富の再分配を通じて、システムとしての平等をいかに整備すべきかに力点をおいているのではないか。解説にある通り、現実政治での実行を優先する立ち位置なのだろう。
まず人々の心の中にある平等や正義、尊厳といった善に関する共通認識が整えられた上で、それを実現する社会システムが整えられるべきなのか。それとも、国家/国家群として再分配のシステムを整備し、富の偏在は正義にもとると言うメッセージを明確にした上で、その中で善に関する共通認識を培うべきなのか。
個人的な見解としては、政治とは何処から税金を取って何処に分配するかを決定する、つきつめればその為だけに存在する技術(アート)だと思っている。その取り方、分配の仕方にその国家が追求する善が示される、という事である(不幸にして、本邦のように何も追求していない様に見える政治もあるが)。その意味では、上記のどちらのアプローチのみでは上手くいかず、両方の組み合わせが必要なのは当然だが、個人的にはサンデル寄りである。何を善とするかの合意なくして徴税システムのみ整備しても、仏作って魂入れずで、人間は抜け道を考え出すだけではないか。
また、何故リベラル勢力が近年、説得力を失ってきたかに関する分析が興味深い。人々の不満が何処にあるのか。十分な賃金が支払われず、富が偏在していること。それを一つの理由として、富裕層から人間として尊重されていないと感じる事。おそらくは両方が理由で、両輪で解決すべきなのだろう。ここでも個人的にはサンデル寄りで、リベラルがいつの間にか富裕層の傲慢を中和する道具(国際協調の御旗の元に)として利用されるようになった、その視点を正さなければ、彼らから税を毟り取ってもまた別の差別を生み出すだけに思える。文中で指摘される通り、これ程便利で、人道色の化粧も着いた思考停止の道具は無いだろうから。もちろん、選択の自由を持てるだけの経済力をすべての人に約束する、下世話に言えばまず腹を満たす、事は必要なのだが。
教育の脱商品化については、両者とも比較的似た結論だが、ピケティが教育の脱商品化により熱心なのは面白い。教育に関わる人達が生活の心配をする事なく、その人達の内在的な動機を腐敗させない為に、脱商品化を徹底的に進めるのは一つの意見であろう。それによって起こる質の低下があり得るかは、議論の範囲を超えるだろうが、少し聞いて見たかった。我が国の議論では、税負担主体や所得格差、公立学校の存続性、私立の過当競争に力点が置かれがちだが、教育と言うものをどう捉え、社会としてどうサポートするかの議論が少し足りないようなのは気の所為だろうか。
それにしても、給付金や税の多寡のみが議論され、社会善や政治哲学の議論を寡聞にして聞かない国に居る人間としては、このような議論がされて、本になるという時点で既に羨ましいと感じる。少し僻みすぎで、私がそういう本を知らないだけかも知れないが。 -
身構えていた難しさはなく、すいすいと読めた(訳も良かった)。
立つところの違う二人なので、質問と回答をし合うことでそれぞれの意見が読者にもはっきりわかるのがまた良かった。
左派・リベラルはトランプやルペンを非難する前に省みる必要がある、というところは特に、その辺りの信条の人々にぜひ読んでほしい、私自身も気づいていなかった痛いところを突かれた気持ち(気づいていなかったことも含めて)。 -
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さすが、現代の知性の先鋭同志のぶつかり合い、丁々発止のやりとりが続いて、圧倒される。
タイトルにあるように「平等」について、互いの考えを披歴し合うが、キーワードは「脱商品化」と「再分配」か。
言うは易し、行うは……の話ではあるが、サンデルさんが言う
「自分の成功は自分の手柄と考え、自身の成功を胸いっぱいに吸いこみすぎて、その過程で幸運や恵まれた環境に助けられたことを忘れ、自分が恩恵にあずかっていることを — あなた(=ピケティ)がおっしゃるように、ほかの人たちのおかげで成功できたということを — 忘れてしまうからです。」
この反省に立って、考えることだという学びがあった。
今、行き過ぎた資本主義が限界を迎えつつある中、既得権益にしがみつく旧態依然の権力が、やれ○○ファーストや、反グローバル化に固執しているが、自分勝手というか、近視眼的で、非常に危ういものを感じる今日この頃。
