ブレイクショットの軌跡

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  • 早川書房 (2025年3月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (584ページ) / ISBN・EAN: 9784152104113

作品紹介・あらすじ

自動車期間工の本田昴は、2年11カ月の寮生活最終日、同僚がSUVブレイクショットのボルトを車体内に落とすのを目撃するが。マネーゲームの狂騒、偽装修理に戸惑う板金工、悪徳不動産会社の陥穽――移り変わっていく所有者たちの多様性と不可解さのドラマ

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白い!!
    ある一台のSUV車『ブレイクショット』が繋いでいく連作長編。社会派エンタメ群像劇。
    577Pあるが、面白過ぎて一気読み間違いなし!

    冒頭で自動車期間工の本田昴という青年と、鈴木世玲奈という女性が登場する。HONDA、SUBARU、SUZUKI、SERENA。
    これにより「車がこの物語のカギで、それがブレイクショットである」と明示される。シャレが効いていますね。

    またブレイクショットとはビリヤードでゲームを始めるときの最初の一打でもある。
    ある一台のSUVブレイクショットは一体どんな軌跡を描き、物語を紡いでいくのか?


    ぜひ読んでいただきたいので詳しくは書かないが、物語は、自動車期間工、村○ファンドをモデルにした話、板金工、不動産営業マン、マネー系YouTuber(両○長)などからアフリカの内戦まで、SUVブレイクショットが無ければ、ほとんどバラバラに思われる いくつかのストーリーで組み立てられる。

    しかし、一つ一つの話のクオリティが高く、それぞれが充分すぎるほどに面白くて「このままこの続きを読みたいのに!」と思わせる力がある。

    今の世相を切り取った情景や様々な問題がテーマであり、身近でホットなトピックなので共感しやすい。

    また、登場人物が立っていて魅力的。善人から悪人、脇役に至るまで人間味と生身の肉体を持っている。
    読み終えて、逢坂さんは愛を持って人間を描く作家さんなのだと感じた。


    そして終盤とエピローグで加速する驚きと伏線回収!これが最高に気持ちいい。
    繋がっているのがブレイクショットだけではなく「あれとこれも繋がってたの?アレがコレ?すげえ!」の連発。まさにブレイクショットの軌跡!
    「それでいて<これ>は繋がってないのかよ!!」 も最高だった。


    心地よい読後感。
    エピローグの最後には、この一見してバラバラな物語の着想を、著者がどう得たのかが示される。元ネタは〇〇の〇〇だったのか、と。

    最後まで読み終えたあなたは、絶対に「あの歌」を検索して聴きたくなることでしょう。
    私は、そうでした。

    あー、面白かった!
    是非おすすめします!

    • Tomoyukiさん
      shintak5555さん

      薄々そうかもしれないと脳裏をよぎりましたが、気持ちよく騙されときました笑
      shintak5555さん

      薄々そうかもしれないと脳裏をよぎりましたが、気持ちよく騙されときました笑
      2025/09/02
    • 仁義さん
      読了報告

      >>「それでいて<これ>は繋がってないのかよ!!」 も最高だった。


      私もまさに、これ思いました!背中を押してもらっ...
      読了報告

      >>「それでいて<これ>は繋がってないのかよ!!」 も最高だった。


      私もまさに、これ思いました!背中を押してもらったおかげで良い読書体験ができました。いつも素敵なレビュー&おススメありがとうございます。
      2025/09/26
    • Tomoyukiさん
      仁義さん
      楽しんでいただけたようで良かったです!
      コメントありがとうございます!☺︎
      仁義さん
      楽しんでいただけたようで良かったです!
      コメントありがとうございます!☺︎
      2025/09/26
  •  第173回の芥川賞と直木賞は、両賞とも「該当作なし」という結末で幕を閉じました。
    若干拍子抜けする結果でしたが、NHKニュース内のコメントで日本大学芸術学部「読書部所属」の学生さんはこう言っていました。
     「第一線で活躍している選考委員がどの作品を選ぶかを見れなかったのは残念でしたが、受賞作が出ないということならば、自分の中の意見を大切にして読んでいきたい。」(少し意訳)
     紀伊国屋書店の課長さんもこうおっしゃっていました。
     「受賞作が出なかったのは、決して作品の良し悪しの全てではないし、チャレンジしていただければ何かしらの満足を必ず味わえる作品がそろっています。」(少し意訳)

     おふたりとも良いことをおっしゃるではありませんか♡
    ご意見に従って作品を読んでいきましょうね♡

     さて、本書のレビュー(わたしの中の意見)です。
     組織に所属していると不条理とも思える業務指示を受けることがあります。
    その中には、明らかに法令違反で到底受忍できない指示もあれば、法令違反とまでは言えないけれど道義的な疑問を感じる指示もあります。

     そんな指示を上司や経営者が突きつけてくるとき、あなたならどう対応するでしょうか。
    指示通りに行えば、明らかに他者の利益を損ねたり、生命を奪う場合すらあるとしたら。。。

     でも、自身の良心・善良さに反して指示に従わざるを得ない時もあるかもしれません。
    それは、組織や家族や将来の夢など、様々なしがらみがあるからです。
     また、不条理な指示以外にも、あなた自身の保身のために不都合な真実を隠すかどうか葛藤することもあるかもしれません。
    あなたの脳裏には、いろいろな人の顔がよぎります。
    さあ、あなたならどうしますか?

