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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784152104106
作品紹介・あらすじ
学生時代の友人に再会した作家は、「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」と頼まれる。友人は末期がんだった。そして、心の準備ができたら薬を飲んで死を選ぶという。思いがけぬ日々のなかで作家が見たものは――。全米図書賞受賞作家による感動作。映画化原作
感想・レビュー・書評
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間もなく死を迎える友人と共に暮らす私… 逃げ出せない絶望の核心を描く #ザ・ルーム・ネクスト・ドア
■あらすじ
作家である私は、若い頃にルームメイトだったこともある友人に相談された。友人は重い病気を患っており、間もなく死を迎えるらしい。そして彼女は心の準備ができたら薬を飲んで死ぬため、それまでの間は近くにいてほしいとのことだった… 悩みながらも承諾した私は、友人と暮らしながら死について見つめ直すのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
人生や死生観を見つめ直す物語。起承転結のあるエンタメ小説ではありますが、老いや死をはじめ、生き方、美意識、人間関係、子孫を残すことなど人生について深く突き詰めていく、もはや哲学です。
ストーリーの前半は、間もなく死んでしまう友人との向き合いつつも、生と死に関する様々な小説や映画などのエピソードが語られる。主人公の私目線での生きることの解釈が描かれていきます。
大学教授である元恋人との会話がさらに心を重くさせるんです。ファクトのみを人生の基準として考えているネガティブな価値観がきつすぎて溺れそうになる。安楽死についての議論も正論だけでは何も解決しないという事実に、ただただ虚しい。
友人の家族である夫や娘に関するエピソードも、リアリティがありますね。人生って、ほんとひとつの失敗から全ての歯車が狂ってしまう。友人の気持ちも、娘の気持ちも、至極当然のストレートで想いを秘めてて胸が痛いし、深いあきらめが悲しすぎました。
死を目の前にしても、不治の病という言葉すら聞きたくない。チャンスがあり希望があると信じ続けなければならない。絶望の中にも努力を強いられるってのは、もはや地獄でしかない。
そして一番の読みどころ。友人が湯舟に入りたいと言った後の展開ですよ、これが胸が張り裂けそうでした… 最もつらいことから逃げることができない現実が突きつけられる。死に向き合うとはどういうことなのか、絶望の核心を描いているんです。
死がテーマなので重厚感のある作品です。しかし終章まで読み終わると、決して辛いお話ではないことがわかります。また映画化もされているようですので、機会があったら拝見したいです。
■私とこの物語の対話
死に直面すると、読書、音楽、映画なんてものは何の価値もなくなってくるという。これまでとは同じものに接している感じがせず、何もかもが無意味に感じるらしい。たしかに文化的なものは満ちた生命力や時間がある前提で力を与えてくれるものなのかもしれませんね。そして大好きな本をいつまでも読んでたいと思いました…
我々は老いや病のこと、そして必ず死ぬということをできるだけ考えないようにしています。生きてると楽しいことなんかより、むしろ辛いことばかりですよ。それなのに必死で一日一日を生きていくうち、着実に死に近づいているんですよね。
そう、だからこそ生きる上で一番重要なのは、大切な人の近くにいることなんです。いつも話を聞いてあげて、寂しいときは寄り添い、辛いときは支え合い、困ったことがあれば助け合う。人間は弱く、運命からは逃れられない… それでも、どんな困難にも向き合うんだ、やるだけはやらなければならない。
我々は天から命を授かったひとつの生物であり、別の生物のために少しでも辛いことを緩和させてあげることはもはや義務なのではないでしょうか。そう思うと、生きている価値があるような気がしてくるのです。 -
中年女性作家のわたしは、重い病を患う友人を見舞う。友人の告白に戸惑うわたしの選択は…。
「死」を間近にした友人と過ごす時間のなかで、さまざまな人物の描写がある。
そのなかでも友人親子の関係は重たく感じた。
ほっとするのは宿泊先のホストの保護猫だろうか…
終わりに近づくほどに何気ない描写のほうが印象に残るのは何故だろう。
それほどまでに「死」を意識したくないということだろうか。
避けては通れない「死」、その不安に対して明確な答えはないけれど、どんな思いで迎えるのだろうかと考えてみることはできる。
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本書の内容とは離れてしまうが、医療自殺幇助と緩和ケアのどちらを選ぶかが、日本で選択できる日がいつか来るだろうか。
そのときパートナーの選択を尊重できるか?
もしくは反対するだけの、ぶれない信念が僕の中にあるのだろうか?
