名探偵カマキリと5つの怪事件 (ハリネズミの本箱)

  • 早川書房 (2002年11月15日発売)
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感想 : 7
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  • 本 ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152500038

感想・レビュー・書評

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  •  昆虫が人間のように文明を築いた社会「バグランド」で、名探偵カマキリ氏とその助手バッタ博士が活躍する物語。
     ミステリー要素は軽めであり、本格推理のような謎解きは期待できない。
     しかし、本書に特徴的なのは、虫の擬人化のディテールの細かさや、昆虫の特徴を生かした配役。
     例えば名探偵カマキリとバッタ博士がシロアリの巣に潜入するシーンがあるのだが、シロアリの巣の案内役はシロヒゲアリノスハネカクシが努めている。彼のひげから出る蜜にシロアリ一族は虜になっているためにシロアリから攻撃されないのだというが、実際にこのハネカクシはシロアリと共生し、シロアリの巣で生きている種なのだ。
     他にも、スズメバチに似たスカシバがスズメバチに紛れ込んで犯罪を働いたり、古書を食べるチャタテムシが教授をしていたりと、その昆虫の特性を物語に活かしており、作者の昆虫の知識に感心する。
     この本は調べ物ができる環境で読み、知らない虫の名前を調べながら読んでいくとさらに面白く読めると思う。
     また、虫の知識だけではなく、キャラクター造形も最高だ。
     かすかな痕跡から様々なことを推理するカマキリ探偵と、もと軍医であるバッタ博士は明らかにシャーロットホームズとワトスンのパロディだが、それだけではない個性が彼らにはある。
     ポーカーに弱いのにムキになって懐中時計まで賭けの対象にしてしまうカマキリ探偵や、雌の昆虫にすこぶる弱く、出会いを求めているのに実らず、甘党で手作りのパイまで焼いてしまうバッタ博士はすこぶる人間臭く、愛嬌がある。
     名探偵カマキリとバッタ博士の冒険を他にも見たいが、どうやら名探偵カマキリシリーズはこの一冊しか出ていない模様。とても残念。

  •  人間の世界で、ペットなり野良なりの動物が、動物として存在し、動物の世界での事件を解決したり、人間の言葉を解して、人間界の事件を独自に解決したりする話とか、動物が擬人化されて、人間のように過ごす世界の話とか、そういうのはよくありますが、この本は、哺乳類でなく虫です。
     虫が擬人化された世界観です。
     カマキリ探偵とバッタ博士が活躍する5つの短編集。
     いわゆる人間が「害虫」と思っている虫が悪者側です。
     虫の生態が事件の発端になったり、解決の手掛かりになったりしてます。

     カマキリ探偵とバッタ博士は、ホームズとワトソンがモデルかな。
     私は虫は苦手ではないけれど、虫が苦手な人は、この表紙もダメかもね。。。

  • 世にホームズのオマージュ作品は数あれど、虫の世界を舞台にした独特さが目を惹きました。
    しかもただ単に虫に置き換えただけでなく、虫の生態そのものが事件解決に関わるというての凝りよう。その為に推理というよりは虫の生態クイズみたいな部分もありますが、それはそれで「え?そうなの!?」という驚きがあります。
    しかしイラストが妙にリアルだったり、出てくる虫がカメムシだったりナンキンムシだったりするので虫が苦手な人はご注意あれ。

  • ホームズへのオマージュが満ちた秀作。虫たちの生活ぶりがそれに上手くかみ合っている。イラストも美麗。

  • N.

  • 名探偵といえば、かのシャーロック・ホームズ。この話は、ホームズ→カマキリ探偵、ワトソン→バッタ博士の配役で、出てくる登場人物は全て虫。虫による事件を虫が解決するのだ。虫好きの子どもで、しかもミステリー好きなら、読んでみて!

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