     本書のタイトルの「ブレイクショット」はこの小説に出てくる日本製SUV車種の名前です。
    また、ビリヤード(ナインボール)の最初のショットの名前でもあります。
     そして「軌跡」の語釈をデジタル大辞泉で調べてみると、
      1 車輪の通った跡。轍(わだち)。
      2 先人の行いの跡。
      3 ある人や物事がたどってきた跡。という3つの意味が出てきました。

     本書の物語は、まず「プロローグ」でブレイクショット車の製造現場のお話から始まります。
    そして、
     プロローグ
       アフリカのホワイトハウス 1
    一章 マネー、ライフ、ゲーム
    二章 取り柄は善良さ
       アフリカのホワイトハウス 2
    三章 僕らの夢は
    四章 狩り場の七面鳥
       アフリカのホワイトハウス 3
    五章 後藤晴斗の野望
    六章 闇から光へ
       アフリカのホワイトハウス 4
     エピローグ  
    と577ページのラストページへと軌跡が繋がります。

     登場人物たちは様々な苦労を背負い苦悩の選択を迫られます。
    物理的に重い本なのに内容も重いし、続きが気になるのに良い場面でお話の舞台は転換するし。。。
    例えば、静岡から中央アフリカへと舞台が変わります。
     えっ! 続きはどうなるのよ! と気になるし、読者の心はヒリヒリしているのに他の舞台に変わり、軌跡は続きます。

     登場人物の苦悩を一緒に背負ってモヤモヤしながら、登場人物たちに同情したり応援したりしながら読むことをやめられません。

     いろんな人生があり、いろんな苦悩がある。人はやっぱり可愛い生き物なんです。。。
    小説って本当にスゴいですね♡♡
    (いろいろな業界の仕事や社会問題の勉強にもなりました。)

     そして、長い長い軌跡を繋ぎながら、お話は爽快なエピローグに!
    読み切った人にのみ与えられる読福が待っています♡

    • みのりんさん
      Raf様
       貴重なコメントを賜りありがとうございます。
       わたしごときに「拝読」とは勿体ないお言葉でございます。
       また、ご高説も賜り恐悦至...
      Raf様
       貴重なコメントを賜りありがとうございます。
       わたしごときに「拝読」とは勿体ないお言葉でございます。
       また、ご高説も賜り恐悦至極でございます。

       文学や文学賞というものをどのように捉えればよいのか、まだまだ暗中模索のさなかではございますが、ご縁ができた作品を読んでは拙い感想を述べつつ、みなさまのご感想と照らし合わせながら個々の作品の理解をとおして探り続けたく思っております。

       候補作から必ずしも受賞作が選ばれる訳ではないという今回の結果から、賞の厳しさを垣間見たような気もいたしますが、ともかくは、小説家という文章のプロが書く物語の凄さに圧倒されながらもお話しの大波に漂う心地良さを楽しんでおります。
       読書の幅が広がり経験値が増えましたし、さらにRaf様からコメントまでいただけたことは望外の喜びでありました。
       この本を読んで良かったです♡
      2025/07/20
    • あぢまんがさん
      直木賞取るならこれ!と思っていました
      同士少女も発売たった1ヶ月で候補入りし選評内容も好意的でしたし
      一応、芥川賞も直木賞も新人へのエール賞...
      直木賞取るならこれ!と思っていました
      同士少女も発売たった1ヶ月で候補入りし選評内容も好意的でしたし
      一応、芥川賞も直木賞も新人へのエール賞が始まりであり面白い作品を決める賞ではないと理解してるのですが逢坂さんはこれからもこの品質を出し続けるであろう作家さんなので上げるタイミングだったのではないかなと残念でした(芦沢さんもずっと良いので頑張ってほしい)
      ただエンタメ小説は受け皿がたくさんあるのでまだいいのですが本が売れなくなってきている昨今
      芥川賞は……あげようよ……純文学作家の賞全然ありませんよ………書きたいもので食べれなくて違う方向にいく作家をたくさん見てきたので残念でした

      2025/07/21
    • みのりんさん
      あぢまんがさん、コメントありがとうございました。
      あぢまんがさん、コメントありがとうございました。
      2025/07/27
  • ブクログ評価も高く、そして皆様のコメントも良評価が多く、且つ直木賞ノミネートが重なり、読まずに放置しておく訳にはいかなくなりました笑
    総じた感想としては『カッコよ!!』(かっこいい)
    何冊分の小説を読んだのだろうと思える程のボリュームと重厚感。泣いたり眉間に皺をよせたりと、ずっとぞわぞわさせてくれるインパクトのある作品でした。
    著書名にもある『ブレイクショット』の持つ意味を追いかけながら、楽しませてもらいました。
    特にエピローグの畳み掛けは本当凄かった!詰め込み感は強かったけど、この章があったから⭐︎5評価です。

  • 尊敬するブクトモの皆様が読んで感想をお書きになっていた本。
    私もやっとこ手に入れましたよ(*´∇`*)

    みなさんが口々に「厚い」と仰るではありませんか!「厚い」この言葉大好きです。間違いなく長編の匂いがぷんぷんします(*´꒳`*)

    会社に持って行って、休み時間に読んでおりましたが、会社の皆さんも厚みに驚いておりました(笑)

    皆さんの感想から、若干予想していたこともあったのですが、いやぁ、こんなの全部予想しきれませんて!