ピケティさんは言う。
「北側諸国は国際分業と天然資源・労働力の国際搾取によって豊かになってきた。これが、20世紀に北側で発展したタイプの社会民主主義と福祉型資本主義における何より重要な限界です。今後はこれを変えていかなくてはなりません。でないと競争が — とりわけ中国がもたらす地政学的競争が — 西側モデルにとって20世紀のソ連の脅威を上まわる深刻な脅威になるだろうと思います。」
そうなんだよなー、中国や、南側 — グローバルサウス — への危機感からの行動だとは思うのだが、長い目で見て、それは得策ではないと思う。
「脱商品化か再分配かを選ぶ必要はないと思います。歴史的にこのふたつが組み合わさって機能してきましたし、ふたつ組み合わさることで大きな効果をあげてきたわけですから。」
非常に、頭の良いお二人なので、概念的なところでどんどん論理を展開するし、互いの質問に、真っ直ぐ答えずに質問返しにしたりと、ディベートの粋をも尽くしたような高度な会話の応酬に置いていかれそうになるが、言ってることは首尾一貫、平等を獲得するため、「脱商品化」と「再分配」を、政治的、経済的、文化的に進めていくためには、「尊厳や相互尊重」を重視、それなくして、不平等を克服しようという感覚を調達しえない、ということだ。 -
知の巨匠二人による対談集。
平等をキーワードに展開される世界の在り方。
特に機会の不平等という視点で語られる話は考えさせられることが多かった。
自戒を込めて「お互い様」の精神が薄れている気がした。 -
大学入試や議会選挙にくじ引きを導入すべき?
アメリカのトランプ大統領の言動に始まり、
世界中の国で格差が拡大している現在、これだけタイムリーなテーマがあろうか。
しかも、それを語るのが「21世紀の資本」の著者のピケティと、
「実力も運のうち」のサンデル教授!
確かに、ピケティの言うとおり、昔っから世の中は不平等だった。
ある意味ここ数百年はましになってきていた。
しかし、ここにきて世の流れは富を集中させる方向に行きつつある。
ピケティが一番問題視するのは、GAFAMに代表される、
多国籍企業の莫大な利益に税金が取れないこと。
21世紀の資本はこれに真っ向から取り組み、国際的な累進課税を訴えていた。
そう、累進課税。
ひところは80-90%が最高税率だったものが、
新自由主義でどんどん引き下げられた。私が敬愛するフリードマンがその主張者だった。
なので私も当初は、稼ぐやる気をなくす高すぎる累進課税はよくないと思っていた。
でもね、、
昨今の世襲議員やら、東大生の年収1000万以上の親ばかりで、
そいつらが行う政治が血の通ってないろくでもないものになっているのを見ると、
運よく稼いだ者から吸い上げた富を運悪く貧しい人に再配分することは重要、
と考えるようになった。
もちろん、与えられた金で酒ばかり飲まれては無駄な金だが、
少なくとも、ヤングケアラーやら、奨学金という名の借金で大学を出ても結婚すらできない、
なんて状況がいいわけがない。最初から若者に負債を背負わせてはいけない。
これは日本の話で、ピケティやサンデルが直接言ってることじゃないけど、
でも、言いたいことは一緒。
5割が大卒未満なのに、なんで議会は9割が大卒なのか!と。女性の割合は増えたのに、と。
・・・日本はここすらまだまだ行ってない。
大学入試も、まず一定数試験で絞った後はくじ引きにすれば、富裕層じゃない子が入れる確率は増えると。
それだけでは足らんでしょ、とピケティは鋭いが。
右、左という言葉がどんどん出てくる。ここでは資本主義が右、社会主義が左、なのだが、
今の資本主義は社会主義要素はどんどん入っている。それをどこまでにするか、何に重点を置くか。
そもそも今の日本のように、所得の低い人からも5割を税金で持って行っていて、何が資本主義だ。
むしろ富裕層は株だので上限2割しかとられない、とか逆転現象すら起こっている。
ベーシックサービスの話が結構出ている。
貨幣経済によらない無償のサービスを提供すればよいのではと。
これもやり方は難しく、下手するとソ連のような品質低下になりかねないが、
工夫すれば、、というところか。