そんなことを読了後に考え始めてしまうと、心が苦しくなる。
僕は弱くて卑怯だから、ちゃんと結論を出せないまま時間が経ってしまう気がする。それが怖い。
そして、本書にも答えはない。
シーグリット・ヌーネスが本書で描くのは、非合法な薬物入手と自殺幇助なのだから、『QOD(クオリティー・オブ・デス)』の議論範囲を遥かに越えたフィクションだ。
だから「私」と「友人」の間には、政策や法的な判断基準や倫理的に是非を問う声などの、外野の価値観は持ち込まれない。
代わりにあるのは、独身を通してきた「私」が触れ合った人々、見聞きした人々、古今の本に登場した人々の老いや死、生きることの苦しみを巡る内省と思索だ。
私の元恋人は、環境破壊や大量破壊兵器の存在を挙げて人類の滅亡は避けられないと説く。
ジムで出会う常連は、若さと美しさのみに価値を見いだして、老いに対し敗北が決まっている戦いを挑み続ける。これらも“余命宣告”の後に、何を選ぶかというテーマの変奏と呼べるだろう。
一方で老いが終わりを意味するというのも真実ではない。老境の平穏さなど訪れる訳もなく、結局のところ生活は延々と続いていく。それを善きものと思うか、醜悪ととるか。人に選べることは余りに少ない。
様々な老いや死を巡る思いが、「友人」の看取りの日々の中に流れている。
死は、あたりまえのことだが、あまりにもありふれていてーあまりにも特別だ。
選び取ることが大事なんじゃない。より大切なことは、あなたはどれだけちゃんと向き合えますか、ということ。
本書は、あたたかく励ましてくれながら、静かにそう問うてくる。
その問いにこそ、僕は答えなければならない。
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小説より映画の方がまとまっていて、好みでした。生とは?死とは?と考える状況になった時、思い出す1作になると思います。
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アルモドバルの映画になってるそうで、原作物だけど大丈夫かな?と思ったのだけれど、杞憂であった。妙に迫ってくる。考させられ、余韻が残る。
そうだ、この人『友だち』の人なのね。あれも生と死や人間関係がちょっと不思議な感じだったなと思い出した。 -
人の死という重いテーマの作品だけど、ユーモアもあり暗闇に沈むような感じはない。原題What Are You Going Throughは、フランスの哲学者ヴェイユの言葉から引用しているらしい。だから、作品が哲学的?映画版を観てみたい。
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映画を観てきた。
【ネタバレありです】
主演ふたりの演技が素晴らしかった。
原作で読んだときにイメージしていた人物像を完全に上書き保存され...映画を観てきた。
【ネタバレありです】
主演ふたりの演技が素晴らしかった。
原作で読んだときにイメージしていた人物像を完全に上書き保存されてしまった。ちょっと観るのが早すぎたかもしれない。
映像も美しかった。服、口紅、家、家具、絵画、フルーツ、花、大自然、雪。
いままでペドロ・アルモドバルの作品を観たことがなかったが、軽く検索してみたら、どうやら世界的に有名な監督らしい。とても色彩豊かな映像を撮り、中でも赤を効果的に使うとか。そして今回は黄色も。
原作との違いについて。
・結末が変わっていたことについては肯定的にとらえる。重要なのはあそこで暮らすことを受け入れて、ともに時間を過ごすことだから。
・例の肖像画を楽しみにしていたので、エドワード・ホッパーになっていたのは少し残念だった。
・「元恋人」の存在感はかなり薄れていた気がする。
・逆に娘の存在感が強まっていて、母娘の赦しや和解のようなテーマが加わった。
・朝起きて扉の開閉を確認するシーンが多かった。良い脚色だと思う。これがあったからこそ「リハーサル」の場面もラストも生きる。
・冷蔵庫に「お~いお茶」らしきペットボトルがあった。
・映画では「移動性家族」という要素が加えられていた気がする。戦場ではいつ訪れるかわからない死を前にして、仲間と疑似家族のような関係を築いて過ごすと。そして、今回の引越もそれに近いものであると示唆していたのではないか。
1度しか観ていないので、違う日本語訳だったかもしれないし、ひょっとしたら自分の解釈が間違っているのかもしれない。これについては自信がないので、次に観る機会があったら確認したい。そして、個人的に掘り下げたい。
2025/02/19
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縛られていたものというか、自ら縛っていたものから解放されて読書再開。色々と読みたい本はあったのだが、たまたま図書館から回ってきたこちらの海外小説から手をつけた。
友人から「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」と頼まれた作家が語る物語。本文中に出てくるこの1文がとても印象に残った。
ーーどれほど悲しい作品でも、美しく語られた物語には力をもらえるものだから。(P143)
なんというか、今回は久々の読書の喜びに浸っており、浸るにはもってこいだった。他人にこんなにも深く触れられる芸術は、やはり小説しかないな、と、そのある意味特異な読書の性質みたいなものに満たされた時間であった。 -
ずっしり、重いのに軽い、軽いのに重い。
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哀しい話が最近は読みたい気分なのかも。話はいろんなところに寄り道するけど、どの話も悲しく共感して考えさせられる。結構好きだった。
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先に映画を観てしまっていたので、アルモドバルの脚色すさまじいな、と改めて感じた。
原作ではイングリッドの自意識や感情が打ち寄せてくるが、映画は二人の関係性がとても複雑な味わいで、透徹した世界観や深みを感じさせる傑作。 -
結構しんどい所に直面していてもユーモアで飄々と迫るのに死や苦しみが待ち伏せしていて正直戸惑う。でもこの戸惑いが悲しみや孤独をやり過ごすんだと気づく。
“Quel est ton tourment?“ この言葉御守り。映画観たい。
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読んでる最中、頭の中では、おすぎとピーコがずっと過ぎってた。
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私には内容が難しい。
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感想 :

秋さんのレビューは〝あらすじ〟や〝推しポイント〟などすっごく分かりやすくて、いつも参考にさせて頂いて...
秋さんのレビューは〝あらすじ〟や〝推しポイント〟などすっごく分かりやすくて、いつも参考にさせて頂いております。
この本は〝対話〟が深いですね(*´ェ`*)
これからも楽しみにしていますね♪
akiさんのぜったい読みたくなるレビューは、ポイントを押さえていてわかりやすく、とても...
akiさんのぜったい読みたくなるレビューは、ポイントを押さえていてわかりやすく、とても参考になり毎回楽しみに拝見しています。
これからも参考にさせてください。
お祝いいただきありがとうございます!
はい、できるだけよんでいただけるようにしたいですっ
本作はテーマが深すぎて、しみじみ...
お祝いいただきありがとうございます!
はい、できるだけよんでいただけるようにしたいですっ
本作はテーマが深すぎて、しみじみと対話してしまいました
湖永さん
お祝いありがとうございます~
こんなに褒められることないので、うれしい^^
まだまだ頑張って読みます&書きますっ