    だってどの話も繋がりはブレイクショットというSUVだけで、あまり関係無さそうでしたから。

    それがどうでしょう。
    帯に「映画か舞台ならスタンディングオベーションしてました。」と書かれていた意味が分かりました!
    良かったですよ!とっても♡

    色々書きたいことは山ほどあるのですが、まだきっとこれから読まれる方もいらっしゃるでしょうし、中身には触れないようにします♪
    これは何も知らないで読んだ方が絶対楽しいですから♪
    帯が内容に触れていないわけがよく分かりました(笑)

    逢坂さんが天才だってことがよく分かりました。この小説を◯◯小説!ってジャンル分けが出来ないくらいに、内容がまぁほんとてんこ盛り!頭いいなぁ〜(*´꒳`*)



    全然関係ないですが、高校時代、学校から徒歩2〜3分のところに、友達の家があって、仲良しがみんな思い思い学校の帰りに寄ってました。いつでも入れる家って感じで。

    その家にビリヤードがあったんですよ。凄いですよね。みんなが集まると必ずビリヤードやりながらワイワイお話してました。

    ナインボール、死ぬほどやったなぁ。。。
    懐かしい青春時代(*´∇`*)

    ビリヤードの最初のショットのことをブレイクショットと言うこと。知ってたような気がしますが、すっかり忘れておりました。

    • bmakiさん
      雪さん

      この小説、男の子向けなのかなぁ?
      いや、賢い人向けなのかなぁ?
      私には難しかったですよ( ̄O ̄;)
      でもこの超大作、何か...
      雪さん

      この小説、男の子向けなのかなぁ?
      いや、賢い人向けなのかなぁ?
      私には難しかったですよ( ̄O ̄;)
      でもこの超大作、何かしらの賞はとりますよね。

      確かに、一休さん、突然悪徳商法始めましたよね。最初は木魚も寺すらなかったはず(^◇^;)
      2025/05/31
    • Super8さん
      ブレイクショットの軌跡
      直木賞獲って欲しい委員会会長です(^q^)


      まぁ、坊主◯儲けって言いますからね〰️(^_^;)

      ◯の位置が絶妙...
      ブレイクショットの軌跡
      直木賞獲って欲しい委員会会長です(^q^)


      まぁ、坊主◯儲けって言いますからね〰️(^_^;)

      ◯の位置が絶妙❣
      2025/05/31
    • bmakiさん
      Super8さん

      直木賞いっちゃうかもですね。
      これだけの作品見せられたら。

      去年(だったか?)、NEWSのシゲの作品も凄く良...
      Super8さん

      直木賞いっちゃうかもですね。
      これだけの作品見せられたら。

      去年(だったか?)、NEWSのシゲの作品も凄く良かったのに直木賞とれませんでしたね。ノミネートはされていたのに。
      あんな凄い作品でも難しい直木賞。。。
      とれるかなぁ???

      ◯!!!
      うまいっ!さすが8さんっ!
      2025/05/31
  • 図書館で予約2番目で借りられました。
    前に借りた人は本当に読んだのかと思うほどきれいな本で新品同様でした。

    鈍器本です。
    577ページあり重かったです。
    読んでいて肩が痛くなり、指が腱鞘炎になりそうでした。



    皆さん「面白い!凄い!」というような絶賛レビューを何件か拝読していたので、期待値が上がり過ぎていました。
    一体この先にどんな面白いストーリー展開があるのかと思い読んでいました。


    私は期待値が上がり過ぎていたので、それほど凄いとは思いませんでした。
    でもラストは「そういう風に繋がっていたんだ~!」と思いました。
    私は車とか全然詳しくないので「ブレイクショット」という名の車が実在するのかわからず検索するところから始めました。
    日本製SUV,ブレイクショットという車の周りに起こった出来事です。


    車の期間工。
    サッカー選手になりたい高校生とそれをサポートする同級生。
    特殊詐欺グループ。
    中央アフリカ共和国にいる少年。
    などの話が入り混じっています。


    登場人物では同級生をサッカー選手にしたいと思う後藤晴斗。
    元「バンドル」の門崎亜子の二人が特に魅力的だと思いました。


    LGBTQの方々へのメッセージは伝わったと思います。

    • まことさん
      かなさん♪
      かなさんも読まれたのですね!
      かなさん速いですね!(私も読み終わったけど)
      私は読み終わるとすぐレビューアップしたくなって...
      かなさん♪
      かなさんも読まれたのですね!
      かなさん速いですね!(私も読み終わったけど)
      私は読み終わるとすぐレビューアップしたくなってしまいます。
      重かったですよね~。
      かなさんのレビューもとても楽しみです。
      2025/04/23
    • ゆきみだいふくさん
      まことさん♪

      ブレイクショットの奇跡、購入しました❢
      連休どこにも行ってなくて何か買おう❢と思い奮発して買っちゃいました。
      ただ、分厚い。...
      まことさん♪