しかし、今の参院選の各党の主張を聴く限り、こんなレベルにはなく、
「我々が貧しいのは海外から安い労働力が入るからだ!」になってしまう。
安い労働力じゃないと零細企業がつぶれちゃうからでしょう、、
この構造自体がまずいんだよ、大企業はろくに税金も払わず、高い報酬を得る経営陣。
そういえばこの本で、10対1が限度だろう、といってた。
そう思う。今100対1だもんな。日本ですら。サラリーマン社長ですら。
字の大きい、150ページちょっとの本だったけれど、非常に考えさせられる本だった。
第1章 なぜ不平等を懸念するのか
第2章 お金はもっと重要でなくなるべきか
第3章 市場の道徳的限界
第4章 グローバリゼーションとポピュリズム
第5章 能力主義
第6章 大学入試や議員選挙にくじ引きを取り入れるべきか
第7章 課税、連帯、コミュニティ
第8章 国境、移民、気候変動
第9章 左派の未来―経済とアイデンティティ -
確かトマ・ピケティは、途中挫折したけ、要約本を読んだか、程度で、歯が立たないと思ってたが、この本は対談だから読みやすくて良かった。
私が特に感銘を受けたのは
・株主による企業の保有割合を半分までとする案
・金持ちとそうでない人の闘争にしようという案(昔はアメリカも高額所得者への税率が高かったことへの驚き) -
早川書房ってこんな本も出すんだね。感動したよ。
作者だけでなく出版社も選ぶタチなので、これから狙いつけておく。
マイケル・・サンデルもトマ・ピケティも気にはしてたけど読むのは初めて。いきなり「再分配と脱商品化」から対談が始まってうれしかった。私のいまの関心事は教育や介護など公共物の民営化の危険性なのでドンピシャだ。さっそくノートを用意して構えを作った。
熱いトマと沈着冷静なマイケルが共感しながらも火花を散らしながら考えを交える。サスペンスフルだ。だから早川か。
市場勝利主義や能力主義が新自由主義と結んで現れるとき結局被害者になるのは我ら普通の国民。豊かさとは縁遠い自分のような人間はほんとに平等な社会をもとめているよ。
超富裕層には大幅に増税すべきだと思うし、株主優遇が第一の大企業などの内部留保などはきっちり吐き出させろと強く思う。だって自然に儲けが増えたわけじゃない。働く者が作り出した価値だろ。
勝手に蓄えたやつに天罰降れ。
米欧の中道左派がしゃんとせんから右翼ポピュリズムが伸びたとの指摘も同感。いま日本でも「ユトウ」と呼ばれる政党がバカな役割を得意げに誇ってるけど、いずれ歴史に裁かれるだろう。
まだまだ読んで学びたい二人だ。 -
対談の採録。
少し散漫かな。
それぞれの本を読む方が面白いと思う。
「成果・結果」を出すことを支える「公共財」への目配り
「成果・結果」に応じて配分される「報酬」の多寡
当たり前、と思いがちなことも、必ずしも当たり前ではないことに気をつけていきたい。 -
東2法経図・6F開架:KW/2025//K
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これ面白いかも。もっと読たい。ピケティいいよね。
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●ピケティは、「平等についての小さな歴史」と言う本で、世界中に多くの不平等が存在するものの、長期的に見れば常に平等へ向かう動きがあったことを強調しています。
●平等の3つの側面。1つ目は、経済的側面、2つ目は、政治的側面、3つ目は社会関係(尊厳、身分、尊重)に関する側面です。
●所得と富の再分配は現状のままですが、経済と社会生活の脱商品化によって、お金をあまり重要ではないものにする方法です。例えば、人間の基本的な財…教育や医療や住宅の利用機会、政治的な発言、政治の働きかけや参加…を脱商品化できたと仮定します。
●経済の脱商品化が十分に進めば、金銭的不平等がほとんど意味をなさなくなるのは明らかである。
●何でもかんでも、商品化して、高い金銭的インセンティブや高い給与を支払うのは、人々が仕事や生活の中で本当に大切にしている様々なものを壊すことになると思います。
●北側諸国は、国際分業と天然資源労働力の国際搾取によって豊かになってきた。今後これを変えていけなくてはなりません。
著者プロフィール
トマ・ピケティの作品