      ブレイクショットの奇跡、購入しました❢
      連休どこにも行ってなくて何か買おう❢と思い奮発して買っちゃいました。
      ただ、分厚い。『架空犯』よりゴツいです(⁠*⁠_⁠*⁠)
      内容も難しそうで読めるか分かりませんが頑張って読んでみます❢
      2025/05/06
    • まことさん
      ゆきみだいふくさん♪
      購入されたのですね!
      私は本屋大賞2位の『アルプス席の母』を順番待ち嫌で買っちゃいました。
      図書館本読み終わったら、読...
      ゆきみだいふくさん♪
      購入されたのですね!
      私は本屋大賞2位の『アルプス席の母』を順番待ち嫌で買っちゃいました。
      図書館本読み終わったら、読もうと思っています。
      『ブレイクショット』の方が『架空犯』より100頁程、厚かったかもしれないですね。
      レビュー楽しみにしています。
      2025/05/06
  • ★5 格差社会、LGBTQ、特殊詐欺など様々な問題に切り込む力強い群像劇 #ブレイクショットの軌跡

    ■あらすじ
    自動車工場の期間工である本田昴は、もう間もなく契約期間を満了する。彼は勤務態度や能力が素晴らしく正社員への登用を打診されることになった。しかし最終日の工場で、同僚がSUVブレイクショットのボルトを車体の内部に落とすのを目撃してしまう… 車種ブレイクショットの所有者を通して、様々な人間ドラマを描く群像劇。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 すごいボリューム! こんな力強い群像劇を読んだことない~

    ある自動車ブレイクショットの所有者を中心に、現代に生きる人々を詳らかに書き記す。夢に向かって挑戦し続ける人々と、いつまでも残り続ける社会問題や価値観にも切り込んだ作品ですね。

    非正規雇用、国際紛争、格差社会、LGBTQ、特殊詐欺、マネーゲーム、不動産営業、SNSの使われ方… 本書で扱っている問題について羅列すると、こんなにもたくさんあるんです。

    また場面展開も素晴らしい。優良企業の経営会議を切り取った場面もあれば、アフリカの紛争地帯での一幕もある。手練手管で詐欺を働く場面もあれば、若い二人が心を通わす場面もある。エピソードひとつひとつに重みがあって、どんどん物語に引き込まれちゃうんですよね。

    本書一番の読みどころは、やっぱり人間ドラマです。すべてを語ると壮大なレビューになってしまうので、特に気になった人たちだけをご紹介。

    板金職人の父友彦と、頭脳明晰な息子晴斗の後藤親子の関係性。特に中盤以降の展開からは激アツでしたね。さらに晴斗は、幼馴染である修悟との約束はどうなっていくのか。

    そして後半の物語の山場は特殊詐欺。晴斗と門崎の頭脳明晰コンビが大活躍! 不景気な現代、一番社会問題に切り込んだエピソードです。必死に生きる若者たちが葛藤しながらも立ち向かっていく。何故こんなにも優秀で懸命な若者たちが報われない世の中なのでしょうか。誰の責任なんだと叫びたくなりますね…

    本作はビリヤードのブレイクショット、多種多様な色をまとった玉が弾け飛ぶように人物が描かれる。まるでひとりひとりの人間がビリヤード台に散らばっている玉のよう。この無造作で無秩序に散らばってるってのが美しくて、規則的に並んだ玉ではつまらないというところがミソです。

    夢に向かって戦い続けている人間を描いた本作。誰しもが共感できるところが多く、つい夢中になって読んじゃいますね。読み逃せない一冊だと思いました。

    ■ぜっさん推しポイント
    人それぞれに才能や得意分野がある。生かすも殺すも本人次第なんですが、はたして成功のポイントは何なんでしょうか?

    夢は自分一人では叶えられない、しかも世間は見知らぬ人の夢には冷たいんです。それどころか、常に騙そうとしている者や、スキがあれば寝首を搔く者もたくさんいる。こんな世の中で自分らしく生きることなんてできるのでしょうか。

    やっぱり一番大切なのはお互いを鼓舞し合える、支え合える仲間だと思いましたね。家族、友人、恋人、同僚など、色んな人間関係がありますが、ひとつひとつを大切にすることが、自分の幸せに帰ってくるんだと思いました。

  • 逢坂冬馬さん著「ブレイクショットの軌跡」
    作者の作品は「同士少女よ敵を撃て」「歌われなかった海賊へ」に続き三作目。
    著者の作品は全て読んでいることになる。

    今作品は前2作を大きく凌駕してきた。
    デビュー三作品目で最高潮とも思える作品。素晴らしすぎた。

    まず物語に準ずる文章のセンスが素晴らしすぎる。第一章のサブタイトルにもなっている「マネー、ライフ、ゲーム」
    この宮苑という人間を象徴しているこのキーワードを引き出すために大学の講義中の描写から始まり、十進法→アルファベット→英単語という順序を踏んでからの「マネー、ライフ、ゲーム」
    凄くさりげない展開の中でこの3個の英単語を引きだし、高センスの下で宮苑という人間性を読者に植え付けている。導かれる様に読まされていて正直度肝を抜かれた。

    これだけではなく、巧みな構成術や言語力が至るところに違和感なく存在しており、デビュー三作目でこの力量かと驚くと共に興奮しっぱなしだった。

    物語も「軌跡」と「奇跡」が多重に平行して描かれていく事で際立つ「ブレイクショット」という言葉。
    登場人物達それぞれに当てはまる言葉でもあるが、放たれて卓上に散らばった各々が丁寧に連関するようにポケットに納められていく様でもあった。
    放たれたブレイクショットによって広がった世界の中での各々の人生。そのビリヤードの卓上とそのボールがあたかも登場人物達と彼らが醸す人生の縮図の様に感じられた。素晴らしすぎる。

    当然物語の奥行き、広さ、深さも感じられた。第5章では「金」という価値にも触れており「通貨」としてではない「金」に付随している道徳心や倫理観、道義が描かれている。
    「金」という価値、そこに人間の心理が左右している様に感じられ、真の値としての価値が果たして「金」にあるのだろうか?実際深層としてはそこまで無いのだろうと思わされてしまった。
    社会の中で生きているからその「金」という価値基準が高く見積もられてしまうけれども、本来は人間の営みや暮らしの中にこそ価値があり、それに付随するのが「金」であり、「金」自体の持つ固有の価値はそこまでないのではと感じてしまう。

    そして最後のSNSの件。言葉には重さが存在すると思っているが自分もSNS上での乱立する数々の言葉はどれも軽く感じられる。発言に対しての責任感が伴わないからだろう。
    当然そうでない人もいるのはわかっているが一般的に感情や深さを伴わない言葉で溢れており比重として軽い。
    そういうものなのだろうという認識。しかしそれが現代の社会的ネットワークというならば自分の個人的価値観ではそこにあるそれらの言葉の重要性は無いに等しいと感じてしまう。責任感の無い、他愛もない世界では意義や語感に深みが感じられない。その上で広く繋がっていく社会って一体なんなんだろう?そしてその世界の中での言葉って一体なんなんだろう?
    今まで深く考えていなかったが確かな不自然さとその違和感が強く残り不思議な感覚に陥ってしまった。

    まだまだ書こうと思えば幾らでも書けてしまう。書ききろうと思えばキリがない。
    帯に「最高傑作」とあったが紛れもない。
    特上の満足感で満たされており、こういう作品の事を「最高傑作」というのだろう。

    • Super8さん
      NSFMさん

      はじめまして。

      私の言いたいこと全て詰まってます。
      良き代弁者様ですね〰️
      尾崎豊ですか!?

      本書、本当に素晴らしいと思...
      NSFMさん

      はじめまして。

      私の言いたいこと全て詰まってます。
      良き代弁者様ですね〰️
      尾崎豊ですか!?

      本書、本当に素晴らしいと思います。

      今後もどうぞよろしくお願いいたします
      2025/04/16
  • Amazon Musicの会員特典で、Audibleが毎月1冊だけ聴けるようになったので久しぶりのAudible。
    ブクログでも評価が高かったので読んでみたかった。

    格差社会、SNS、株、詐欺、マイノリティ、発展途上国の問題など、現代のテーマがこれでもかというほど詰め込まれている。

    それぞれ丁寧に描かれているので面白いけど、個人的には少し盛り込みすぎに感じて、物語が分散してしまい、最後に心に残るものが薄くなってしまった印象がある。

    登場人物たちにあまり感情移入できず、どこか距離を感じてしまった。
    物語の展開が、少しご都合主義のように感じたからかもしれない。

    騙す側が悪いのは当然として、うまい話にあまりにも簡単に信じてカモになってしまう人たちに、自分の知り合いにも似たタイプの人がいるので、モヤモヤしてしまった。

    とはいえ、家事をしながら物語を聴くのはやっぱり楽しい。普段は面倒に感じる家事も、この作品のおかげで充実した時間になりました。
    Audibleにて。

  •  世の中、物事、人に潜む光と影を見事に描き切った力作でした。人には選択できない生があり、避けられない不条理も降りかかりますが、苦しい状況を乗り越える思考・判断・選択・実践の余地はあります。絶望や闇の中に、光を灯してくれる物語とも言えるでしょう。

     章をまたぎ、話がバラバラで主要人物も異なるため、物語に没入しにくい印象でしたが、次第に人と人のつながりを意識させられます。この途切れていない構造の工夫が見事です。
     経済格差、差別、高金利・配当目的の資金運用、特殊詐欺、誹謗中傷、紛争…、多くの問題が生々しく冷徹に描かれ、浮き彫りにされます。これらを示し各章の先が見えない不穏さを醸し出す筆致は、切れ味鋭いカミソリパンチではなく何度も重いボディーブローを食らう感覚でした。

     そして、本書の場面転換と話の深い理解に一役買っているのが、1台のSUV車「ブレイクショット」です。所有者それぞれの人生を背負って、その軌跡を俯瞰しながら世の中を観ているようで面白いです。また、このブレイクショット、ビリヤードのゲーム開始時に、まとまった的球の配置を崩し散らすためのショットだそう。バラバラに散った球の軌跡とつながりにも重ねているんですね。
     良くも悪くも人と人のつながりが、(車とビリヤードを通して)連鎖の象徴として描かれ、その秀逸さに思わず唸ってしまいました。

     重いボディーブローがじわじわ効き、最後は意識が飛んで気持ちよいノックダウンでした。580ページの分厚さは必然ですね。負の連鎖が多い世の中ですが、希望の連鎖を信じ求めていきたいものです。

    • どんぐりさん
      意識飛ばしたいです〜(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
      意識飛ばしたいです〜(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
      2025/04/26
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      どんぐりさん、おはようございます♪
      ちょっと大げさでした笑
      なんか、読み進めるほど引き込まれる(効いてくる)
      感覚でしたー ぜひ!
      どんぐりさん、おはようございます♪
      ちょっと大げさでした笑
      なんか、読み進めるほど引き込まれる(効いてくる)
      感覚でしたー ぜひ!
      2025/04/26
  • 見事に全てが繋がっていた!
    次々と所有者が替わる車。
    なぜかその車を所有すると思いもかけない出来事に見舞われる。そして車を手放すことになる‥‥『少年と犬』や『うつくしが丘の不幸の家』を思い出しました。
    “ブレイクショット”とは車種名であり、ビリヤードのゲームを始める際の始めのショットのことでもあります。その一突きが他のボールの動きに影響を与えるように、自分の何気ない言葉、行動は波及する。そのことが見事に描かれた一冊でした。
    なかなかに分厚い本書。様々なエピソードが最後に見事に丸く繋がった時には「ほー」と声が出ました。
    それぞれのエピソードが不穏な動き見せるのですが、最終的には“善良に生きること”がいかに大事かということが伝わってきて気持ちの良い読後感でした。

    • Super8さん
      こっとんさん

      本作は、今年刊行された国内小説の中では
      『百年の時効』に並ぶツートップ!!!

      もっと注目され、かつ評価されても良い作品だと...
      こっとんさん

      本作は、今年刊行された国内小説の中では
      『百年の時効』に並ぶツートップ!!!

      もっと注目され、かつ評価されても良い作品だと思います❢

      まぁ、いずれ、既に!?
      日本を代表する作家になるでしょうヽ(^。^)ノ♪
      2025/10/22
    • こっとんさん
      8さん、こんにちは♪
      やっぱり『百年の時効』素晴らしいんですね!
      ‥‥今、図書館予約しました。
      150人くらい待ってるから読めるのは忘れた頃...
      8さん、こんにちは♪
      やっぱり『百年の時効』素晴らしいんですね!
      ‥‥今、図書館予約しました。
      150人くらい待ってるから読めるのは忘れた頃だなぁ(^^;)
      2025/10/22
  • 2作目は読んでないけど渾身の3作目。
    これはすごい。
    クールな文章に魅了されながら世界の動きが脳内にインプットされていく。
    期間工に始まり何処に行くのか現在社会の抱えている病巣がワールドワイドに浮かび上がり、トレンド上位のワードがリンクしていきバタフライ効果のように連鎖する。
    原因と結果、この作品に振り回されて未知の世界の風景が日常の風景と繋がって読了はこれまで味あったことのない、清涼感が清々しい。
    この作家はまるで人生何回も転生して生きてきたかのように虚像を理論立てて投影し3D構成してくる。それぞれのキャラクターたちも魅力的で真に迫ってるし、背景描写にも凌駕されました。
    何言ってるのか興奮しすぎてパニックってますが、絶賛推し嵐が警戒レベルを超えて甚大な被害を与えていきました。
    通常運行に脳内再構築しようにも復旧困難な状態ですww

    作品のあらすじとかは他の方々が雄弁にレビューされてると思いますのでそちらを参考にしてください。
    兎にも角にも、
    この作者から目が離せなくなりました。

    • かなさん
      つくねさん、おはようございます。
      私もこの作品よんで心を奪われましたよ!
      ホント、スゴイ作品でしたね(*'▽')

      2作目もぜひ手に...
      つくねさん、おはようございます。
      私もこの作品よんで心を奪われましたよ!
      ホント、スゴイ作品でしたね(*'▽')

      2作目もぜひ手にしてみてくださいね♪
      こちらもおすすめできます。
      2025/07/07
    • つくねさん
      かなさん、コメントありがとうございます。この作品凄かったですね。
      かなさん、コメントありがとうございます。この作品凄かったですね。
      2025/07/10
  • ビリヤードでプレイクショットした後のボールのように、いくつかの物語が散らばっています。
    そこに登場する1台のSUV(プレイクショット)が手玉のように働き、それぞれの物語を繋げていきます。
    そして最後には、すべての話が綺麗にポケットインしていく物語でした。

  • ちょっとレビュー投稿があいてしまいました



    頭痛と胃腸炎っぽいものにやられてまして、活字が追えませんでした_(:3 」∠)_


    やっと回復してきたところ、目の前にはどどんと分厚い一冊。

    おーーー。



    まだ回復半ばの私は返却期日に間に合わないかなと諦めかけましたが、無事読み終わりました



    みなさん好評価のブレイクショットです!!
    やっと読めた〜〜(๑˃̵ᴗ˂̵)



    ブレイクショットというSUV車が巡っていく先の所有者たちの物語。



    読み始めはひとつひとつの話の関わりが見えないので短編のような読みにくさを感じました

    そしてそのひとつひとつが割と長め。



    でも徐々に繋がりが見えてくると面白さが増してきます。



    後藤親子の関係がいいんだよなー
    少年二人の絆も素敵
    それだけになかなか読むのが辛くなってきます。



    様々な社会問題が取り上げられていて、読み進めていくと、二進も三進も行かなくて、どんどん手足を縛り付けられていく様な息苦しさを感じます





    ですが、どうか最後まで諦めないで読んでください


    ラストまで読んで繋がりを感じてほしい!!
    感動を味わってほしいです



    詳しい内容は皆さんの素晴らしいレビューをご覧下さい(´∀`)

    個人的には星5以上を想像してましたが、ちょうど星5といったところでした(^^)

    • どんぐりさん
      super8さん

      いつもあまり注目してないんですが笑
      今回の直木賞は結構気になります!

      何が取りますかね〜( ̄+ー ̄)
      super8さん

      いつもあまり注目してないんですが笑
      今回の直木賞は結構気になります!

      何が取りますかね〜( ̄+ー ̄)
      2025/07/09
    • yukimisakeさん
      直木賞とって欲しいですー!
      体調はもう大丈夫でしょうか?
      僕は未曾有のハードスケジュールで身体が…涙
      図書館に本も借りてるのに…
      納涼する間...
      直木賞とって欲しいですー!
      体調はもう大丈夫でしょうか?
      僕は未曾有のハードスケジュールで身体が…涙
      図書館に本も借りてるのに…
      納涼する間もないとは…orz
      2025/07/09
    • どんぐりさん
      雪見酒さん

      ありがとうございます!
      無事回復しました( ̄∇ ̄)

      雪見酒さんはいつもお忙しそうですね(*´-`)

      無理して体壊さないでく...
      雪見酒さん

      ありがとうございます!
      無事回復しました( ̄∇ ̄)

      雪見酒さんはいつもお忙しそうですね(*´-`)

      無理して体壊さないでくださいね
      2025/07/09
  • 読み終わったら鼻血出た、ほんとに出た

    衝撃の一文でスタートしたのは、逢坂冬馬さんのデビュー3作目となる『ブレイクショットの軌跡』のレビューです

    もう、ここからさらに言葉を重ねる必要もないのかと思いますが、これではあまりに短いので、もう少し書きます

    だいたい半分くらい読んだところで、もうビビビビーッてきました
    なんかこう潮目が変わったと思いました
    これはもしかしたらモンスター級の獲物がかかったのでは?と直感しました

    分かるんです
    わいってほら、海の男じゃないですか?
    海人じゃないですか?
    だから分かるんですよ
    これはスゲーぞって!

    そして実際スゲかったす
    カジキマグロだったっす

    そして、わいは最後に全部説明してくれる物語大好きです
    知らん人の解説サイトとかいらん人なのです

    それにしても全国の書店員さんはやっぱりすごいと思いました
    デビュー作で本屋大賞は伊達じゃなかったです
    3作目にしてこんな立派なカジキマグロじゃなくて小説家になるとは

    そして鼻血が止まらない




    あ、止まったっぽい

    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん

      ちなみにカジキマグロのあの細長い尖った鼻は「吻(ふん)」と呼ばれていて、獲物を捕らえるときや敵と闘うときに使います
      なので血を出...
      土瓶さん

      ちなみにカジキマグロのあの細長い尖った鼻は「吻(ふん)」と呼ばれていて、獲物を捕らえるときや敵と闘うときに使います
      なので血を出させる側と言えます
      豆知識です
      鼻血識です
      2025/04/18
    • どんぐりさん
      結果も怖いですけど
      胃カメラとかやりたくないです、、、
      結果も怖いですけど
      胃カメラとかやりたくないです、、、
      2025/04/19
    • ひまわりめろんさん
      ぐり坊

      胃カメラはヤバい!あれはヤバい!
      生物兵器や
      ぐり坊

      胃カメラはヤバい!あれはヤバい!
      生物兵器や
      2025/04/19
  • 4.7

    8つ?の物語からなるが、主軸は後藤晴斗の物語。各章の主人公は困難に直面するが、明るさがある章末がいい。5章「後藤晴斗の野望」が読みづらかったが、読了感は良かった。
    『同志少女よ、敵を撃て』(2022年本屋大賞)、『歌われなかった海賊へ』に続く、逢坂さんの長編の第3作を楽しめました。

  • 世界と社会と人の繋がりがうまく描かれている。フィクションで良かったと思う一方、現代の闇のノンフィクションを繋ぎ合わせたような内容。徐々に真実が明らかとなり、尻上がりに面白い密度濃いめの本。

  •  すごくよかったです。というか、やっぱ、逢坂さん天才??もう、そうとしか言いようがないんですけど…!

     この作品は一台のSUVブレイクショットがつなぐ連作長編です。連作短編ではなく連作長編!!まったく関わりのないような感じだけど、ちゃんとつながるんですよねぇ…。車の期間工、夢を追いかける息子たちとその家族、特殊詐欺グループやヤクザ・被害者、中央アフリカ共和国の少年たち…つながるとは思えませんよね!そして、様々な社会問題を織り交ぜて展開されるストーリーで読んでて、長さを感じさせないものでした。

     読後もすごくよかったです!!やっぱ、いい作品はレビュー作るのが難しい…私、語彙力ないからなぁ…読書を続けていても語彙力ってなかなか上がらないですね^^;

    • かなさん
      shintak5555さん、おはようございます。
      いや…私のレビューなんて(;・∀・)
      しかも天才しか言いようがないって、ド直球じゃない...
      shintak5555さん、おはようございます。
      いや…私のレビューなんて(;・∀・)
      しかも天才しか言いようがないって、ド直球じゃないですか…
      何のひねりもなく出た文章なのに…
      でも、メモしてもらえるなんて素直に嬉しい!
      ありがとうございます。
      2025/05/13
    • かなさん
      まきさん、おはようございます。
      きっと長編好きのまきさんにもご満足いただける
      ボリュームと内容だと思いますよ(^-^)
      是非是非、手に...
      まきさん、おはようございます。
      きっと長編好きのまきさんにもご満足いただける
      ボリュームと内容だと思いますよ(^-^)
      是非是非、手にしてみてくださいね♪
      2025/05/13
    • かなさん
      どんぐりさん、おはようございます。
      予約中なんですね!
      結構ボリューミーな作品なので
      長く楽しめると思いますよ(*'▽')
      どんぐりさん、おはようございます。
      予約中なんですね!
      結構ボリューミーな作品なので
      長く楽しめると思いますよ(*'▽')
      2025/05/13
  • 長編を感じさせないほど飽きさせずにのめり込んでしまった。
    最高傑作だと実感した。

    自動車期間工の本田昴は、2年11ヶ月の最終日に同僚がSUVブレイクショットのボルトを一つ車体内に落とすのを目撃する。
    彼は、それを言わないので済ますのか…。

    場面は変わりアフリカの紛争地の少年。
    新興ファンドの会議室、インサイダー取引。
    タワマンに住む霧山冬至にサッカーにのめり込む息子の修悟。
    格差社会、取り柄は善良さと言う板金職人の後藤友彦に優秀な息子の晴斗。
    特殊詐欺。不動産営業。SNS。LGBTQ。

    群像劇のなかには、必ずブレイクショットが出てくる。
    霧山が乗っていたブレイクショットが後藤にそして不動産営業車に紛争地に…。

    どこかで繋がっていくのだが、そのひとつひとつがとても濃い、まるで映像を観ているように思うのはそれぞれの個性が際立っているからだろう。
    そして、社会問題をうまく取り入れている。

    エピローグでやっと本田昴が出てくる、その瞬間からが気持ちいい。
    まるっとすべてが収まったという気持ち良さ。













  • 逢坂さんの社会派小説ということで、発売当初は少し敬遠気味だったのですが、直木賞候補になったこともあり、本作を手に取りました。全てのお話が少しずつ繋がっていて、それでいて短編としてのクオリティも面白く、個人的には大満足の作品だったかなと思います。

    本作は連作短編集であり、1台の車「ブレイクショット」に関わった人々の人生が描かれます。逢坂さんといえば、戦争や歴史を題材にした小説の印象が根強かったのですが、社会派小説も想像以上に面白いです。ただ、割と暗いお話が続くこともあって、終盤の終盤まではあまりスッキリとはしない読み口ではありますが、終盤にはボリューミーな1冊を読み終えた達成感と物語の繋がりが見えたスッキリ感で、非常に良い読後感だったと思います。

    まぁ個人的には直木賞取ってもおかしくなかった作品だと思いましたが、まぁ今回の選考結果なら仕方ないでしょう…

  • 前半の前半100ページまでは
    『何じゃコリャ、むずいな』
    読めるだろうか(^_^;)だったけど
    2章から猛烈におもしろくなった。
    修吾と晴斗の話しが一番良かったし、のちのちあとの登場人物がガッツリじゃくてコッソリ絡むのもいい。

    めちゃくちゃ分厚かったし
    覚悟して読んだけど読んで良かった〜。

    • まことさん
      ゆきみだいふくさん、こんばんは♪
      やっぱり修吾と晴斗の話が一番いいですよね!
      登場人物がガッツリじゃなくてコッソリ絡むのもいいというのも、確...
      ゆきみだいふくさん、こんばんは♪
      やっぱり修吾と晴斗の話が一番いいですよね!
      登場人物がガッツリじゃなくてコッソリ絡むのもいいというのも、確かに言えていますね♪

      分厚かったですよね~!
      指が腱鞘炎になりそうでした(*^^*)
      2025/05/11
    • ゆきみだいふくさん
      まことさん♪

      えぇ、えぇ、分厚かったですね
      (^_^;)
      セリナがアコさんとは分かりませんでした〜。
      まことさん♪

      えぇ、えぇ、分厚かったですね
      (^_^;)
      セリナがアコさんとは分かりませんでした〜。
      2025/05/11
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著者プロフィール

逢坂冬馬(あいさか・とうま)
1985年生まれ。35歳。埼玉県在住。『同志少女よ、敵を撃て』にて第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。

逢坂冬馬の作品

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